前回の夏の甲子園ではタイブレークの末に京都国際が初優勝を飾った(C)産経新聞社
「高校野球7イニング制」への流れが、加速するのではとの噂で持ちきりです。
日本高野連はこの秋、滋賀県内で開催される国民スポーツ大会での高校野球競技で、7イニング制を導入することを決定しました。
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夏の甲子園での上位校が8チーム選出され、3年生を中心に和やかな雰囲気で勝負を繰り広げる「国スポ」は、かつての呼び名である「国体」時代から高校野球ファンに愛され、開催県の人々を楽しませてきました。
夏の甲子園がガチの真剣勝負なら、エキシビジョン的な要素もある「国スポ」。まずはそこでの7回制導入となりました。しかしこれは持続可能な甲子園大会を考えたとき、避けて通れない施策であるとも言われているのです。
アマチュア野球に詳しいライターはこう説明します。
「現行の9イニング制から2イニングを短縮することになりますが、運営側も好きこのんで7回制にするわけではありません。年を追うごとに酷暑は激しさを増す一方で、止まることを知りません。熱中症のリスクは高まるばかりで、甲子園球児がいつ重篤な症状に見舞われてしまうのか、不安は大きくなるばかりです。健康管理の観点から、ドーム球場でやればいいと外野は声を上げますが、当の高校球児は甲子園で試合をすることに至高の価値を見いだしている。つまり、舞台を甲子園でやり続ける上でも、イニング数の短縮は避けられない事態なのです」
すでにU18といった高校野球日本代表が試合を行う国際大会でも7回制が導入されており、ハードルは高くないとされています。
「かつてタイブレークが導入される際にも、『そんなの野球じゃない』『3年生の最後の夏がタイブレークで終わってしまうことがあっていいのか』という議論がありました。しかし、結局は慣れの問題。
当事者たる高校球児の本音はどうでしょうか。
「7回制を臨む球児はほぼいません。8、9回という終盤の攻防こそ、野球という競技の醍醐味。このギリギリで心身の集中力が途切れることなくパフォーマンスをできるために、日頃の苦しいトレーニングをしているのです。そして7回制なら出場選手も少数精鋭になり、控え選手の出番は自ずと減ります」(前述のライター)
それでも選手の健康管理という大義名分がある以上、7回制への流れは止めることができないとの声が日に日に強くなっています。今後の成り行きに注目です。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]