ふたたびラスベガスの地に立つ井上。相手は「地獄のパンチ力を持つ」カルデナスだ。

(C)Lemino/SECOND CAREER

 ついにラスベガス決戦がベールを脱いだ。現地時間3月12日、米ボクシング興行大手『Top Rank』は、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)の次戦を5月4日(現地時間)に、米ネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催すると正式発表した。

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 世界最強と恐れられる“モンスター”が、ふたたび「本場」に上陸する。井上がラスベガスのリングに立つのは、WBA&IBF統一世界バンタム級王者だった21年6月19日のマイケル・ダスマリナス(フィリピン)戦以来、1415日ぶりとなる。

 そのダスマリナス戦は、同じラスベガスながら、コロナ渦による無観客のヴァージンホテルが舞台で、盛り上がりの希薄さは否めなかった。だが、今回は最大2万人が収容できるT-モバイル・アリーナ。ビッグイベントの開催が定着している檜舞台だけに、メインイベンターとなる井上の国際的な人気度を推し量る上でも重要なマッチアップと言えよう。

 業界屈指のビッグマッチが組まれるメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」の一週間に当たる今回の一戦で対峙するのは、WBA同級2位ラモン・カルデナス(米国)。27戦26勝(14KO)1敗の戦績を持つオーソドックススタイルの29歳は、米メディアで「地獄のパンチ力を持つ男」(米専門サイト『Boxing Scene』より)と評される実力の持ち主でもある。守備面の拙さは否めないが、一撃で展開を崩すパワーを秘めており、アグレッシブな打ち合いとなれば、興味深い。

 現時点での下馬評はやはり井上優位だ。すでに4階級を制してきた日本の偉才が実力と経験で挑戦者を上回るという見方は強い。

 無論、そうした状況下でも井上に驕りは見られない。米誌『The Ring』で本人は「観客の皆さんに素晴らしいショーを披露することを楽しみにしている」と前置きした上で「カルデナスは、試合をためらうことなく受け入れたタフな相手であり、尊敬しています」と強調した。

 一方のカルデナスも番狂わせに意気込む。同誌の取材に応じた29歳は「俺は人生を変える。すべてのベルトをかけて戦うチャンスを得られたことは夢の実現でもある」と断言。自身初の世界戦に対する強い思いを語った。

「俺はお互いの道がいつか交わることを知っていた。だから世界戦の実現には何の疑いもなかった。この試合のオファーが来た時、俺は何の躊躇もなく即座に受け入れた。それが『宝くじのチケット』だとは言わないけど、誰もが認めるタイトルを狙えるチャンスを得たら、断ることはできない。間違いなく俺にとってイノウエとの試合は一生に一度のチャンスだった」

 興行を司る『Top Rank』が「怪物回帰」と漢字でテーマを銘打った一戦は、いかなる決着を見ることになるのか。ふたたびラスベガスに降り立つ井上のパフォーマンスに注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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