多くの日本人女性は「月経」、つまり「生理」による不調を抱えていると言われています。

生理中の不調だけでなく、生理前の体と心に起こる不快な症状「PMS(月経前症候群)」。

さらには、PMSよりも精神の不安定さが際立つ症状を「PMDD(月経前不快気分障害)」など、生理を起因とする症状は多岐にわたり、ある調査では、生理によってパフォーマンスが落ちる日数は年間84日と報告されています。

PMSや生理中の不快感が重い人の中には、年間240日という膨大な日数、何らかの不調を感じながら過ごしていることに。もし、この不調が緩和されて、心も体も快適に健康に過ごすことができたなら…。きっと生活の質は向上し、仕事もプライベートも前向きになって、生き方までも変わるはず。

生理やPMS・PMDDによって起こる体の変化、辛さを軽減するために今すぐできることを、スマルナ医科歯科レディースクリニックOSAKAの中村葵先生にお話を伺いました。

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年間240日!?頭痛・眠気・肌荒れ、イライラ、止まらない涙…

Q :生理前や生理中にどのような症状が出ますか?

中村:「腹痛、頭痛、胸の張り、むくみ。下痢や便秘、肌荒れ、怠さや眠気といった体の不調を感じる方もいれば、何となくイライラしたり、悲しくないのに涙が溢れたり…と、精神的に不安定になる方もいらっしゃいます。

一人ひとり体は違うため、『この症状が必ず出る』と言い切ることはできませんが、生理が始まる10日前ぐらいから直前までの不調は、生理の影響と考えられます。
もしかしたら…と思う方は、まず体と心の状態を把握するために、体温、生理周期、症状などをしっかりと記録していただきたいですね。自分の身体の変化を知ることは、原因を見つけるためにとても大切なことですし、もし、生理と関係なく不調が起きていることが分かれば、他の病気の可能性も見つけることにも繋がります。」

Q :生理中のおすすめの過ごし方など、今すぐにできることはありますか?

中村:「重要なのはリラックス、気分転換することです。生理中は控えた方が良いですか?と聞かれることも多いですが、適度な運動や入浴でリラックスできるなら、どちらもダメということはありません。また、低用量ピルを服用して生理をコントロールしたり、生理用品を変えてみたりするのも良いと思います。ただ、動けなくなるほどの痛みや不調を感じる場合は、子宮内膜症など婦人科系の病気も考えられますので、我慢せずに専門医に相談してください。」

生理による不調は社会問題、経済損失6,800億円以上

Q :病院に行くのはハードルが高い。でも親にも友達にもなかなか相談しにくいという方、多いのではないでしょうか?

中村:「そうですね。

生理やPMS、そしてPMDDは、女性の生き方にも大きな影響を与えることであり、性教育においても大切なことです。しかし、教育現場や家庭内では、なんとなく目を背けがちな話題になっています。『生理は毎月来るものだから仕方ない』と、自分自身もまわりも、あまり重く受け止めていなかったり、少しオーバーな表現かもしれませんが、命に関わる病気ではないから…と病院に行くことを躊躇したり。でも、生理やPMSで悩んでいる女性の方が人口の割合的には圧倒的に多いという事実があって、私は、その人たちを救いたいと思っています。
今は、産婦人科やレディースクリニックに行くほどではない、忙しくて時間が取れないという場合は、ぜひ、スマルナのアプリを活用してください。医師の診察、薬剤師や助産師の無料相談(10時~18時)がオンラインで受けられます。
24時間メッセージは受け付けていますので、忙しい皆さんにも気軽に使っていただきたいと思っています。」

月経を知れば生き方も変わる① ~「ただの生理痛」その考えは間違い~

近年、慢性的な不調の原因として、自律神経の乱れ、睡眠時間や質、食物アレルギーなどが知られるようになりました。中村先生が女性特有の現代病と表現した「生理」や「PMS」「PMDD」も、多くの女性が抱えている健康問題。さらに、生活習慣の変化、女性の社会進出、初経年齢の低下、出産回数の減少など、さまざまな背景・条件が重なり、女性特有の病気や罹患者数も増加傾向にあり、社会全体で考えるべき問題と言えます。ある調査では、医療費や労働損失額が6,800億円以上と算出されるほど、社会に与えている影響が大きいことが分かります。

「毎月のことだから…」「ただの生理だから…」と思って何かを我慢したり、諦めたりするのではなく、一度、心と体と向き合う時間をつくって、生理と向き合い、自分の状態を把握してみましょう。

月経を知れば生き方も変わる① ~「ただの生理痛」その考えは間違い~

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません

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[文/構成:ココカラネクスト編集部]

医師 中村 葵(なかむら・あおい)

スマルナ医科歯科レディースクリニックOSAKA  https://smaluna-clinic-osaka.com/
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国境なき医師団に憧れ医師を目指し、ザンビア、インドでボランティアや教育支援などを行う中で、避妊や家族計画、予防医療の分野に興味を持つ。

その中で、日本においても避妊や性教育の分野で課題が多くあることを知り、2020年4月より、主に若い世代への性教育や避妊へのアクセス改善のため、ユースクリニックの概念を日本に広げるべく活動している。