まさかの惨敗は、菅総理にとっても想定外だったことでしょう。
8月22日に投開票された横浜市長選は過去最多の8人が立候補する中、無所属で新人の元横浜市立大教授・山中竹春氏が約50万票を得て初当選しました。
一般紙の政治記者は言います。
「選挙は勝ち負けがもちろん大事なんですが、『負け方』も重要なんです。今回は酷かった。混戦が予想されたのに、午後8時に山中さんに当確が出る、いわゆる『ゼロ打ち当確』となったからです。
しかし菅総理といえば、東京五輪での金メダルラッシュに乗じて政権への支持率を高めて、自民党総裁選や衆院選への突入していくシナリオを1か月前まで描いていたはずです。東京五輪は賛否両論ある中での実施となりましたが、視聴率的にも盛り上がったのは事実。なぜ総理の計算に狂いが生じたのでしょうか。
前述の記者は言います。
「簡単な話ですよ。
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そんな菅総理ですが、意外にも落ち込むこともなく、8月26日の会見では「現在進めているワクチンの接種、デルタ株に対しても明らかな効果があり、新たな治療薬で広く重症化を防ぐことも可能です。明かりははっきりと見え始めています」と強気の発言。ワクチン接種がさらに進み、10月までにある程度行き渡れば、支持率のV字回復は可能と見ている模様です。
なぜここまで菅総理は楽観論を展開できるのでしょうか。
「周りにイエスマンしかいないからですよ。本来なら苦言を呈してくれる部下こそ重用しなくてはいけないのに、耳に痛い現状を報告するとあからさまに機嫌が悪くなるから、閣僚や官僚も前向きな報告しか上げなくなっているとの話です。コロナ禍は『国難』なのですから、最悪の状況を想定した危機管理が必要なはずなんですが」(前述の記者)
ヤクルトや楽天などの監督を務めた名将・野村克也さんは生前、「危機管理こそリーダーの重要な任務。常に最悪を想定して準備するからこそ、迷わず状況判断ができる」と話し、マイナス思考こそ人を率いる上での大切な考え方だと説いていました。
厳しい現実を直視することなく、官僚の作った文章を棒読みし続けるポジティブな宰相-それに対する国民の評価は、秋の総選挙で明確になることでしょう。