怒とうの展開でネットを中心にさまざまな考察が繰り広げられているドラマ『真犯人フラグ』(日本テレビ系/毎週日曜22時30分)。2021年10月からスタートした本作もついに佳境に入り、考察もますます熱を帯びてきた。

そんななか、何度も黒幕疑惑が持ち上がりストーリーをかき乱す重要人物で、凌介(西島秀俊)に協力し、失踪した凌介の家族を捜索する大学生のITベンチャー社長・橘一星を演じる佐野勇斗に話を聞いた。

【写真】無事だった“一星” 佐野勇斗、りりしい表情&ほほ笑みショットも

「トラウマになるくらい難しかった」17話感動の号泣シーンの裏話を明かす

 『真犯人フラグ』は、秋元康が企画・原案を務め、“一億総推理作家時代”に贈る、2クール連続放送のノンストップ考察ミステリー。20日に放送された第17話では、陽香(生駒里奈)に監禁されていた一星が脱出して、恋人の光莉(原菜乃華)や凌介、母親のすみれ(須藤理彩)と再会を果たした。

――半年にわたる本作もいよいよ佳境です。『真相編』からは特に衝撃的なストーリーが繰り広げられていますが、周りの方からの反響はいかがですか?

佐野:ほかのお仕事の現場でもドラマのことが話題になって、「犯人は誰なの?」「一星はどういう展開になっていくの?」と聞かれることがすごく多くて…。もちろん答えられないことを分かって聞いてくるんですが(笑)見てくれている人が多いんだな、と実感できてうれしいです。

――「考察ミステリー」というドラマの性質もあって、視聴者の方は、目の表情などかなり細かい動きまで見てますよね。第14話で一星が陽香に監禁された光莉を助けに行くシーンで、車の中の一星の口のちょっとした動き(笑っているのかどうか)も話題になっていました。

佐野:そうらしいですよね…。考察を見るのが怖い。深読みしすぎですよ!(笑)。でも、曖昧な表情とか繊細な演技を求められたりするので本当に難しいですが、視聴者の方が考察を楽しんでいただけていたらうれしいです。


――キャストの方が撮影現場で考察をする…ということもありましたか?

佐野:前半の第10話あたりまでは結構ありましたね。出演者同士で探り合いをしている感じが。(笑)。例えば、「何その顔! 台本に書いてない顔してるじゃん」みたいな。「後で使われるカットを撮ってるんじゃないか…」「今の表情、絶対しなくていい顔じゃん!」など、予想するようなやり取りはすごくありました。

――第17話では光莉との再会はもちろん、一星がすみれのコロッケを食べて号泣するという感動シーンもありました。

佐野:物を食べながら泣く、というお芝居がとても難しくて大変でした。感情が入っていても、いくら集中していても、食べて味がすると一瞬そっちに持っていかれちゃうんです。おそらく人間の反射で「こんな味なんだ」って。それで涙がすっとさめてしまう。普通に泣くのとは違って、意識が持っていかれてしまうのでとても苦労しました。

――確かに2つのことを同時にやるだけでも難しいのに、食べながら泣くというのはかなり難しそうですね。


佐野:みなさんにも試してもらいたいです(笑)。一星はコロッケの味で「母親の味だ」と感じますが、僕は自分の母親の卵焼きが好きで、その卵焼きの味を思い出そうとしたんですけど、実際はコロッケを食べているから違う…いろいろぐちゃぐちゃになってしまうんですよね。まだまだだな、と…トラウマになるくらい難しかった。(笑)。何回やっても泣き芝居の日は緊張します。

せりふ量の多さに苦労も…新しい芝居のやり方に挑戦

――ほかに苦労したシーンはありますか?

佐野:序盤で第1話から第5話までの「至上の時」のシーンを1日で撮影したのですが、せりふ量がすごく多くて…。自分の中では頭に完璧に入っていたはずだったんですが、実際にやってみるとせりふが全然出てこなくて、自分で納得がいかなかったんです。そのときから、7年間やってきた芝居のやり方を変えました。結構前からせりふを入れて定着させないと自分のものにならないんだ、と思いましたね。今は新しい芝居のやり方をしています。

――「至上の時」のシーンも含め、西島さんと芳根京子さんと一緒にいるシーンも多いと思います。おふたりから受けた刺激や学んだことがあれば教えてください。


佐野:何を言っても失礼になってしまう気がしますが、西島さんは「お芝居やっぱりうまいな、すごいな」と思います。西島さん演じる凌介は主人公ですし、いろいろな感情の変化がある。その中で“ポンコツで優しいお父さん”“みんなから愛される凌介”の雰囲気は、西島さんにしか出せないと思います。あと、座長なのに座長感がないんですよ。僕からするととんでもないスターなのに「ねぇ、西島さん」みたいな感じでフランクに話しかけられる。ああいうふうになりたいな、と思う目標の先輩です。

芳根ちゃんは歳が1個上で、ほかの仕事の話や、悩み事もお互い話するくらい仲良くさせてもらっています。本当に大人で絶対に嫌な顔をしないし、大変なことがあっても外に出さない。周りをハッピーなオーラで包むというか、自分の感情を周りに伝染させない。僕は結構すぐに顔に出てしまうタイプなので、すごいな、と思います。人間としてすてきな方です。2人がすごくしゃべってくれるし、すぐ笑うんですよね。
現場のムードメーカーです。

 17話終盤には、芳根演じる瑞穂の姉が殺されていた過去が判明。残す3話で、いくつもの疑問がどう回収されていくのか。そして真帆(宮沢りえ)の行方はいかに…。(取材・文:山田果奈映 写真:高野広美)

 ドラマ『真犯人フラグ』は日本テレビ系にて毎週日曜22時30分放送。

編集部おすすめ