俳優の菅田将暉が主演を務める、人気コミック原作ドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系/毎週月曜21時)。毎話ごとに登場する豪華ゲスト俳優の活躍はもちろん、菅田演じる主人公の久能整が“ミステリ”に寄り添いながら残す言葉にもまた注目が集まる。
【写真】菅田将暉の演技力がさらにしみる 『ミステリ』久能整のこれまで
■ 「ごみ捨てって、家じゅうのごみを集めるところから始まるんですよ」(第1話)
妊娠中の妻を持つ池本優人巡査(尾上松也)に整が放ったこの言葉は全国のごみ捨てを担う人々を深くうなずかせただろう。池本が「少しは手伝ってくれてるって、感謝してくれてもいいのにな」と自分は家事・育児に参加していることを主張し、その上、感謝されるべき立場だと話す。しかし実際、池本がやっていた「ごみ捨て」は、家からごみ捨て場までまとめられたごみを運ぶだけ。整は、本当に大変なのは家じゅうのごみを集め、分別してまとめることだと池本を諭す。一見、家事の大変さを述べているだけのようにも見えるこのセリフだが、実は全ての事柄に通ずる大切な言葉だろう。誰しも、自分がやったことには重きを置き、他者がやった苦労にはうまく寄り添えないことがある。そんな現実にハッと目を向けるきっかけをくれる言葉なのだ。
■「どうしていじめられてる方が逃げなきゃならないんでしょう? 欧米の一部では、いじめてるほうを病んでると判断するそうです」(第2話)
淡路一平(森永悠希)は、いじめから逃げることを許されず、苦しんできたことを打ち明ける。そんな一平に対して整は、海外での認識や事例を引き合いに、新たな視点で“いじめ”と向き合うヒントを与える。これまでの日本では、いじめられた側が環境を変え、いじめられないように振る舞いを変えることで解決しようとする動きが多かった。そんな中で整は、いじめている側をケアし、いじめられている側の権利を守ろうという視点でいじめを語っている。
■ 「どうして闘病って言うんだろう、闘うと言うから勝ち負けがつく」(第5話)
整が入院した病室で同室となった余命わずかの元刑事・牛田悟郎(小日向文世)に向けたこの言葉は、病への向き合い方を説く。「どうして亡くなった人を鞭(むち)打つ言葉を無神経に使うんだろう。負けたから死ぬんですか? 勝とうとしたら勝てたのに努力が足りず、負けたから死ぬんですか? そんなことない」と続け、「闘」の字に込められた意味や病気に対する周囲からの反応に疑問を呈す。見過ごしてしまいがちな、ささいな部分にも疑問を持ち、とことん考える整らしい発言と言えよう。
■ 「僕はストーカーに腹が立ちます。ストーカーが野放しにされて、被害者の方が逃げて、隠れて、その結果、すべてを捨てて不自由になって、殺されると怯えながらやっぱり殺される。その理不尽なシステムに腹が立ちます」(第9話)
美吉喜和(水川あさみ)の死を引き起こしてしまった橘高勝(佐々木蔵之介)に対してかけられたこの言葉は、第2話のいじめの話と同じく視点を変えて語られたものだ。理不尽さを真正面から受け止め、果敢に立ち向かう。誰かが声を上げ、理不尽さや疑問に目を向けなければ物事は変化しない。こうした整の言葉は、本当に必要とする人の元に行き届いたケアを届けるための重要な一歩だろう。
事件を起こしてしまった人、事件に巻き込まれてしまった人。
ドラマ『ミステリと言う勿れ』はフジテレビ系にて毎週月曜21時放送。