櫻坂46の二期生、武元唯衣と増本綺良。4月6日にリリースされる4thシングル「五月雨よ」での活動をもって一期生の原田葵渡邉理佐が卒業するグループに、彼女たちはどんな思いを抱いているのだろう。

同シングルには、卒業を象徴する渡邉のセンター曲「僕のジレンマ」も収録されるが、先輩たちの背中を見守ったMVの撮影秘話、原田や渡邉との“特別な思い出”とは――。武元と増本に聞いた。

【写真】渡邉理佐&原田葵との思い出を語った武元唯衣&増本綺良(6枚)

4thシングル表題曲「五月雨よ」はファンと気持ちを「共有できるものに」

――今回は最新の4thシングル「五月雨よ」にまつわるお話と、本作の活動をもって卒業される原田さんや渡邉さんへの思いを中心にお話を伺えればと思います。…と、その前に。実は気になっていたことがありまして。昨年末、武元さんは黒髪から明るい髪色にイメージチェンジしましたよね。ファンの間でも驚きの声が上がっていましたが、なぜ変えられたのでしょう?

武元:まあ、理由はいろいろあって…。

増本:美容師さんへの注文を間違えちゃった?

武元:いや(笑)。スタッフさんとも会議を重ねて、この髪色にしようとなったんです。一番はパフォーマンス面にあるかな、というぐらいです。

――本人ならではのこだわりもあったようですね。増本さんも髪の毛がボブ風になり、イメージチェンジされて。


増本:そうなんです。あと、話は変わりますけど、武元さんの髪色イメチェンで思い出して(笑)。私、髪の毛で一度やらかしたことがありまして。髪色を暗くしたいけど「真っ黒にはしたくない」と美容師さんへお願いしたときに「オリーブはどう?」と勧められたことがあったんです。オリーブオイルしか思い浮かばなかったので、髪の毛に塗るものかと思って「お願いします」と頼んで。でも、オリーブって緑系のカラーだから、髪の毛がめっちゃ緑になっちゃって…。翌日、急いで染め直しに行きました。(武元を見ながら)そんなこともある?

武元:…あるかも(苦笑)。

――意外なエピソードが(笑)。さて、余談もそこそこに本題へ。最新の4thシングル表題曲「五月雨よ」は、過去3作の表題曲からガラッと雰囲気が変わり、柔らかいイメージの曲です。お2人は歌詞や曲に対して、どんな印象を受けましたか?

武元:歌詞もメロディーも、ここまで温かい曲はあるのかと思いました。
これまで私たちは「楽曲の持つメッセージを伝えていく」のを大切に考えてきましたけど、今回は、ファンの方々と気持ちや雰囲気を共有できるものになったと思います。一緒に踊ってもらえる振り付けもありますし、そこに込めた意味もいずれはファンの方にお伝えして、同じ感情で楽しめる日が来たらうれしいです。

増本:第一印象では「切ない、寂しい系かな」と思いましたけど、じっくり聴いてみたらとてもかわいい曲なんです。「小雨になった 止むかな」の歌詞を見た瞬間、「キューン」となっちゃって。同期で最年少の(山崎※)天さんがセンターを務めていますし、私の中では「中学生ぐらいの女の子が傘を持って梅雨空の中にいる」ようなイメージが浮かぶ曲です(※山崎の崎は正式には「たつさき」)。

卒業する渡邉理佐がセンター「僕のジレンマ」感動シーンの裏側

――4thシングルには櫻坂46としては珍しい全員参加曲で、本作の活動をもって卒業する渡邉さんをセンターにした「僕のジレンマ」も収録されています。YouTubeでMVも公開されていますが、全員でのパフォーマンスには何を思いましたか?

武元:純粋にうれしかったです。全員で披露する曲は「櫻坂の詩」しかなかったし、振り付けを入れるときもメンバーから「全員の曲があるのはうれしい」という声が上がっていました。グループの振り付けを担当してくださっている振付師のTAKAHIRO先生も、同じ気持ちで振り付けを考えてくださったんです。みんなで表現できるうれしさを、この曲に乗せて届けていければと思います。

増本:フォーメーションは、本作で卒業される原田さんや理佐さんを中心に、一期生さんが真ん中でギュッと集まる形になっています。私は最後尾の三列目で一期生の(齋藤)冬優花さんの隣のポジションになったので、先輩たちの姿がパッと見えるんです。
振り付けを入れるときも一期生さんとお話がしやすい距離でしたし、休憩時間に楽しくふざけ合っている姿を見たら、原田さんや理佐さんをはじめ先輩たちとの思い出がよみがえってきました。フォーメーションからも愛を感じられる曲を大事にしていきたいです。

――MVの終盤では、一期生の皆さんが全員で寄り添うのを、二期生の皆さんが後ろから見守るシーンが印象的でした。原田さんや渡邉さんの卒業も連想されるシーンでは、どんな思いで撮影に臨んでいましたか?

武元:二期生は加入前から一期生さんのファンだった子も多いし、みんな幸せな気持ちだったのかなと思います。一期生さんが寄り添うシーンは、練習で初めて見たときから泣きそうになりました。一期生さんの絆や仲の良さ、関係性は、二期生の私たちとは種類が違うんです。一期生さんならではの雰囲気もあるので、撮影中は一番近くで見られるのがすごく幸せだなと思いました。

あと実は、ロケ場所が湖の近くなのですごく寒かったんです。互いに寄り添う一期生さんも、横並びで見守る二期生の私たちもガタガタ震えていて。感動的だけど寒いし、寒いけど感動的だし「どうしよう…」と思っていました(苦笑)。

――複雑な心境でもあったんですね(笑)。増本さんは、寄り添う一期生の皆さんをどう見ていましたか?

増本:そのシーンの撮影中に、一期生さんが互いの手をくっつけ合っていたのを覚えています。
昔から「手は口ほどに物を言う」(※後述)と言うじゃないですか。皆さんの手が寂しそうで、その瞬間をかみ締めていたように見えて。特に覚えているのは冬優花さんの手で、いろいろな先輩たちと手が触れ合っていて、力がこもっているように見えました。私も心がキューッとなったし、自分の手にも力を込めていました。

――感動的な話のところ、すみません。増本さん、ひょっとして…。手ではなく「目」ですか?

増本:あ~、「目は口ほどに物を言う」だ! 「手は口ほどに~」は、私が作りました(笑)。

武元:アハハ(笑)。

――増本さんならではの造語かなと思いました。

増本:ここは「手は口ほどに物を言う」そのままで大丈夫です! (※正しくは『目は口ほどに物を言う』)でお願いします(笑)。

――しっかり伝わりました(笑)。さて、MVでは卒業を象徴するシーンとして、センターの渡邉さんと、ほかのメンバーが1人ずつ踊る場面もあります。
やはり、特別な思いが込み上げてきたのかと思いますが、いかがでしたか?


武元:理佐さんとのダンスシーンは、その瞬間にすべての思いを込めました。理佐さんにしてもらったことや、感謝の気持ちをみんなそれぞれ伝えていたと思います。言葉で伝えなくても、踊りながら目や手から伝わるものもあると思っているんです。練習でも本番でも、心の中で理佐さんに対して「ありがとうございました」とつぶやいていて。その気持ちが伝わればいいなと、心の中で思っています。

増本:理佐さんとのダンスシーンは、全員それぞれの振り付けが違います。TAKAHIRO先生が、お互いの関係性を考慮してくれたんです。例えば、同期の大沼(晶保)さんは、ピョコピョコ跳ねて楽しむようなダンスになっていて。天さんは理佐さんと目を合わせながらスキップしていたり、実際にやったことはないかもしれないけど、既視感のある動きを取り入れたダンスになっています。見てくださる方も、思い出がよみがえってくるような表現になっていると思います。

卒業メンバー・原田&渡邉との“特別な思い出”

――本作の活動をもって原田さんと渡邉さんが卒業するというのは、ファンにとっても衝撃でした。メンバーとして、卒業の話を聞いたときはどう思いましたか?

武元:メンバー全員の集まっている場所で、お2人から聞いたんです。
過去にもメンバーの卒業はあったけど、どれほど寂しくても自宅へ帰るまでは涙をこらえてきたんです。でも、このときは自分でもビックリするほど、その場でボロボロ泣きました。最初に理佐さんが発表されて「ああ、そうなんだ…」と思って、次に、原田さんからお話を聞いた時点でもうダメで。発表の翌日、お2人と会って顔を見たときも涙が込み上げてきました。

発表からすぐは寂しさが勝り、お2人の顔を見るだけでどうにかなりそうな感じでしたけど、少しずつ受け入れられるようになってきたのかなとは思います。卒業されて別々の道へ進んでも頼りたいし、何かあったときはお話を聞いてもらいたくて。互いの関係性は終わらせたくないし、今は無理やり「思い出を作らなきゃ!」とは考えず、たわいない会話をたくさんしようと思いながら毎日を過ごしています。

増本:私は、原田さんや理佐さんが卒業することへの実感がまだ湧いてないんです。昨年、守屋茜さんや渡辺梨加さんの卒業で初めて先輩とのお別れを経験したときも、メンバーとして会えなくなる日まで実感が湧かなかったんです。今回もたぶん、同じなんだろうって。残りの時間で後悔しないぐらいたくさんの愛を伝えられたら、お別れの日が来ても悲しくなくなるだろうし、思い残すことのないようにお2人への愛を注いでいきたいです。

――それぞれ原田さんや渡邉さんとの特別な思い出もあると思いますが、いかがでしょうか?

武元:たくさんあります。高校卒業後、大学へ進学できたのは原田さんのおかげでした。欅坂46時代に原田さんが活動復帰(※)された直後のMV撮影で、休憩時間を使い相談に乗ってもらったことがあったんです。そのとき大学との両立をしていたのがメンバー内では原田さんしかいなくて、当時は私との距離が今ほど縮まっていなかったのに、熱心に答えてくださって。そのとき相談していなかったら、グループの活動と大学生活を両立する大きな決断ができなかったので、感謝しています(※欅坂46時代、原田は進学のため2018年5月から一時活動休止し、大学進学を経て2019年7月にグループの活動へ復帰した)。

理佐さんはご飯に連れて行ってもらうことが多く、楽屋でお話をする機会も多いんです。私は音楽番組の出演前にけっこう緊張しやすいタイプなんですけど、本番前に理佐さんとしゃべっていると「大丈夫」と思えてきて。生放送の本番前は意識的に理佐さんへ話し掛けていたので、卒業されたら「私は耐えられるのかな」と不安もあります。

増本:楽屋での相撲や腕相撲とか、理佐さんとは力対決をすることが多かったです。会話以上に直接触れ合う機会が多かったし、理佐さんの肌のぬくもりが心に残っています。原田さんは逆に、会話するタイプの交流が多くて。原田さんは、下からのぞき込むように話しかけてくれるんですよ。(ジェスチャーを交えながら)首をかしげながらのぞき込んでくれる感じというか。同じ目線でしゃべりやすい雰囲気を出してくれるので、何でも相談できたんです。一緒に参加した「BACKS LIVE!!」でも、原田さんのポジティブな考えに支えてもらいました。

原田さんと理佐さんがいなくなるのは悲しいけど、お別れの日までにたくさんのことを吸収して、お2人の魂を自分の中のどこかに置いておきたいなと思います。

(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:上野留加)

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