連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合/毎週月~土曜8時ほか)でアニー・ヒラカワこと初代ヒロイン・安子を演じる歌手の森山良子がインタビューに応じ、娘のるい(深津絵里)との再会シーンについて「るいを見ただけでとても込み上げてくるものがあって、るい役の深津絵里さんを何度も抱きしめたほど」と撮影を振り返った。

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 劇中で森山が演じる女性は、最初は日系米国人のアニー・ヒラカワと名乗っていたが、今週の放送では、実は米国に行ったまま消息不明となっていた安子であることを告白した。



 初代ヒロインの老後を演じる上で心がけた点について、森山は「役作りのためにしたことは、ドラマの中の安子(上白石萌音)を見ていたこと。どういう風に育って、どういういきさつでアメリカに行ったかということや、安子がしゃべる雰囲気とか、そういうところを見ていました」と語った。

 ただ、安子が渡米した後の放送は見ていないという。「『お、ちょっとこれ見ちゃいけない』と思って、途中で視聴を止めました。私が知る必要がない内容だと思ったんです。安子はアメリカに行ってあえて日本に背をむけている。だから、ドラマで描かれている出来事をあまり情報として自分の中に入れてしまわない方が、そのまま安子が年をとってアニーになった感じが出せると思ったんです」と森山。

 撮影で印象に残ったシーンについては「るいとの再会のシーンが最初の撮影だったんですが、るいを見ただけでとても込み上げてくるものがあって、るい役の深津絵里さんを何度も抱きしめたほど。るいに再会できてすごくうれしかったと言うと変ですが、母である安子の思いがとてもよく理解できて、私の中に安子が存在していることを感じました。るいへのせつない気持ちはずっとありましたね」と話した。

 正体を隠していたアニーは、おいのジョージから岡山に行くよう促されるが、もう2度と日本には戻ってこないと強がりを言う。森山は「その言葉の背景にはここで自分がみんなの前に出ていったら、せっかく今みんなが幸せにしているものを台無しにしてしまう、私は私でアメリカで幸せになっているんだからこれでいいんだと自分に言い聞かせている気持ちがあるんだと思います」と推測。
「自分の一番大切な娘のことですから片時も忘れていないんですが、自分から身を引くところに胸が詰まってしまいました。なんでこんなに強いの?安子!って思うくらい。昔の日本の女性の慎ましくもたくましい一面を感じました」と語った。

 連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』は、NHK総合にて毎週月~土曜8時ほか放送。

 森山良子のコメント全文は以下の通り。

<森山良子 コメント>

――「安子」として役を演じるうえで心掛けたことを教えてください。

 役作りのためにしたことは、ドラマの中の安子(上白石萌音さん)を見ていたこと。どういう風に育って、どういういきさつでアメリカに行ったかということや、安子がしゃべる雰囲気とか、そういうところを見ていました。でも、結局自分っぽくなっちゃうものですからね。真似ができるというものでもないですし、50年、60年のあいだに人も変わると思います。逆に、安子がアメリカに行ったあとの放送は見ていないんです。

 「お、ちょっとこれ見ちゃいけない」と思って、途中で視聴を止めました。
私が知る必要がない内容だと思ったんです。安子はアメリカに行ってあえて日本に背をむけている。だから、ドラマで描かれている出来事をあまり情報として自分の中に入れてしまわない方が、そのまま安子が年をとってアニーになった感じが出せると思ったんです。だから、演じていて安子の気持ちのままで日本に戻って、アニーになっているような感覚です。

――「安子」についての印象を教えてください。

 安子は生まれてアメリカに行くまで、家柄の差や戦争など、いろんなことに阻まれてスッと生きては来られなかった。それを思うと、本当にせつないです。稔さんのことも、ずっと大事だったと思います。一番最初に好きになった人とようやく一緒になれた喜びと、その大切な人があっというまに戦争にいって帰ってこなかったせつなさは本当にやるせない。言葉に表せないくらい辛かっただろうと思うし、そういう方達があの当時たくさんいらしたんだろうなと思います。これだけの辛い思いをした人がたくさんいた、という戦争に対するメッセージにもつながっていますよね。人の気持ちや人の歩んでいく道筋、心向きが繊細に描かれているので、ひとつひとつのセリフに感動しています。


――撮影で印象的だったシーンを教えてください。

 るいとの再会のシーンが最初の撮影だったんですが、るいを見ただけでとても込み上げてくるものがあってるい役の深津絵里さんを何度も抱きしめたほど。るいに再会できてすごくうれしかったと言うと変ですが、母である安子の思いがとてもよく理解できて、私の中に安子が存在していることを感じました。るいへのせつない気持ちはずっとありましたね。深津絵里さんはすごくすきな女性だなと思いました。母親と離れて生きてきたことを感じさせる、凛とした美しさと佇(たたず)まいというか、強さというか、そういうものがものすごく感じられてとても感動しました。

 他にも、甥のジョージから岡山に行くことを促される場面で、アニーは明日ここを発ってもう2度と日本には戻ってこないと強がりを言うんです。その言葉の背景にはここで自分がみんなの前に出ていったら、せっかく今みんなが幸せにしているものを台無しにしてしまう、私は私でアメリカで幸せになっているんだからこれでいいんだと自分に言い聞かせている気持ちがあるんだと思います。自分の一番大切な娘のことですから片時も忘れていないんですが、自分から身を引くところに胸が詰まってしまいました。なんでこんなに強いの?安子!って思うくらい。昔の日本の女性の慎ましくもたくましい一面を感じました。

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