櫻坂46の4thシングル「五月雨よ」の活動をもってグループを卒業する一期生・渡邉理佐。5月17日発売の『櫻坂46 渡邉理佐 卒業メモリアルブック 抱きしめたくなる瞬間』(集英社)は、彼女の“アイドル生活約7年”の集大成となる1冊だ。

苦難の時期も「自分を強くしてくれた」とグループでの経験を振り返る彼女に、歴史を共にしてきた一期生や二期生への思い、卒業後の将来像を聞いた。

【写真】卒業を控える櫻坂46・渡邉理佐 撮り下ろし写真&卒業メモリアルブック先行カット

歴史を共にした一期生は「“1からグループをつくっていく”大切な存在でした」

――2015年8月の欅坂46結成から、櫻坂46への改名を経て約7年。卒業メモリアルブックは、渡邉さんのアイドル生活を凝縮した1冊となりました。北海道と沖縄で撮影したアイドルとしての最後の撮り下ろし写真や、ゆかりある方々との対談などを掲載していますが、完成した作品の感想はいかがですか?

渡邉:大切な作品になりました。やり残したことがなく、もっとこうすればよかったという後悔もありません。お話を頂いてから、スタッフさんに「どんな撮影をしたいか」「誰と対談したいか」を提案させていただいて。要望をすべてかなえていただきました。

――グループ結成時からの仲間で一期生の尾関梨香さん、菅井友香さん、原田葵さんとは、別々のテーマでロケも行いました。1人ずつ、撮影の思い出も教えてください。まず、菅井さんとの撮影はいかがでしたか?

渡邉:欅坂46時代からキャプテンとしてグループを引っ張ってくれているので、一緒にロケへ行きたかったんです。友香とはずっと「温泉に行きたい」と話していたので、温泉旅行をテーマに撮影して。すてきな宿で、一緒に足湯へつかっているカットも撮りました。
あと、友香といえば特技が馬術なので、スタッフさんに「一緒に乗馬ができれば」とお伝えして、2人で乗馬ができたのも楽しかったです。

――尾関さんとは“ドライブ”をテーマに撮影。自然な表情で楽しむお2人の姿が印象的でした。

渡邉:プライベートでも一緒にご飯を食べに行ったりして仲がいいんです。2人合わせた“おぜりさ”コンビが好きと言ってくださるファンの方も多いですし、一緒にドライブデートを楽しみながら撮影しました。ロケ地では、おぜちゃん(尾関)と普通に遊んだり、食べ歩きしたり、お散歩したり。日常的な風景も写真に収めていただきました。

――渡邉さんと同じく、4thシングル「五月雨よ」の活動をもって卒業する原田さんとは、自然豊かな場所でキャンプを楽しんでいました。

渡邉:葵ちゃんとはずっと「バーベキューがしたい」と言っていたので、キャンプをテーマにしました。欅坂46の結成後、デビューを控えていた時代から仲がよくて。昔の写真を見返すと、隣にいるのがだいたい葵ちゃんなんです。お互いの関係性を“姉妹”と言ってくださるファンの方も多いので、どの写真も思い出深いカットになりました。


――三者三様のロケを楽しんでいたんですね。尾関さん、菅井さん、原田さんとの対談も収録されています。グループの歴史を築いてきた一期生の皆さんと語り合ってみていかがでしたか?

渡邉:3人とも一対一でじっくりと語り合う機会はなかなかないので、出会った当時の第一印象など、どう思っていたのかを本人から聞けてうれしかったです。同期のメンバーは“1からグループをつくっていく”にあたって大切な存在でしたし、感謝の気持ちも伝えられてよかったです。

卒業発表後も不思議な感覚「ずっとこのまま続いていくんだろう」

――卒業メモリアルブックに収録されている単独インタビューでは、卒業決断へ至った経緯も詳細に語っていました。決断後はメンバーの皆さんに発表する場面もあったと思いますが、当時はどんな状況で自分の思いを伝えましたか?

渡邉:4thシングル「五月雨よ」のフォーメーション発表当日に、みんなに伝えました。卒業を考え始めてから、キャプテンの友香にはスタッフさんとの相談内容とか、進捗を伝えていましたけど、ほかのメンバーに発表したのはその日が初めてでした。

卒業が決定してから発表までは普通に過ごしていて、当日も緊張感はなかったです。メンバーの前でシンプルに「4枚目のシングルの活動をもって卒業します」と言って、当時はまだ2021年だったので「あと約半年ですけど、よろしくお願いします」と伝えました。

――菅井さんには進捗を伝えていたそうですが、ほかの皆さんは、突然の発表に驚いたのかとも思います。

渡邉:私が思った感じでは、みんなビックリしている様子ではなかったです。特に、一期生はこれまでたくさんの卒業生を見送ってきたので、卒業する前の雰囲気を何となく察している子もいたのかなと思います。
二期生は、発表直後に藤吉夏鈴と森田ひかるが「寂しいです」と寄ってきてくれて。かわいいなと思いました。

――その後、公式に卒業発表したのが今年の1月後半。卒業までの時間も残りわずかとなった現在(編集部注:取材は4月下旬に実施)は、どんな思いで活動に取り組んでいますか?

渡邉:卒業の実感があまり湧いていないので、不思議な気持ちです。4thシングル表題曲「五月雨よ」や、センターを任せていただいた「僕のジレンマ」の制作時も「これが最後なんだ」と頭では考えていましたけど、現実味はなかったです。それ以降も普通に過ごしているし、寂しさが込み上げるでもなく「ずっとこのまま続いていくんだろう」という感覚です。

苦難の時期が「自分を強くしてくれた」 櫻坂46としての原動力にも

――アイドル生活約7年。欅坂46の改名を経て、櫻坂46のメンバーとして活躍する現在までを振り返り「続けてきてよかった」という思いはありますか?

渡邉:どの瞬間も経験できてよかったと素直に思います。無駄なことは1つもなかったし、1つ1つの出来事があったからこそ成長できたと感じているので。すべての瞬間が思い出に残っているし、大切な宝物になりました。

――「成長」という言葉が出てきましたが、7年間の中で、自分自身を最も成長させてくれた出来事は何でしたか?

渡邉:欅坂46時代と櫻坂46時代で、それぞれありました。欅坂46時代には、シングルをリリースできなかった時期があったり、思うようにいかない時期があったんです。
その時期に味わった悔しさがあったので、櫻坂46の活動を頑張れたと思っています。当時得た感情が自分を強くしてくれたし、今は「もっとこうだったらよかった」と振り返るのではなく「よかったんだ」と受け入れています。

櫻坂46として言えば、欅坂46からの改名が大きかったです。自分自身の責任感や活動に対する意識を高めるきっかけになりましたし、グループについてより深く考えなければいけなくなる出来事でした。

――グループの改名により、渡邉さん自身はどう変わったのでしょう?

渡邉:考え方が大きく変わりました。改名は、グループを“新しく1からつくる”ほどの出来事でしたし、一期生として、後輩を育てなくてはいけない時期に差し掛かってきたと感じて。二期生にはのびのびと成長できる機会にしてほしかったですし、私も成長しながら、後輩のみんなも引っ張っていけるようにグループの土台を作ろうと思ったんです。

その思いがあったから、改名後は二期生ともよく話すようになりました。曲ごとのフォーメーションで、ポジションが近い子へ積極的に話し掛けるようになって。何となく「今は落ち込んでいるのかな」と察したり、自分なりのやり方で距離を縮められたと思います。

――その優しさを受け取った後輩の皆さんには、渡邉さんの卒業以降、どのようにグループを支えていってほしいですか?

渡邉:これからのグループを引っ張っていく存在ですし、初心を忘れず、周りの人たちを大切にしながら無理せず、頑張ってほしいです。思い通りに行かなくてつまずくこともあるかもしれないけど、前向きに取り組んでほしい。
人は頑張ったぶんだけ成長できると思いますし、精いっぱい、楽しみながら活動してくれればと思います。

1人になるグループ卒業後は「不安より楽しみの方が大きい」

――約7年の活動を通じて、一番大切にしてきたことは何ですか?

渡邉:卒業メモリアルブック内の企画「46のこと」でも挙げた「自分のことを大切にしてくれる人を大切にする」という思いです。私だけでは何もできなかったし、その思いがあったから活動を続けてこられたと思います。

――その言葉は、卒業後もグループに受け継がれていくと思います。さて、5月21日~22日にはアイドルとして最後の大舞台「渡邉理佐 卒業コンサート」も控えていますが、本番ではどんなステージを見せたいですか?

渡邉:アイドルとして最後の姿をお見せするコンサートですけど、卒業後も活動を続けていくので、お別れやさようならばかりではないステージにしたいです。みんなで楽しく笑顔で、私からの感謝を伝えられるコンサートにしたいと思います。

――ラストステージでの勇姿に期待しています。そして、グループでの活動からソロ活動への移行も大きな変化だと思いますが、現時点でどんな将来像を描いていますか?

渡邉:時間の使い方を工夫しながら自分自身を高めていければと思います。知らないことも多いので、勉強しながら新たに力を付けていければと考えていて。1人になる寂しさもあると思いますけど、自分で選択しながら物事を進めていけると思うので、不安より楽しみの方が大きいです。

(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:上野留加)

 櫻坂46・渡邉理佐卒業メモリアルブック『抱きしめたくなる瞬間』は集英社より5月17日発売。価格は2200円(税込)。

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