日向坂46の7thシングル「僕なんか」は、グループの分岐点を象徴する。本作の表題曲で一時活動休止していた小坂菜緒がセンターへ復帰。
【写真】かわいいポーズを取る、富田鈴花&松田好花 撮り下ろし写真(8枚)
「僕なんか」初披露の舞台裏 活動復帰したセンター・小坂菜緒の魅力
――7thシングル表題曲「僕なんか」は、3月末に開催した東京ドーム公演のアンコールで初披露したのも印象的でした。本番に向けての心境はいかがでしたか?
富田:当日までのスケジュールがタイトでしたし、新曲の初披露もあったので混乱していました。本番では、アンコール直前にステージ裏で全員で待機していたとき、「新曲発売」とスクリーンで発表された瞬間にスティックバルーンの大きな音が聴こえてきたのを覚えています。その瞬間に感極まって、すてきなものを披露したいと思いました。
松田:私も、当日までは不安が大きかったです。新曲の振り入れをしたのがドーム公演の直前でしたし、MVとは違って両手を使わず、ハンドマイクを持った片手だけの振り付けに切り替えるのも苦労しました。曲の終盤にある高速で手を動かす振り付けを、本番ギリギリまでみんなで確認し合って、互いに支え合いながら乗り越えられました。
――皆さんの努力がひしひしと伝わってきました。さて、今回のシングルはセンターを務める二期生・小坂菜緒さんの活動復帰作でもあります(※)。
富田:ドーム公演の本番で初めて気が付いたんですけど、久々にセンターへ立った菜緒の表情が、楽屋やリハーサル中と全然違うんです。本番までは「できるかな?」と不安そうな表情を浮かべていたし、私も「大丈夫かな?」と心配していたけど、そんな心配がいらないくらい堂々とパフォーマンスしていました。
松田:センターを任される人は、その人自身の存在感で楽曲のイメージが変わる印象もあると思うんです。でも、菜緒は周りを引き立たせてくれるタイプで。周囲を引っ張るのではなく「みんなで1列になって進んでいこう」と思わせてくれるし、菜緒の存在感があるから私たちも目立てるのかなと思います。
卒業する渡邉美穂へ伝えたい、2人の特別な思い
――今回のシングルをもって、二期生の渡邉美穂さんが卒業されるのも注目されました。富田さんと松田さん、渡邉さんは3人組の仲良しユニット“ごりごりドーナッツ”としても親しまれていますが、卒業を聞いたときに何を思ったのでしょうか。松田さんはブログで、電話で聞いたと明かしていました。
松田:普段から連絡は取り合っていましたけど、電話をする機会は少なかったので、「電話したい」と伝えてきたときに嫌な予感はありました。直接言葉で伝えたいほど、大事なことがあるんだろうって。美穂が将来について話していたのを聞いたこともあったし、早いうちにグループを去ってしまうかもしれないと感じていたんです。
でも、電話越しに美穂が自分の気持ちをしっかり伝えてくれたので、安心しました。いろいろと悩んだ上で答えを出して、人生のステップアップのために進んでいくんだと知り、同い年として尊敬したんです。今は、残りの時間で楽しい思い出をたくさん作ろうと思っています。悲しさだけでは美穂の重荷になってしまうだろうし、本人も明るくいてくれるので、以前と変わらず楽しく過ごしています。
富田:私も、みんなへ発表する数日前に電話で聞きました。アイドルとしても人間としても近しい関係でしたし、たぶん、ファンの皆さんが卒業を聞いたときと、私たちが聞いたときの感覚は違ったのかなと感じています。私たちから見た美穂は、やりたいことを明確に持っている人だったから。誰よりも強く自分の夢を持っている子だと、思っていました。
卒業を聞いたときは、一緒にやりたいことがたくさんあったし悔しかったです。でも、電話をしながら徐々に、気持ちが変わっていきました。夢に向かって真っすぐ突き進む姿を絶対に応援したいし、グループで培った以上のものを、ほかの世界でも発揮しながら、いろいろなものをたくさんの人に伝えられる人になってくれたらうれしいです。
――同期の決断を受け止めるまでの心境の変化が、十分に伝わってきました。共に活動してきた仲間として、渡邉さんはどんな存在だったのでしょうか?
松田:楽曲のパフォーマンスやバラエティー番組での立ち居振る舞い、演技のすべてにおいて「すごい!」と思わされるほど才能を持った子です。特に、3rdシングル「こんなに好きになっちゃっていいの?」で、シンメトリーのポジションを担当したときに思いました。フォーメーションのバランスを保つためにシンメの子がどう踊っているのかを意識しているんですけど、レッスン中の美穂を見ていて感心しました。
ストイックにダンスを練習していて、表現も上手だし、私もこうなりたいと思うほど刺激を与えられて。自分にとっては、向上心を忘れさせないでいてくれる存在です。でも、子どものようにはしゃいでいるときもあるし、かわいらしさとのギャップも好きで。だから、どんな美穂も好きです。…って、好きの話で終わっちゃう(笑)。
――大丈夫です。そんなお話が聞きたかったので(笑)。富田さんはいかがでしょう?
富田:加入直後から、一期生さんとの架け橋になってくれていました。
――お二人がどれほど信頼しているのか分かりました。ちなみに、渡邉さんとの一番の思い出は何でしょうか?
松田:一番かぁ。悩みます…(しみじみと)。
富田:2ndシングル「ドレミソラシド」の頃だったかな。美穂と好花と一緒に、激辛ラーメンを食べに行ったんです。でも、私と好花はそんなに辛くないラーメンを注文して、美穂だけ激辛ラーメンを頼んで。美穂はライブでも一番を争うほど汗っかきなんですけど、めちゃくちゃ汗だくになって食べていたのを覚えています(笑)。
松田:あった(笑)。あと、思い出したのは鈴花の“20歳の誕生日”です。美穂と一緒に鈴花の自宅へお邪魔して、鈴花が初めてお酒を飲むのを見守ったんです。当日まで、美穂とは「ようやく3人でお酒が飲めるね」と話すほど楽しみにしていたのに、お酒をひと口飲んだら美穂の顔が真っ赤になっちゃって。美穂はめっちゃ饒舌になるし、鈴花はめっちゃ笑っているし、カオスでした(笑)。結局、美穂はいっぱいしゃべって満足したのか早めに寝てしまいましたけど、そんな姿もかわいいなと思います。
新メンバーへの期待 日向坂46がもたらしてくれた“私たち”の変化
――オーディションが進行中の日向坂46は、8月に新メンバーを発表する予定です。グループの変化に何を期待しますか?
富田:いろんなタイプの子に入ってきてほしいです。この子は「日向坂46っぽくない」と感じる子がいても、面白いなと思って。変化は人の成長に欠かせないものですし、私たちもおおらかに変化を受け入れられるグループだと、活動を通して証明できればと思います。
松田:少人数ではなく四期生だけで魅力あるグループを作れるくらい、たくさんの子たちが入ってくると予想しています。日向坂46が好きな子はもちろん、そうでない子が入ってくれば違う風が吹きそうな気もするので楽しみです。
――お2人は日向坂46の二期生として加入後、何が変わったと思いますか?
富田:アクティブになりました。日向坂46へ入ってから、いろんなジャンルのお仕事をさせていただけるようになって。常に新しいものへ触れられる世界なので、お仕事に必要なことを学ぶために、博物館とか景色のきれいな場所とか、母と一緒にいろいろな場所へ飛び回るようになりました。加入前に自宅でダラダラ過ごしていた時代も幸せでしたけど、自分から物事を知りたいと思うようになったし、もっともっとお仕事へつなげられることを吸収していきたいと思います。
松田:私は、めっちゃしょうもないかもしれないけど…髪型です。もっと内面的なことを聞きたかったのかもしれないですけど…(笑)。3歳から加入前の高校3年生までクラシックバレエをやっていて、発表会では髪の毛をお団子にまとめないといけなかったので髪を伸ばしていたんです。でも、きっかけがあって髪をショートカットにしてから、少しずつ変わっていきました。
――どんなきっかけがあったんですか?
松田:握手会で私だけレーンに立たない時間ができたことがあり、独りぼっちで待機しながら「私はこの時間、誰にも求められていないんだ」と落ち込んでしまって。駆け寄ってきてくれたスタッフさんに悩みを打ち明けたら「変化を付けてみるのもいいかもね」と言ってくださったんです。当時は、髪の長さが悩みだったので相談したら、メイクさんがヘアピンで止めながらショートカットのシミュレーションをしてくださって、「意外といいかも」と言われたので髪を切ろうと決めました。当時はつらかったけど、1人っきりの時間をきっかけに新しい自分と出会えたので、よかったなと思っています。
(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:上野留加)
日向坂46の7thシングル「僕なんか」は発売中。