山下智久主演のドラマ『正直不動産』(NHK総合/毎週火曜22時)が、今夜いよいよ最終回を迎える。“風が吹くと嘘がつけなくなってしまう”主人公の成長を山下が見事に体現しており、「今期No.1ドラマ」との呼び声も高い本作。
【写真】山下智久×山崎努の共演再び! 『正直不動産』最終話(第10話)より
火曜22時に必要なドラマとは?
本作は、やり手の不動産営業マン・永瀬財地(山下)が、アパート建設予定地にあったほこらを壊した呪いで、嘘がつけない体になってしまうことから始まる物語。正直すぎる不動産屋となって奮闘していく永瀬と、家を売る人・求める人の人間ドラマを痛快に描き、「勉強になる」「毎話、泣いてしまう」など、SNS上でも高評価を集めている。
「ここまでの反響をいただけるとは思っていませんでした」と喜びの声を上げた宇佐川P。企画当初に目指していたのは「頑張って働いている人にとって、元気が出るようなドラマ」だという。
「週半ばの火曜日だからこそ、ドラマを観て“今週も頑張ろう”と思えるお仕事ドラマを作りたいと感じていました。恋愛だけではなく、仕事の大変さや喜びをきちんと描きたいというところからスタートした企画です」と述懐。原案・夏原武、脚本・水野光博、作画・大谷アキラの同名漫画をドラマ化した本作だが、その原作を“ドラマにしたら面白い”と思った理由は「衣食住の中でも、“住”に関するドラマってあまりないなと思って。しかも不動産業界の裏側の知識を交えながら、“住”を思い切り描くドラマなんてほとんどないのでは」という興味からだと話す。
高齢化社会、コロナ禍において「どのような住まいが必要なのか?」と考えるきっかけにもなるようなドラマで、「不動産業界、つまり“住”に関して、みんなが“本当は知りたいけれど、難しい”と感じているところにしっかりと取り組めば、きっと面白いものになると思いました。『正直不動産』という原作をもとに、骨太な知識欲と人間関係の面白さをエンタメとして描いてみたいと思った」と意気込みを明かし、 “正直に生きること”というテーマ性も、今の時代にマッチしているものだと続ける。「正直に生きることが難しい世の中で、“失敗してしまったとしてもやり直せるんだ”と思わせてくれる永瀬が、視聴者の方々にとって応援したくなるような存在になったのではと思っています」。
山下智久が演じることで「飾りごとではない、本物の永瀬が生まれた」
ドラマを成功に導いた一番の要因として、宇佐川Pはスタートが良かったと語り「主演に山下さんを抜てきして、お引き受けいただけたこと。そして、脚本家の根本ノンジさんが“ぜひやりたい”と参加してくれたこと」ときっぱり。
「山下さんの姿を拝見していると、スターでありながら、ものすごく愚直で、地べたを一歩ずつ踏みしめながら前進している方だなと感じて好感を抱いていました。そんな山下さんが、奮闘しながら愚直に生きる永瀬を演じたとしたら、飾りごとではない、本物の永瀬が生まれると思いました」と熱弁し、「山下さんも今回の題材に大変興味を持っていただいて、スケジュールを工面してくださった。山下さんは日本の財産であり、僕自身、日本でのお芝居ももっと見たいと思っていたので、本当にうれしかったです。日本も世界の一部ですので」と目尻を下げる。
『野ブタ。をプロデュース』や『クロサギ』でも、キャラクターの二面性をしっかりと表現する演技力が光っていました」と山下の演技力にも惚(ほ)れ込んでいた宇佐川Pだが、いざ撮影が始まると衝撃を受けることばかりだったそうで、「山下さんは、アイデアがとても豊富。制作の一員として、たくさんのアイデアを出してくださっていました。
「タワマンから小さなアパートに引っ越した永瀬が、“ダンベルだけはダンボールから出している”というアイデアをくれたのも山下さんです。またアドリブが多いのが、居酒屋のシーン。4話で“大将、おかわり。半分入っているけど、頼んじゃう”というセリフも山下さんのアドリブ。セリフはもちろん、その場の空気感も含めて面白いシーンになっていました」と宇佐川Pも山下のアドリブが見られることが、楽しくて仕方ないといった様子。
そして“風が吹くと嘘がつけなくなってしまう”という、今や視聴者にとってお楽しみのシーンとなった場面での山下の演技について、宇佐川Pは「発明」だと舌を巻く。
「枯れ葉を飛ばすブロワーを使って、風を表現しています。初めて山下さんの前で“こんな感じの風になります”とスタッフが披露したときには、あまりの強風ぶりにスタッフの髪の乱れ方が半端なくて。山下さんと一緒にいた市原(隼人)さん、福原(遥)さんも、“本当にこれをやるの!?”と心配そうにしていたようです。いざ本番となって風を吹かせてみたら、山下さんはいくら乱れてもかっこいいんです! あのシーンは、山下さんの力を借りないととんでもないことになります」と笑いながら、「永瀬は口で本音を話しながら、それを止めようという動きもしている。山下さんのそういったお芝居を見ていると、感動と驚きでいっぱいになりました。
山崎努との特別な絆「ドラマを超えたシーンが生まれた」
新入社員・月下役の福原、永瀬とライバル関係にある桐山役の市原をはじめ、隅から隅までベストマッチなキャスティングが実現。1話のゲストとして名優・山崎努が登場したことも話題となった。本作と同じ夏原が原案を務めたドラマ『クロサギ』などですばらしい関係性を築いてきた山下と山崎にとって、今回は10年ぶりの共演。本作の1話放送当日には、山崎がツイッターを開設し、宇佐川Pがそのことを伝えると「本当ですか?」と驚いた山下も、山崎のつぶやきに応える形で、急いで自力でツイッターを開設するなど、強い絆で結ばれている。
宇佐川Pは「本作を通して、そんな瞬間に立ち会えるなんて、とてもうれしかったです」としみじみ。1話での2人の共演シーンでは「なぜ仕事を続けるのか」という永瀬の疑問に対して、和菓子職人の石田(山崎)が真摯(しんし)な答えを繰り出す場面もあった。宇佐川Pは、裏側をこう語る。
「脚本家の根本さんは、『野ブタ。をプロデュース』のスタッフにも名を連ねていらっしゃって、『5→9~私に恋したお坊さん~』でも山下さんとご一緒するなど、山下さんのことをずっと見てきた方。山下さんがどれだけ、山崎さんのことを尊敬しているかもご存知です。二人のシーンについては、最終的には山崎さんのご意見も参考にして、山崎さんご自身が山下さんに伝えたい思いも、セリフに入っています。
最終回は“エンターテイナー永瀬”に注目! 続編の可能性は?
山下の見事なまでの永瀬へのハマり具合、山崎との感動的な再会、どのキャラクターも理想的なキャスティングが叶うなど、あらゆる奇跡が巻き起こった本作。現場の士気など、すべての原動力となったのは「山下さんがいつも予想を超えるお芝居をしてくれたから。新しいものを見ている気持ちにさせてくれて、僕らもワクワクしました」と語る宇佐川P。いよいよ今夜最終回を迎えるが、「一つお楽しみをあげると、最終回では、永瀬が“どう考えても普通の人間にはできないだろう”というような動きをします! “エンターテイナー永瀬”を見ることができる場面ですが、これまで培ってきたことを踏まえながら山下さんが考えてくれたシーンで、撮影が終わった瞬間、現場では拍手が沸き起こりました!」と、とっておきの見どころポイントを明かしてくれた。
こうなると続編も待ち望まれるが、宇佐川Pは「個人的には、永瀬の成長をもっと見たいですね。永瀬が出世していったら、どういう苦労があるんだろうとか。原作に描かれた大好きなシーンやキャラクターも、まだまだたくさんあります」と大きな期待を寄せ、「自分としても、視聴者の方と一緒に盛り上がっていけたことを実感しています。本作に吹いた追い風は、こちらが作ったというよりも、視聴者の皆さんが一緒になって楽しんで作ってくれたもの。“テレビドラマってやっぱり楽しいよね”と、改めて思わせてくれた作品になりました」と心を込めた。
ドラマ『正直不動産』最終回(第10話)は、NHK総合にて今夜22時放送。
※山崎努の崎は正式には「たつさき」