2次元から飛び出してきたかのようなルックスに、ハッとさせられる演技力。アニメや映画など数々の実写化を成功させてきた吉沢亮は、今や“実写化の神”と呼んでも過言ではない。
彼の代表作のひとつ『東京リベンジャーズ』(2021/以下、『東リベ』)が、30日に『土曜プレミアム』(フジテレビ系)で地上波初放送されるのを機に、改めて俳優・吉沢亮の魅力をひも解いていきたいと思う。
【写真】首筋のタトゥー×白い肌が最高 『東京リベンジャーズ』“黒髪のマイキー”吉沢亮のビジュアル
■原作ファンをうならせる憑依力
吉沢が、“マイキー”にふんしている姿を初めて見た時の衝撃は忘れられない。『東リベ』で、彼が演じた佐野万次郎(=マイキー)は、原作ファンの間でも人気が高いキャラクターだ。不良集団「東京卍會」の総長で、圧倒的なカリスマ性を持つ男。ケンカがすこぶる強いのに、その他の場面ではおっとりしているギャップにやられるファンが多い。
ただ、『東リベ』に出てくるキャラクターの中で、いちばん浮世離れしているのがマイキーだ。つまり、いちばん3次元対応しづらいキャラクターとも置き換えられる。原作ファンの筆者も、“マイキーを誰が演じるのか問題”は懸念していた。
だが、吉沢は原作ファンをもうならせるほどの憑依力を見せた。近づいただけで、花垣武道(北村匠海)をビビらせる危うさ。旬の若手俳優陣が集結しているなかでも、圧倒的な華をまとっていたのだ。何を考えているのか分からない力の抜けたしゃべり方も、マイキーの“らしさ”を体現していたように思う。
吉沢は、同時期に大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)で主演を務めていたが、同じ人物が演じているとは思えないほどのギャップに驚かされたのを覚えている。両作を通して、彼が表現の幅が広い俳優であることを再確認させられた。
■実写作品に多用される吉沢亮の魅力とは?
『東リベ』のほかにも、数々の少年漫画の実写化作品に参加してきた吉沢。とくに、『銀魂』(2017)、『銀魂2 掟は破るためにこそある』(2018)の沖田総悟のハマりっぷりはすごかった。原作へのリスペクトは守ったままで、彼ならではの沖田を体現する。コメディー色が強い作品ではあるが、沖田のカッコ良さが物語を締める役割を担っていた。
吉沢はいつも、実写化作品を通して原作キャラへの愛が増すような演技を見せてくれる。実写化作品に多く起用されるゆえんは、そこにあるのかもしれない。
圧倒的な華を持つカリスマから、陰気な青年まで。型にとらわれることなく、さまざまな役柄に挑戦してきた吉沢。少年漫画のような熱い作品で存在感を発揮したかと思えば、『ママレード・ボーイ』(2018)や『あのコの、トリコ。』(2018)など王道少女漫画の実写化で、胸キュン演技を披露していたり…。
コロコロと変わる表情が、見る者を惹(ひ)きつけて離さない。圧倒的なビジュアルを持っているため、外見に目を奪われがちだが、高い演技力を誇るのも魅力のひとつだ。
また、吉沢は小説の実写化にもはまる。最も印象的なのが、『青くて痛くて脆い』(2020)での演技だ。演じた田端楓は、人生を諦めているような陰気な青年。周囲を圧倒するスター性を持っているのに、作品に入るとそれを封印できてしまうのも、吉沢のすごみである。秋好寿乃(杉咲花)に出会い、徐々に光を取り戻していく楓の瞳。そこから、復讐心に切り替わるまでの心の揺れを、大胆かつ丁寧に演じていた。
アニメや漫画の実写化は、原作ファンから物議を醸すことも少なくない。実際に筆者も、「実写化かぁ…」と思ってしまうこともある。しかし、私たちの予想をはるかに上回る好演を見せてくれる吉沢は、原作ファンが安心して“推しキャラ”を任せられる俳優とも言える。どんな時でも原作へのリスペクトを忘れない吉沢は、今後も実写化作品で引く手あまたとなるだろう。
(文:菜本かな)
映画『東京リベンジャーズ』は、フジテレビ系にて30日21時放送。
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