2008年から開催されている“コント芸日本一”を決める『キングオブコント』が今年も開催される。決勝進出者は、いぬ、かが屋、クロコップ、コットン、最高の人間、ニッポンの社長、ネルソンズ、ビスケットブラザーズ、や団、ロングコートダディ(50音順)の10組。
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■ ニッポンの社長
2013年結成、NSC大阪校32期の辻と同校33期・ケツによるコンビニッポンの社長。シュールで、少しだけブラックなコントを得意とする2人のネタは、設定はぶっ飛びつつ、あくまでも我々が想像しやすい日常生活がシチュエーションになっていることが多い。
例えば、初めて決勝に進出した2020年決勝での「ケンタウロス」。冒頭、ケツ演じる高校生が下半身だけ馬の姿で登場し「もうええて! なんで俺だけ下半身馬やねん」「1番足速いのに、1番モテへん」と、ケンタウロスであることの苦しみを約2分間1人芝居。そこに顔だけ牛のミノタウロスの女性、辻が登場し、HYの『AM11:00』を歌い出すというネタだ。
このネタ、ストーリーだけ見るとラブストーリーのように思えるが、最後の最後への展開がなんとも“ニッ社”らしい。HYを歌っている彼らを見て「なんだ、これ」と笑っていた審査員が「そう来たか…」と言わんばかりの表情で点数をつけていたのも、今思えば狙い通りだったように思える。ただ、ほっこりとだけでは終わらせず見ている側を困惑させて、記憶に残っていくのがニッポンの社長ワールドなのだ。
そんなニッポンの社長ワールドは、確実に広がってきている。キングオブコント3年連続進出のみならず、2021年には『水曜日のダウンタウン』(TBS系/毎週水曜22時)内の企画、30秒でネタを披露する「30‐1グランプリ」で優勝。同年行われた「第8回NHK新人お笑い大賞」にて大賞、2022年には「第57回上方漫才大賞」の新人賞を獲得。
■ビスケットブラザーズ
NSC大阪校33期生のビスケットブラザーズは、宣材写真で赤の衣装を身にまとっているツッコミのきんと、青系統の衣装を着る原田泰雅によるコンビ。ビスブラの愛称で親しまれている。ちなみにNSC33期生といえば、先述したニッポンの社長・ケツのほか、コロコロチキチキペッパーズ、男性ブランコ、ZAZY、マユリカとテレビや賞レースで活躍しているメンツが多く注目されている世代。ビスケットブラザーズも例外ではなく、2020年には「第5回上方漫才協会大賞」にて文芸部門賞、同年「第9回ytv漫才新人賞」では優勝、翌2021年には「第51回NHK上方漫才コンテスト」で優勝するなどじわじわと実力をあらわにしている。
そんなビスケットブラザーズのネタは、原田のキャラクターを生かしたコントが中心。お芝居を見ているかのような原田の伸びやかな声と、強烈なワードセンス。それを優しい言葉できんがツッコむ。このテンポ感は一度見たら「また次も見たい」と思わせてくれるだろう。
『キングオブコント』決勝進出は、2019年ぶり。
■ロングコートダディ
2年ぶり2回目の決勝進出を決めたのはロングコートダディの2人。メガネをかけている細身の堂前透と、どこか憎めないキャラクター兎によるコンビで、ツッコミとボケはそのときどきで変わるスタイル。NSC大阪校31期生の同期コンビだ。
ロングコートダディの代表的なネタといえば、初の決勝進出を果たした『M‐1グランプリ2021』(テレビ朝日系)で披露したネタを挙げる人も多いのではないだろうか。ワニに生まれ変わりたいと願う兎が、堂前演じる生まれ変わりの設定を支持する人により何度も“肉うどん”として生まれ変わってしまうという内容。冷静な表情で「あなたは肉うどんです」という堂前と、それに対して大きく目を見開き「肉うど~~~ん!?!? え!?」と声を上げる兎。当時、SNSのタイムラインには「肉うどん食べたくなってきた」「明日のお昼、肉うどんにしよう」という声も多く見られたと記憶している。
そんなロングコートダディが『キングオブコント』の決勝に進出するのは2年ぶり2回目。2022年8月17日に放送された『カーネクストpresents オールザッツ漫才 真夏のゴールデンSP』(MBS)のネタバトルで優勝を果たしたばかりの彼らが、どんなコントを見せてくれるのか、注目だ。(文:於ありさ)
『キングオブコント2022』は『お笑いの日2022』内でTBS系にて10月8日19時放送。