8月に人気YouTubeグループ・東海オンエアのてつやとの結婚を発表、9月1日に発売したスタイルブック『短所ネガティブ 長所ネガティブ』(主婦の友社)はすでに第4刷と大ヒットするなど、公私ともに絶好調の峯岸みなみ。同書に収録された自叙伝を読むと、自身のネガティブを受け入れ、飾らない生きざまが伝わってくる。

彼女に話を聞くと、「うまくいかない理由を人のせいにしていた」という思考が手放せるようになったそうで、それにはAKB48卒業やてつやとの恋愛などを経て感じたさまざまな気付きが影響を与えているという。日々、試行錯誤を繰り返して模索しながらも邁進する峯岸の内面に迫った。

【写真】幸せモードあふれる笑顔の“みぃちゃん”峯岸みなみ インタビューカット

■スタイルブックの反響で気づいた「好きを発信することの大切さ」

 同書は、ファッション、メイク、ダイエット、仕事、恋愛など、ネガティブさが魅力の峯岸のすべてを写真や自叙伝を通して詰め込んだスタイルブック。タイトルの“ネガティブ”という言葉通り、AKB48時代、周囲への劣等感の影響で形成されたネガティブな思考から、同書の打診も最初は消極的だったという。だが、「『こだわりがない』『自分に自信がない』という人たちが勇気をもらえるような本を作ってほしい」との出版社からの言葉を受け、「AKB48の中でもファッションリーダーやビジュアルメンバーでもなければ、神7でもなかったし、目立ったスポットが当たる存在ではなかったけど、背伸びしなくてもいいならいけるかもしれないと思って。見栄を張りたい自分もいましたが、それだと自分が伝えたいことと違ってくる。 “ありのままの自分”というコンセプトでできるなら」と決断したという。

 自身の著書は王道アイドルの写真集、フォトエッセイに続き、今冊が3冊目。「3冊の流れが自分の人生の変化と重なっていて。今回、自分のことが好きになれたタイミングで出せ、ネガティブ要素を受け入れ、いろんなものから解放された自分を詰め込められたので、私にとって宝物のような本になりました」と満面の笑み。

 周囲の反響を聞くと、指原莉乃から「みぃちゃんがいろんな人から愛されていることがわかる本だった。“大切にされる”って最強だね」という感想メールが届いたことを明かし、「愛され術や自分がどれだけ大切にされているかを表現したい本ではなかったけど、自分の日々を詰め込んだ中でそういう要素を感じてもらえるのはすごくうれしい。
今の自分はすごく幸せ者だと、さっしーの目線からの言葉で改めて気がつくことができて、うれしい気持ちになりました。芸能生活17年、ダメなこともひっくるめて、このタイミングで振り返れてすてきにまとめていただけたのはいい節目になりました」と感謝する。

 同書では、初めて自身のクローゼットを公開。もともと洋服好きでファッション関係の仕事にも興味はあったが、自信がなくて発信できていなかった峯岸。

 「今までファッション関係のお仕事はあまりないし、オシャレなイメージはなかったと思うんです。でもこの本でクローゼットをさらけ出したことで、『洋服好きなんです』って少し声に出して言えたので、今までよりも自由に自分の好きな服を取り入れることができるようになりました。

 私が突然オシャレな衣装で出てきたら『どうしたの?』ってなっていたと思うんです(笑)。でもこの本をきっかけに今までとはイメージが違う衣装でテレビに出ても、『好きって言ってたもんね』って受け入れられているような気がして楽になりました。学校でも会社でも好きなことを隠さなかったら、まわりの受け手側も準備ができるのかも…。好きを発信することって大切なことだと思いました」。

■AKB48卒業を決断して覚悟 「価値を感じてもらえるような人間にならなきゃいけない」

 数年前に比べると、肩ひじを張らず、より自然態でタレント活動を行っているように感じられる峯岸。同書の自叙伝では、ネガティブを受け入れたことでのマインドの変化がまとめられているが、そういう思考になった一番のきっかけを聞くと、昨年開催した自身のAKB48卒業コンサートが大きかったと答える。


 「卒業コンサートではAKB48への恩返しがしたくて、どうすればグループにプラスになるのか。1期生最後のメンバーとして15年半在籍した自分がそれを一番考えられるという思いがあって。スタッフさんも自分より後から入ってきた方も多かったので、自分がやりたいことを表現するにあたって誰かの力を借りるよりは自分で構成した方がいいと。今まで自分で決断をしてこなかった私が初めて決断を重ねて頑張ってつくりました。その結果、アイドルとしての仕事としては一番褒めてもらえたんです。自分で決めたことが評価される喜びを感じ、自己肯定感も上がりました。それまでいろいろ失敗したけど、最後に自信をつけて卒業できたので、その後のいい道筋になってくれたなって思います」。

 またAKB48を卒業して一人で芸能界を生きていくという覚悟が、人のせいにしがちだった思考の変化にもつながったという。「若い時は、評価されないことに対して、『こんなに頑張っているのになぜわかってくれないの?』と人のせいにしていました。でも冷静に見渡すと、自分が丁寧に扱ってもらえないのは自分に価値がないからだと、悲観的でなく当たり前のこととして受け入れられて。自分がまだそこに達してないと思えたんです。だから価値を感じてもらえるような人間にならなきゃいけないと。


 そしてそれを黙々と受け入れて取り組んだら、尊重してもらえるタイミングが増え、ちょっとずつだけど成長できているのをまわりの反応で感じるようになりました。全ては自分の鏡。そうは言いつつ、本来ネガティブなので天気みたいに気持ちは毎日コロコロ変わりますが(笑)、少しずつでもそういう自分になっていけたらということの繰り返しですね」。

■「自分が許せないことを許してくれる」夫・てつやの存在で自然体に

 結婚したてつやとの関係も、峯岸の思考の変化の一つの要因だろう。「女性は愛されるほうが幸せ」だという声もあるが、もともと自身のファンで熱い思いを寄せてくれたてつやと付き合ったことでの一番の変化を尋ねると、「何事においてもどう転んでも、大丈夫と思わせてくれる心強さがあります」と打ち明ける。

 「ソロになり、自分の行動が全て自分に返ってくる状況が自分の首を絞めてしんどかったんです。仕事を失いたくない、結果を残さなきゃと自分を追い詰めていましたが、この仕事ですべって呼ばれなくなったとしても、この人がいるから大丈夫と思えるようになりました」と微笑む。

 さらに彼と一緒にいることで容姿への劣等感も手放せたという。「私は太ると機嫌が悪くなりますが、彼はぽっちゃり好き。自分のベストに届かないだらしない自分でも、好きと喜んでくれる人がいる。自分が許せないことを許してくれる人がいる心強さで自然体でいられるようになりました。彼といて『かわいくなった』『きれいになった』『顔が優しくなった』と言っていただくことが多いんですけど、彼のためにこうであろうと思ったことはなくて。
逆に『こうでなきゃいけない』という思考を捨てられたので、それが表情に出ているのかなと思います」。

 ほかにも、てつやのマインドからさまざまな影響を受けているとも。現在、東京・愛知と別拠点生活をおくるが、生活のルールは特に作ってないないそうで「タレント、YouTuberの活動をしている私たちは、型にはまったことが苦手だと思うんです。だからこそルールを作ると、お互いにしんどくなってしまう。最初は決まった時間に電話するなど話はしていましたが、できないと悲しくなるから、お互い期待しないほうがいいねって。私はそれがなかなかできないけど、彼は私に過度な期待をしないので、そこは見習い、彼のマインドを基準にしています」と打ち明ける。

 そういうてつやの「相手を縛らず自由を推奨するというポリシー」も新たな気づきだった。「彼は相手を縛っていいことはないという考えの人なんです。私はうるさく言っちゃう方なので、なるべくそっちになれるように修業中で(笑)。相手を尊重する、信じることの大切さを彼に教わりました」。

 10年後の未来を問うと、「すごくいい方向にいくかもしれないし、私には危ういところがあるのでまたダメになっちゃうかもしれない…。自分ではこれからもずっとギリギリな人生だと思っているので」と本音をこぼしつつも、「でもそういうところも含めて、いろんな自分をさらけ出してそれを見守ってきてもらった貴重な存在であるとも思っているので、これからも温かい目で見守っていただけるとうれしいです。
このスタイルブックを名刺代わりに、ファッションとか文章を書くとか、自分の好きなものができている未来が待っているといいな」と微笑んだ峯岸。どんな自分でも受け入れ、試行錯誤を繰り返しながらちょっとずつ前に進んでいく姿が、ざまざまな人に愛される要因だろう。(取材・文:高山美穂 写真:ヨシダヤスシ)

 峯岸みなみスタイルブック『短所ネガティブ 長所ネガティブ』は主婦の友社より発売中。価格は1650円(税込)。

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