飾らないキャラクターと抜群のトーク力で、老若男女を問わず幅広い人気を集める王林。2022年は長年所属したグループ「りんご娘」を卒業し、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)のレギュラーになるなど、新たな一歩を踏み出す節目な年となった。
【写真】王林ちゃんのドキッとするような大人っぽい表情
◆『ヒルナンデス!』金曜レギュラー陣は「家族みたいで落ち着く」
――王林さんが『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)の金曜レギュラーになって3ヵ月経ちましたが、あまりの馴染みぶりに、ずっと前からレギュラーだった気もします。
王林:実は自分でもそう感じていて。レギュラーになる前も、全国のバラエティー番組に出始めた頃から時々お邪魔させてもらっていたこともあって、勝手にファミリーみたいな感覚を持っていたので、本格的にファミリーになれてうれしいです。それに、もともと『ヒルナンデス!』はちっちゃい頃から見ていて、学校を休んだときにだけ見られる、体調が悪いときに見て元気を出す番組というイメージがありました。
――レギュラーになって新たに発見したこともありましたか。
王林:CM中はどうなっているのか、視聴者は分からないじゃないですか。でも、コロナ禍の無観客からようやくお客さんが戻ってきて、CM中に南原(清隆)さんの温かい優しい雰囲気で、お客さんもひっくるめてみんなで仲良く楽しくワイワイやっているのを見ると、本当にイメージ通りの番組なんだな、と。最後に久本(雅美)さんが体が疲れた時にやる運動を、自分もやれる側になれると思っていなかったから、それもうれしいですね。
――金曜レギュラーの皆さんの印象はいかがですか。
王林:ぺこぱさんとは『THE突破ファイル』(日本テレビ系)でよくご一緒しているんですが、ぺこぱさんが出始めの頃から私は大好きだったので、初めて松陰寺(太勇)さんの隣に座ったときはうれしくて興奮したことを覚えています。しかも、そんな自分が毎週金曜日に会えているのが、すごく幸せで。
――王林さんならではの人との距離の詰め方はありますか。
王林:私は最初に現場に入るとき青森のラーメンとかお酒とかを持っていくようにしているんですが、皆さん喜んでくださいますね。青森にみんなが興味を持ってくれるのがうれしいし、『ヒルナンデス!』金曜日も、王林ワールドにしたいと思っています。特に久本さんは青森愛がすごくて、毎年夏にねぶた祭りに参加してくださっていたんですが、今年の夏は一緒に青森でねぶた祭りの中継をしたんですよ。いつか久本さんと青森旅をしたいなと思っていたところで、曜日レギュラーで一緒になれたので、2023年は青森旅を実現したいですね。
それから、陣内(智則)さんは私がバラエティーに出始めた頃からご一緒していて、これまでいろんなキーとなる場面で陣内さんがそっと支えてくれているイメージがありました。ロケもよく一緒になるんですけど、お父さんみたいな感覚です。金曜レギュラーの人たちはみんなそれぞれ違う役割の家族という感じで、落ち着くんですよ。
――金曜レギュラー陣は年齢構成のせいもあってか、ファミリー感が確かに強いですね。お父さん役はやっぱり南原さんですか。
王林:違います、お父さんは陣内さんです。
――となると、南原さんはもしかしておじいちゃん……?
王林:いや、久本さんがいつも賑やかにしてくれるお姉ちゃんで、南原さんはお母さんですね。南原さんは写真のインスタ映えにすごくこだわっていたり、流行りモノに詳しかったりして、発想がいつも主婦みたいで、いつも流行りモノを教えてもらっています。
◆そろそろ東京でも友達が欲しい
――王林さんご自身は2022年3月に「りんご娘」を卒業し、4月からソロになりましたが、グループの活動とどんな違いを感じますか。
王林:自分はソロになりたいと思っていた側の人間じゃないので、寂しい気持ちはありますが、他のメンバーがそれぞれ自分の夢に向かって頑張っているのを見ると、自分も今までグループでできなかったことにどんどんチャレンジしていけたらいいなと思うようになりました。
――今も青森から通っているそうですね。移動が大変じゃないですか。
王林:全然大変ではないです。青森に帰る方が充電できるんですよ。パワーチャージみたいなのが青森にあって、充電しては東京に来る感覚です。今も青森にちょっとでもいられるなら帰って、青森からパワーをもらって頑張りたいなと思っています。
――東京の仕事が増えることで、津軽弁が薄まって来ることはありませんか。
王林:青森にいるときは周りもみんな訛っているから、それはないですね。
――「東京が怖い」ともよくおっしゃっていましたが、今は怖くなくなりましたか。
王林:まだちょっと怖いですね。東京はお仕事する場所でしかなくて、休日があったら青森に帰っているから。ただ、3月までグループがあって大学にも行っていたから、青森にいる時間が長かったのに、4月から東京にいる時間が極端に増えたから、そろそろ東京で友達でも作りたいなと思うんです。気負わず30分くらいだけ夜ご飯を食べに行けるような友達が欲しいです。
――気負わない相手でも30分だけですか(笑)。
王林 はい! パパっとご飯食べる時に誘えるような地元の友達みたいな感覚の友達が欲しいです。東京の時間が増えてから、青森出身で東京にいる子や、ヘアメイクさんとか裏方をやっている人とのつながりはたくさんあるんですが、一緒にテレビ画面の中にいる側の友達ができたらいいなと思います。
――芸能人とは友達になりにくいですか。
王林:最初の頃は芸能人にはみんな裏があるんじゃないかと思っていたから、番組の本番以外で話しかけない方がいいのかなと思っていたんです。でも、『ヒルナンデス!』レギュラーになって、みんながすごく優しくて温かいから、今はもっと仲良くなりたいと思うようになりました。
――ぺこぱさんと3人でご飯に行くとか、すごくしっくりきますが。
王林:本当ですか? でも、できれば同い年ぐらいの女の友達が良いです(笑)。『ヒルナンデス!』水曜レギュラーの井桁弘恵さんとはモデルのお仕事も一緒で、王林より先に帰れるのにわざわざ待っていてくれて、一緒に写真を撮ろうと言ってくれたり、『辛いと思うから、東京にいるときはいつでも連絡してね』とか『家に来ていいんだよ』と言ってくれたりして、歩み寄ってくれるんですが、自分でシャットダウンしてしまいがちで。これからはもっと純粋な心で飛び込んでみようかなと思います。
――王林さんはSNSなどでよく「裏表がない」「アンチがいない」と言われますが、逆に王林さんが苦手とするタイプはいますか。
王林:苦手なタイプというか、青森の訛りでずっと生きているから、標準語はテレビの世界で聞いているからまだ分かるとしても、関西弁は聞き取れないんですよ。(明石家)さんまさんの話はほとんど聞き取れないです。久本さんもたまに分からないです。苦手というか、聞き取れないので、一生懸命分かったフリをしています。
◆Suicaを自慢しなくなったことで「東京に染まった」と実感
――さんまさんやウッチャンナンチャン、くりぃむしちゅー・上田晋也さんなど、大物司会者に愛されるイメージがありますが、ご自身ではその理由をどう分析しますか。
王林:愛されている感覚はないですが、青森という自然豊かで食べ物が美味しいイメージの土地で育った女、田舎から来た子ということで、みんな優しくしてくれているのかなと思います。
――ご自身としては少し東京に染まったなと思うところもありますか。
王林:Suicaを持っていることを自慢しなくなったことです。最初の頃はSuicaを持ったことがうれしすぎて、鞄の1番表側の透明部分に見えるように得意げにカードケースを入れて、「Suicaが必要な女なんだぞ」というの(アピール)を大学などで出していたんですが、Suicaを使うのも普通になっちゃって。電車はあまり乗らないですけど、自動販売機とかどこでも使えるじゃないですか。
――最初は怖いと思っていたのに、今は平気になったものもありますか。
王林:いや、怖さはずっとあります。人の多さには慣れないです。青森では年に何回かのお祭りの時の人の多さが東京ではいつもだから。いろんな人の欲望、感情が溢れている街だなということを空気から感じるので、気が張り詰めます。
――いつも笑顔の印象ですが、笑顔になれないときもありますか。
王林:全然ありますよ! ただ、私のお父さんの口癖が「スマイル」で、何があっても笑おうとは思っています。
パパは真面目なお仕事をしているのに、透明のガラス戸が見えなくて、突き破ったことがあったくらいで、ママもゆで卵を茹でるとき、「お湯が見えなかった」と言って素手で卵を取ったりして。友達もみんなこんな感じなので、私は弟ぐらいにしかツッコまれることがなかったんですが、自分もそっち(天然)側だったということにテレビに出てから気づきました。
――レベルが高すぎます(笑)。
王林:うれしくないです、そんなの、レベル高くても(笑)。
◆グループ卒業時には引退も頭に 2023年の目標は“マグロになること”
――2022年は日本シューズベストドレッサー賞を受賞したほか、『熱唱!ミリオンシンガー』(日本テレビ系)のミリオンシンガーや、『CanCam』の「今年最もバズったタレント」に選ばれるなど、大活躍でしたね。
王林:もともと芸能界を目指したときの目標だったモデルのお仕事もできて、新しい挑戦ができた1年でした。小学校3年生から今年3月までりんご娘という青森のグループで活動してきましたが、これまでは同じ目標に向かって、同じメンバーとずっと走り続けてきたので、「グループみんなで頑張る」とか「青森のために」とかに一生懸命で、自分のために何かを頑張るみたいな感覚がなかったんですよ。りんご娘をやっているうちに、りんご娘という目標が大きすぎて、自分のことは二の次になっていたんです。
それで、4月にソロになってから改めて何をしようかと考えたとき、りんご娘という存在が自分の中で大きくなりすぎていたので、芸能界を辞めることも考えました。青森のことはPRしたいけど、芸能じゃなくてもいいかなとも思って。でも、グループを卒業したタイミングで自分と向き合ってみて、いろんな方々が応援してくれるから表に立てているんだと改めて気づいて。そしたら、青森を発信できる人は多くないから、ありがたいな、頑張りたいなと思えたんです。
――今のご自身の強みは何ですか。
王林:うわあ、真面目な質問!(笑) 「青森を背負いすぎていて、いつか頑張れなくなるんじゃないか」とか言われることがあるんですけど、私は自分のためよりも、何かのため、誰かのための方が無限のパワーが湧いてくるタイプで。今までは大切なメンバーがいて、メンバーのためにと頑張ってきたけど、自分が大好きな青森をもっと知ってもらうためにと思うと、どこまでもパワーが湧いてくる。自分の中ですごく大事なものがあるってことが、 頑張れる自分の強みなのかなと思いますね。
――全国区で活躍される前、ご当地アイドルの大会で怪我をしつつもテーピングを巻いて頑張り、優勝したことが話題になったこともありました。
王林:よくご存じですね! あのときは靭帯を痛めてすぐ手術しろと言われたんですけど、手術していたらコンテストに出られないじゃないですか。だから、そのまま出て、それでも痛みさえ感じなかったんですよね。青森という存在があるだけで頑張れちゃうんです。
――逆にご自身の今の課題はありますか。
王林:東京に来ると、携帯をいじっている人が多すぎて、携帯の世界に行きそうになるところかな。
――具体的に言うと、どういうことでしょう?
王林:みんなエゴサーチとか、するじゃないですか。青森で活動している時は、みんなが私のことをちっちゃい頃から見ているおじいちゃん、おばあちゃんとかで、施設に慰問に行っていたこともあって、すごい温かい空間でみんな知り合いみたいな感覚でいられたんです。でも、東京には人がすごくたくさんいて、みんながいつでも携帯を見ているから、1歩街に出るだけで人とぶつかりそうになるし、うまくよけられないんじゃないかとか思うと、外に出られなくなって、私も携帯の世界に行きそうになっちゃうんですよ。
――王林さんもエゴサをすることがありますか。
王林:モチベーションがすごく高いときには、たまにすることもあります。悪い意見を見ても、「確かにそういうところもあるかも」と思える心の余裕があるときにだけ見るようにしています。
――2023年の野望を教えてください。
王林:2023年の目標はマグロになること。マグロは寝ずに動き続けているじゃないですか。やりたいことがいっぱい溢れているから、私もパワフルに頑張りたいなと思っていて。
2022年は準備期間みたいな感覚だったんですよ。自分で新たに何かを始めるというより、環境が変わったことで、ファッションブランドやジュエリーブランド、音楽についてなど、打ち合わせする時間でした。自分が見た青森の姿を、2023年はいろんな形で発信できると思うし、それはずっとやりたくて仕方ないことだったので、寝ずに頑張りたいと思います。
――2022年に種まきしたものを2023年に見られるということですね。
王林:はい。もしかしたらギャップがあるかもしれないです。バラエティーでしか王林を知らない方たちが『熱唱!ミリオンシンガー』を見て「歌えるの?」みたいなコメントをくださったように、ギャップのある一面をもっともっと出す1年にしたいです。
――まだどこでも披露していないギャップというと……例えばお芝居とか?
王林:それは一番困る仕事です(笑)。理由があるんですが、お芝居が好き嫌いじゃなく、演技するとき、どうしても標準語の役だと自分に嘘をついているような気がしちゃうんです。今の自分じゃないものを表現することが、私にとっては正解じゃない気がするから。『THE突破ファイル』で少し演技をするときも、必ず方言のまんまなんです。
――王林さんのキャラクターそのままでいられる、あて書きの役のオファーなんかもありそうですが。
王林:本当ですか!? 青森の訛りのままでできる演技だったら、ありがたいですし、ぜひ挑戦してみたいです!
(取材・文:田幸和歌子 写真:高野広美)
『ヒルナンデス!』は、日本テレビ系にて毎週月曜~金曜11時55分~13時55分放送。王林は金曜日にレギュラー出演。