現在ディズニープラス「スター」にて配信中のドラマ『ガンニバル』。本作で主人公・阿川大悟を演じる柳楽優弥が、ディズニーという国際基準によって制作されるモノ作り、さらには、10代から海外と接してきた彼だからこその世界との距離感について語った。
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■“TO THE WORLD”な作品作りはとても素晴らしい経験だった
2018年に連載がスタートした二宮正明の人気コミックを実写化した本作。映画『ドライブ・マイ・カー』などの山本晃久がプロデューサーを務め、映画『岬の兄妹』や『さがす』などで日本映画界にセンセーショナルな衝撃を与えた片山慎三監督がメガホンをとるという、魅力的なスタッフで世界に打って出る作品となった。
柳楽は「俳優部としては台本を読んで演出を受けるという意味では、正直ほかの作品とやることは変わらないかなと。『海外の方フランス人に向けて芝居をやりました』なんてことはないじゃないですか」と役者としての準備にはあまり違いがないことを強調するが「それでもいろいろな国の人が観ることが前提のプロットがあるし、世界で結果を出されているプロデューサーの山本さんがトップにいて指揮をとっている時点で“TO THE WORLD”な作品作りであることは間違いない。『世界配信で大丈夫なのかな』と弱気にならず、みんな前向きに仕事ができたというのは、とても素晴らしい経験だったと思います」と本作ならではの現場について語る。
片山監督とは初顔合わせ。これまでの作品を観て柳楽は「ぶっ飛んでいる人なのかな」と思ったというが「すごくバランス感覚の優れた方で、スタッフにも愛されている。これからの映画界のセンターにいる人なんじゃないかなと思いました」と現場を共にした感想を述べた。
■“阿川大悟”というキャラクターを演じるのは「結構きつい」
柳楽演じる大悟は「人が喰われているらしい」と噂される村に駐在としてやってくる警察官。大悟自身にもある事件を起こした過去がある、難解な役柄であり、作品のトーンもやや暗めなサスペンスだ。
役者としてはやりがいのあるキャラクターに感じられるが、柳楽は「取り組む姿勢としては前向きですが、実際こういうトーンの役を演じるのは楽しいだけではない。結構きついですよね」とつぶやくと「簡単には共感できないキャラクターなのですが、自分が正しいのか、正しくないのか…という問いかけって、普通に日常を過ごしていても感じることだと思うんです」と非日常な設定ながら、共感できるテーマであることを強調する。
共感という意味では“家族”という最小にして最も基本的な集合体がキーワードになっている部分もある。大悟の妻・有希を演じているのは、女優の吉岡里帆だ。「吉岡さんとは家族の間柄なので、どういうところで育ったのかを含めて、どんな映画を観て育ったかなど、プライベートな話もしました」と撮影以外のところでも夫婦という関係性を作り上げていったという。
■世界へ向けた作品作りも、気負わずに
柳楽は11月にシンガポールで行われた「ディズニー・コンテンツ・ショーケース2022」に参加し、アジア太平洋地域(APAC)のオリジナルコンテンツを制作した面々と触れ合った。柳楽は「アジア代表の方々が集結していたので、大きな刺激を受けました」と語ると「例えば俳優や監督が海外で賞を取ると、それは大きなエネルギーに変わると思うんです。それが個人ではなくチーム全体、業界全体として大きな流れになってきているなと感じています。その流れに乗りたいなと思っています」と意気込む。
しかし一方で、「スーパームービースターになりたい」と自身の思いを口にしていたが、最近はそんな意気込みも、気負わずに自分のなかで消化して進んでいきたいという風に変化してきたという。
柳楽は「こうした作品に参加できることって、俳優にとってはやっぱりラッキーなことなんですよね」と振り返ると、「もちろん、やるからには目標を掲げて進むのは大切なのですが、お芝居をするうえで、(国を代表してとか)そういう気持ちは強すぎない方がいいと思っています。ドライに、客観的に自分を見ることができる方が作品にとっても絶対いいじゃないですか」と現在の思いを率直に語った。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)
『ガンニバル』はディズニープラス「スター」にて独占配信中。