よしながふみの同名人気コミックを絶妙な配役と豪華絢爛(けんらん)な映像で実写化し話題なのがドラマ『大奥』(NHK総合/毎週火曜22時)だ。男女の立場や役割が逆転した江戸時代を舞台にした本作。
【写真】『大奥』「再現度高すぎ」「原作超え」の声も! “名脇役”たちをチェック
■<8代・徳川吉宗×水野祐之進編>
モデルで女優の冨永愛演じる吉宗が波打ち際で白馬を駆る勇壮な姿に、ネット上が「暴れん坊将軍じゃん!」「カッコ良すぎる!」の声であふれたのは、記念すべき第1回の<徳川吉宗×水野祐之進編>。財政難に陥った幕府を立て直すために、紀州徳川家から8代目の将軍に就任したのは武芸に秀でた吉宗。
合理性を重視し質素倹約を掲げているために、大奥というしきたりにも懐疑的な吉宗と対立するのが、片岡愛之助演じる「藤浪」だ。藤浪は数百人の美男子が控える大奥を仕切る大奥総取締という役職。紀州(和歌山)から江戸に入っても一向に大奥に立ち寄ろうとしない吉宗に不満を募らせる。
藤浪は大奥を軽視している吉宗に報復するために、3代将軍・家光のころに定められた、将軍の初めての男を死罪とする“御内相の方”という決まりを持ち出し水野祐之進(中島裕翔)に制裁を加えようとするのだった。
時代劇から現代劇に至るまで、クセものキャラを演じさせれば右に出る者がいない片岡の藤浪役には、原作ファンからも「再現度高い」「藤浪そのまんま」「タヌキジジイ加減がすっごい良い!」などの称賛が集まった。
そんな藤浪と渡り合うことになるのが、貫地谷しほり演じる「加納久通」。久通は吉宗の右腕的存在で、将軍就任以前の紀州時代から彼女を支えてきた。江戸に入ったばかりの吉宗から側用人に任命され、老中や大奥総取締との交渉を指示される。
大奥に来ない吉宗に怒り心頭な様子の藤浪と対峙(たいじ)しつつも、久通は笑顔を崩さず大人な対応。第1話の終盤で吉宗が大奥の人員削減を断行すると、藤浪の怒りが爆発。藤浪が「われらを軽んじて表のまつりごとがうまくいった試しなどないのだぞ!」とどう喝すると、久通は意に介さない様子で「ならば大奥など潰してしまえ。上様はしきたりにとらわれぬお方」と静かに言い放つ。
控えめながらも強い意志を感じさせる久通に対して、ネット上には「久通、一番怖い女!!」「久通カッコいい!!」「朗らかな雰囲気からのビシッと切れる感じ、イメージぴったり」といった声が。
■<3代・徳川家光×万里小路有功編>
疫病の蔓延による男女逆転と大奥の始まりが描かれたのが第2回~第4回の<徳川家光×万里小路有功編>。公家出身の僧でありながらも徳川家のために還俗(げんぞく)させられた有功(福士蒼汰)と、悲しい過去を背負いながら初めての女将軍となる千恵こと家光(堀田真由)の切なすぎる恋物語は多くの視聴者をクギヅケにした。
クセ強めキャラの宝庫ともいえる<徳川家光・万里小路有功編>で、ぶっちぎりのインパクトを視聴者に与えたのが、斉藤由貴演じる春日局。第2回の冒頭では、千恵の父で3代将軍の家光(男性)が疫病に罹患(りかん)し亡くなると、春日局は遺体のそばで「これは…上様ではない」とポツリ。そばに控えていた医師の胸を小刀でひと突きし絶命させると、目を見開きながら「上様は…亡くなっておらぬことにするのじゃ」とささやく。
その後も、有功を還俗(げんぞく)させるために同行していた若き僧・明慧(齊藤友暁)を家来に斬殺させるなど何かと血の気が多い春日局。狂気をはらんだ彼女に、ネットは「鳥肌っっ」「原作より怖い」「恐怖レベルが原作を超えてきている」と震えあがった。
怖いキャラといえば有功とともに還俗(げんぞく)した小僧・玉栄(奥智哉)も見逃せない。物乞いとして暮らしていたところを有功に救われた玉栄は、有功を慕うあまり暴走。第3回では、有功に嫉妬するライバルたちが襲撃を企てていることを察知。玉栄は、家光の飼い猫・若紫の命を奪い、その罪を有功のライバル・角南重郷(田中幸太朗)に被せてしまうのだった。
あどけなさも残る玉栄の大胆かつ残酷な行動が描かれると、ネット上には「玉栄……っ、あんたって子は……」「それはやっちゃダメだよーー」などの声や「闇落ち美少年…好きだ…」といった反響も寄せられた。
■<5代・徳川綱吉×右衛門佐編>
7日放送の第5回から物語は<徳川綱吉×右衛門佐編>へ。新章はこれまで以上に愛憎と欲望が複雑に絡まり合った物語になること必至。男に対して奔放な5代将軍・綱吉を仲里依紗が演じ、彼女に仕える右衛門佐を山本耕史が演じる。
さらに新章カップルの“周辺”もやはり濃いメンツが。綱吉への忠誠心を誰よりも強く持つ美しき側用人・柳沢吉保役で倉科カナが出演。また公家出身の御台所・鷹司信平役に本多力、綱吉の側室で世継ぎである松姫の父となる伝兵衛を徳重聡が演じ、中川大輔が、京から大奥へやってきた右衛門佐の部屋子となる秋本を演じることも発表されている。ここからの『大奥』も、将軍とそのお相手の“周り”にも注目したい。
ドラマ10『大奥』は、NHK総合にて毎週火曜22時放送。