10月28日スタートのドラマ「怪盗ロワイヤル」で主演している松坂桃李(まつざかとおり)。

テレビ雑誌やファッション誌、アイドル雑誌などでよく見かける顔だが、彼がもともと注目されたきっかけは、なんといってもドラマデビュー作であり、初主演の「侍戦隊シンケンジャー」(2009年)での「シンケンレッド」=「殿」である。

「僕せか」松坂桃李独占インタビュー、カンボジアのシーンはイキナリ本番だった
長身・小顔のルックスの良さだけでなく、戦隊ヒーロー、しかも「レッド」(中心)ポジションとしては珍しく真面目&不器用&暗すぎる役柄が、本人の雰囲気に見事にハマッていた。

さらに終盤で「実は “影武者”だった」という切ない事実が発覚したことにより、一気に視聴者たちの心をつかんでいった「殿」。

だが、脚本の良さ・作品の良さと、尋常じゃない人気の「殿」というハマり役との出会いは、幸か不幸か、松坂桃李という人のイメージを作り上げてしまった。

いまだにネット上では「殿」と呼ぶファンが多く、髪の色が茶色くなるだけで「殿じゃない」などの声も多数出ている。

しかも、残念なのは、シンケンジャーの「シンケンレッド(殿)」以降、あまり作品・役柄に恵まれていないこと。

たとえば、やたらと宣伝ばかりを観た、女芸人・いとうあさことの共演。あれって結局、何だったのかと疑問だったが、ドコモ動画のショートムービーだったらしい……。 また、2010年4月から今年3月まで出演していたバラエティ「心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU」でも、加藤浩次の仕切りのもと、ゲスト横の「接待担当」みたいな場所に常に座らされていて、顔がやたらと映る&ゲストには好感を持たれることが多かったものの、本人のトークはほとんどなし。

真面目そうで、案外骨太そうな性格は時折見られたが、結局、たいして印象を残さず、なんとなく「卒業」になってしまった。

と思えば、今は、同じ事務所で「心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU」共演者でもあった大東俊介とともに、「歩く前に飲む♪ 歩く前に~歩く前に~」の唐辛子ドリンクCMの人になっている。

芸人や同事務所の人とのからみ、バーターなどの仕事がなんだか多いなか、ますます遠ざかる「殿」イメージ……。

さらに、今回の主演も「ソーシャルゲームをオリジナルストーリーで実写ドラマ化」という作品。
食わず嫌いはダメだけど、「殿」を超える予感はしない。

「仮面ライダー電王」出身の佐藤健の場合、「ROOKIES」でドレッドヘアのおいしいポジションにつき、さらにNHK大河ドラマ「龍馬伝」の岡田以蔵役で見せた、獣のような眼光と殺気、繊細さが幅広い層に高い評価を受けた。

戦隊・ライダー出身者が、いかにそのイメージから脱却できるかは、本人の演技力によるところが大きいとはいえ、やっぱり作品や役柄との出会いだって大切。

そういう意味では、出演が決まっている、連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(2012年4月~)での演技が、松坂桃李の1つのターニングポイントになるかもしれない。(文:田幸和歌子)
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