歌手で俳優の武田鉄矢を主演に1979年から2011年にかけて断続的に制作・放送されたのが、ドラマ3年B組金八先生』シリーズ(TBS系)。本作の見どころの1つが、主人公・坂本金八(武田鉄矢)とともに成長を遂げていく生徒たちの姿。

3月は卒業シーズンということで、ここでは、現在も芸能界の第一線で活躍する卒業生たちを中心に紹介していこう。

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杉田かおる

 1979年10月から約半年にわたって放送された第1シリーズで、一際注目を集めたキャラクターが、15歳で妊娠~出産を経験する生徒・雪乃。そんな彼女を演じたのは、7歳でデビューし天才子役として名を馳(は)せていた杉田かおるだ。本作への出演を経て演技派女優への脱皮を果たし、以降はバラエティタレントとしても活躍。2020年には自身のYouTubeチャンネルを開設し、活動の幅を広げている。

■たのきんトリオ(田原俊彦野村義男近藤真彦

 第1シリーズへの出演をきっかけに大ブレイクしたのが、当時ジャニーズ事務所に所属していた田原俊彦、野村義男、近藤真彦の3人。
“たのきんトリオ”の愛称でユニット的な活動を経て、3人はそれぞれソロで活動。田原は第1シリーズ終了後に、デビューシングル「哀愁でいと」が大ヒットし、以降80年代はヒットを連発。さらに俳優として『教師びんびん物語』(フジテレビ系)などのドラマや映画にも出演した。

 野村は1983年にアルバム「待たせてSorry」でレコードデビュー。バンド「The Good‐Bye」での活動を経て、1990年にジャニーズ事務所を退所すると、ギタリストとしての活動を本格化。作編曲や楽曲のプロデュースなども行うようになり、1998年からは浜崎あゆみのバックバンドでギタリストを務めるなど音楽業界で活躍。
2020年には24年ぶりのソロアルバム『440 Hz with<LIFE OF JOY>』をリリースしている。

 そして近藤は1980年12月にシングル「スニーカーぶる~す」でデビュー。以降「ギンギラギンにさりげなく」「愚か者」などの楽曲でヒットを記録。また歌手、俳優、タレントとしての活動と並行して、80年代中頃からレーシングドライバーとしても活躍。2000年には自身が監督を務める「KONDO Racing Team」を設立し、今年4月には日本レースプロモーション(JRP)の取締役会長に就任する予定だ。

 また第1シリーズには、雪乃と結婚することになる宮沢保役で鶴見辰吾が出演。
また現在は参議院議員として活躍する三原じゅん子も出演していた。

平成初期の『金八』を彩ったメンバーには現在の大人気俳優たちが

浅野忠信

 舞台を桜中学校から松ヶ崎中学校へ移し1988年10月から放送された第3シリーズには、髪を染めている生徒・東正広役で浅野忠信が出演。浅野は、2020年に配信されたYouTube「三又又三チャンネル」の中で当時を振り返っていて、本作が彼にとって初めてのオーディションかつ俳優デビュー作になったと明かしている。撮影については「言ったら怒られるけど、遊びに近かったというか。もう1個学校がある感じでしたね」と語っている。

 第3シリーズには、浅野のほかにも萩原聖人や元SMAPでオートレーサーへ転身した森且行さん、元V6の長野博が3年B組の生徒を演じていた。


風間俊介

 シリーズ誕生20周年となった1999年10月から約半年間放送されたのが第5シリーズ。学級崩壊や校内暴力などのモチーフが描かれる中、優等生の仮面を被りながらもイジメを繰り返し、学級崩壊を仕掛ける生徒・兼末健次郎が第5シリーズのキーパーソンに。健次郎を演じたのは、近年も『Silent』(フジテレビ系)や『大奥』(NHK総合)などの話題作に相次いで出演している風間俊介だ。風間は当時についてバラエティ番組『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系/毎週木曜22時)の中で振り返っていて、武田演じる金八が生徒たちをビンタするシーンで、ほかの生徒たちが涙を流すなか、健次郎を演じる上で自分だけは絶対に涙を流すまいと我慢していたことを告白。シリーズの中でも屈指の難役を見事に演じ切った。

 そのほか、第5シリーズにはKAT‐TUNの亀梨和也も出演していた。


上戸彩

 2001年10月にスタートした第6シリーズでは、性の多様性や報道と人権などのテーマが劇中で取り上げられた。シリーズの中でもファンに最も鮮烈なインパクトを残したと評される生徒の1人で、性別異和を抱える鶴本直を演じた上戸彩は、本作への出演で一躍脚光を浴びることに。上戸は当時について、今年2月に出演した『日曜日の初耳学』(MBS・TBS系/毎週日曜22時)の中で語っていて、ブレーク後、多忙のあまり毎日睡眠時間が30分だったことを告白。親に家をプレゼントするという目標のために過酷な状況を乗り越えられたと明かしていた。

 上戸のほかにも、第6シリーズにはNEWSの増田貴久加藤シゲアキ、俳優の中尾明慶、女優の本仮屋ユイカ平愛梨らも出演していた。

後の朝ドラ主演女優たちも“B組”に

濱田岳

 シリーズ開始25周年となった2004年の第7シリーズは、若年層の薬物依存というショッキングな問題が大きなテーマとして描かれた。
そんな第7シリーズで最終的に卒業生代表を務めることになる狩野伸太郎を演じたのは、近年もドラマ・映画への出演が続く濱田岳。濱田ふんする伸太郎は、クラスメートだけでなく金八にも遠慮なく悪態をついて、なにかと3年B組をかき回すクセの強いキャラクターだ。濱田はそんな伸太郎について、2月10日放送の『あさイチ』(NHK総合/月曜~金曜8時15分)の中で言及。ドラマが放送されていた当時は、街を歩いていても同年代の男の子から絡まれることが多かったそうで、改めて『3年B組金八先生』の影響力の大きさを思い知ったと明かしていた。

 そのほか、第7シリーズには濱田のほかHey! Say! JUMPの八乙女光薮宏太も出演していた。

高畑充希

 2007年10月から2008年3月にかけて放送された第8シリーズは、モンスターペアレントや学校裏サイトなどのモチーフが登場。このシリーズには優等生・田口彩華役で女優の高畑充希が出演した。本作出演前から舞台などでキャリアを積んできた高畑。第8シリーズ終了後はテレビドラマや映画への出演が増えていき、2013年放送の連続テレビ小説『ごちそうさん』(NHK総合)への出演を機に大ブレイクを果たした。

 高畑のほかにも第8シリーズにはハリウッド進出を果たした女優の忽那汐里も出演している。

■趣里

 主人公の金八が定年を迎えることから特番として制作されたのが2011年3月放送の『3年B組金八先生ファイナル』。この作品に金八に恋心を抱く生徒・柴咲茜役で出演していたのが女優の趣里だ。本作放送後、テレビドラマ、映画、舞台への出演で着実にキャリアを重ねている彼女。 2023年度後期の連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK総合)では、2000人を超える応募者が参加したオーディションを経て主演を勝ち取った。
 
 彼女のほかにもファイナルにはHey! Say! JUMP元メンバーの岡本圭人が出演していた。