サッカー分野でも抜群の知名度を誇るアイドル、日向坂46の一期生・影山優佳。知的好奇心に任せて各地を巡った1st写真集『知らないことだらけ』(扶桑社)では、持ち前の明るさと笑顔をあますところなく見せている。
【写真】撮影までに“増量”して臨んだという、影山優佳にとって初の水着カット
■水着&ランジェリーの撮影のため、肉や白米を食べて「自然にお肉が付くように」
写真集『知らないことだらけ』は、東京、長野、沖縄を舞台に、各地で未知との出会いに知的好奇心をくすぐられ、心を動かされていく影山の表情を切り取った1冊。地元の東京では、ゆかりある場所や興味関心のある場所へ足を運び、長野の松本、諏訪では多くの文化財を体験。沖縄・竹富島では、伝統的な街並みや自然にふれ、水着やランジェリーでの撮影にも挑戦した。
――昨年の「FIFAワールドカップカタール2022」では、その活躍からハッシュタグ「#影山寝ろ」も話題に。今も変わらず、多忙そうです。
影山:頑張らせていただいております(笑)。お仕事は好きですし、1日中同じことをやっているより、むしろ精神衛生上いいと思ってます。
――ホッとしました(笑)。さて、今回は1st写真集『知らないことだらけ』のインタビューですが、出版のお話を聞いた当時の心境は?
影山:自分が写真集を出すとは想像していなかったですし、ビックリしました。実は、写真撮影が苦手なんです。
――意外です。それでも挑んだ写真集。日向坂46はもちろん、サッカーをきっかけに知った方も新たな一面を見られそうですね。
影山:ロケでは自分が「知らないことをいっぱい学ぶ」というテーマもあったんですけど、タイトルには、皆さんにとって「知らない私」がいっぱい詰まっているという意味も込めたんです。打ち合わせでは「写真集はよく分からないんですけど、影山優佳の幅を出したいです」と難しい注文を出して(笑)。そこから始まったので、「こんな表情もするんだ」と思っていただけるならうれしいです。
――そんな思いがあった撮影で、テーマにある「知的好奇心」を最も満たせた場所は?
影山:東京・三鷹市の国立天文台です。研究員の方にアテンドしていただき、望遠鏡をのぞくカットの撮影では木星を見ました。ギリシャ神話や天体の話が好きなので、研究員の方とお話しできて楽しかったです。
――ファンの皆さんが「知らない私」を見せられた撮影は?
影山:分かりやすいものでは、水着やランジェリーのカット。
――(笑)。SHOWROOM配信で「人生で初めて水着を着た」と話していたのは、驚きでしたが…。
影山:学校の授業以外では、という意味です(笑)。中学3年生でアイドルになったので、水着で友達とお出掛けするイベントの機会がなかったんです。
――なるほど。水着やランジェリーの撮影に備えて、体を絞るのではなく「食べた」そうですね。
影山:客観的に自分を見たとき「ちょっと細くないかな」と思ったんです。読者の方に「ちゃんと食べてるのかしら、この子」と不安にさせてしまったら申し訳ないので、衣装のフィッティングから撮影までの2週間で食べて、自然にお肉が付くように意識しました。お肉が好きなのでメンバーと焼き肉へ行ったり、白米やドーナツを食べたりと、糖質や脂質の高そうなものを意識して取ったんです。
――準備して臨んだ撮影は、いかがでした?
影山:緊張しました。勝手が分からず、自己肯定感が低いのもあって表情やポージングが「全部、不正解じゃないか」と最初は思ってしまって。でも、撮影チームの皆さんが「めっちゃいい」「カッコいい」と褒めてくださったおかげで緊張もほぐれて、素の笑顔を出せました。
■欠席したライブを見るのは「今もハードルが高い」
――影山さんは、今年2月にグループ卒業を発表しました。写真集を引き受けた当時、すでに卒業は決まっていたのでしょうか?
影山:決まっていました。今回の作品は節目というか、アイドル・影山優佳としての「卒業写真集のような形で出しましょう」といったお話があり、ここまでお世話になった皆さんへの恩返しも込めて、挑戦しようと決めました。
――卒業の理由は、大きな音へ過敏に反応してしまう「耳の特性」。2022年夏に、心の中で卒業を決めたそうですね。
影山:元々、目や耳、鼻の感覚が鋭く「繊細さんなのかな」という感じで、加入当時からライブで「音が大きいな」と思っていたんです。日向坂46のライブ会場が大きくなるにつれて、みんなと同じレベルで大きな音に付いていくのが難しくなってきたので、そこから卒業を考えるようになりました。
心の中で決める前、1年以上前からスタッフさんには個別で対応していただき、ご迷惑をかけながらやりくりしていたんですけど、気力だけではどうしようもなくなってきて。
――卒業発表後、気持ちは落ち着きましたか?
影山:ホッとしているより「これでいいのだろうか」というマインドになることが多いです。卒業発表でおひさま(ファンの愛称)の皆さんは「怒るかな」と思っていたし、発表前後は心が揺れ動き、不安定でした。自分のいないライブを見るのは今もハードルが高いんですけど、ライブはみんなの頑張ってきた積み重ねを見せるための晴れ舞台だしお祭りだから、報われてほしい思いで、メンバーを純粋に応援しています。
――発表時に「この数ヶ月は毎日家で悩んで泣いて」と明かしていました。
影山:昔から感受性が高過ぎて、悲しい小説や映画、ニュース、バラエティー番組のドッキリでも「かわいそう」と思ってしまい、涙が出やすい人間ではあったんです。でも、普段は感情を切り離すことで抑えていたんですけど、自分の卒業という出来事が増えてからは、何を見ても涙が出るようになっちゃいました。テレビでワンちゃんが赤ちゃんとたわむれているシーンを見るだけでも泣いてしまう、みたいな。物事がうまくいかず、情けなさで泣くときもあるし、日常で急に涙が出る瞬間が増えました。
■アンコールで登場した「ひな誕祭」の光景で「けやき坂46」時代を回顧
――大音量下での不安を抱えながらも、グループのデビュー4周年記念「4回目のひな誕祭」では、アンコールのステージに立ちました。
影山:メンバーに迷惑をかけたくない一心でした。
本番に向けて、スタッフさんから「『ひな誕祭』は出てほしい。(グループ初となった開催会場の)横浜スタジアムが決まって、これからを考えるとより大切な日になるし、全員で出演するのが大事」と言われて「確かに」と思ったんです。出番は相談しながら決めて、アンコールでの(最後の参加作品である9thシングル表題曲)「One choice」の初披露と「JOYFUL LOVE」だけの参加になりました。
――アンコールのMCでは、客席がサイリウムカラーの「レッド」に染まりましたね。
影山:見た瞬間に感謝の気持ちでいっぱいで、『けやき坂46「走り出す瞬間」ツアー2018』最終日を思い出しました。当時は、学業を理由にした休業期間にもかかわらず出演させていただき、皆さんが客席を真っ赤に染めてくださったんですけど、今も変わらず「ずっと優しい」と実感しました。
――卒業までは「これからの自分を見つけていく期間」にしたいと伝えていましたが、模索中ですか?
影山:今も変わらず、模索しています。写真集発売、新曲発表、外仕事と、目の前に高い壁がずっとあるので、乗り越えるだけで精いっぱいです。グループと外の橋渡し役も増えて、グループのことを考える時間も増えたし、近い未来しか考えられていません。でも、長期的な目標を持って生きるのが大事とも思うので、自分と向き合う時間をもうちょっと取られたらと思っています。
――5月で、アイドルになるきっかけとなったオーディション合格から7年。けやき坂46からの休業を経て、日向坂46へと至った中で得たものは?
影山:最終審査の合格発表日、5月8日は私の誕生日なんです。一期生の加入日、私の誕生日が重なった「人生が変わった日」から、ずっとご縁に恵まれてきました。すてきな一期生のメンバー、スタッフさんに出会えたのも、自分ひとりではかなえられなかった大きな夢やお仕事がかなったのもすべてご縁だったので。
人と人とのつながりなので、人に信頼されたり、助けを求めたりできる関係性は、自分の見ている世界を変えられるパワーを持っているんだと、グループの活動を通して感じました。卒業後にどんな未来を描けるか分からないけど、人のためになることはやりがいもあるし、人生とまで言わなくとも、少しでも誰かをちょっと明るく照らせるような人間になれたらと思います。
(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:山田健史)
日向坂46 影山優佳1st写真集『知らないことだらけ』は扶桑社より5月9日発売。価格は2200円(税込)。