King & Prince高橋海人オードリー若林正恭を、SixTONES森本慎太郎が、南海キャンディーズ山里亮太を演じているドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系/毎週日曜22時30分)。2人の半生を描いた本作の放送がスタートすると、視聴者はもちろん芸人の間でも大きな話題となっている。

現在第6話まで放送されているが、高橋と森本が、オンエア後の反響や今後の展望、さらにはいま同じ時代を生き、芸能界で大活躍している実在の人物を演じることによって得られたことについて語り合った。

【写真】森本慎太郎×高橋海人、互いの演技に刺激

木村拓哉から激励のメール「最後まで駆け抜けろよ」

――物語もちょうど折り返し地点に差し掛かっていますが、オンエア後お2人にはどんな声が届いていますか?

高橋:うれしかったのが、木村拓哉さんが第1話をリアルタイムで観てくださっていたみたいで「似ているけれど似ていない感じがすごくいいドラマだね。最後まで駆け抜けろよ」とメールをいただいたんです。

森本:えーそれはうれしいな。僕は、(劇中でしずちゃん役の)みうたん(富田望生)がしずちゃんの絵画の個展に行ったときに、しずちゃん本人が「嫌な奴だなとか、本当に嫌いだわー」と僕の演じる山里さんについて話してくれていたのがすごくうれしかったですね。当時の山里さんを知っている人に「本当に嫌な奴」と言ってもらえるというのは、最高の誉め言葉ですよね。

――これまでお2人が演じてきて、印象に残っているシーンはありましたか?

高橋:たくさんあるのですが、自分のなかでは、おばあちゃんのシーンが好きです。家族でいるときは自分の気持ちを閉じ込めていて、(相方の)春日(戸塚純貴)に対してはいろいろな気持ちをぶつけていて…。そのなかでおばあちゃんといるときだけは素直になれるし、想像とは違う角度で物事を捉えて発言してくれるおばあちゃんとのシーンはすごく好きですね。

森本:僕は(第4話の)イタリア人ですね。あのインパクトはすごかった。山里さんの暗黒期と言われている時期で、本人にも「どんな気持ちだったのですか?」って聞いたんです。
山里さんも実際はこういう気持ちだったけれど、これだけは再現とかしないよって…。「これ以上は聞かないで」ということを遠回しに言っているぐらいに感じました。実際現場で演じていても「スン……」となるぐらい。演じていてもしびれるような感じでした。

■山里亮太を演じて「トークスキルがめちゃくちゃ上がった」(森本)

――お2人のなりきり感がすごいですが、お互い私生活でも影響を受けているなと感じることはありますか?

高橋:打ち合わせやインタビューで話をしていると「いまめちゃめちゃ若林さんですよ」と突っ込まれることが多いんですよね。今は撮影期間中なので、それはいいことだと思うのですが、撮影が終わったあとが怖いですね。高橋海人が若林正恭に塗り被されている感じ(笑)。いままで俳優さんが「役が抜けなくて」と話しているのを聞いて「そんなことあるのかな」と思っていたのですが「あーこういう感じなのか」と実感しています。

森本:僕は熱く話をしていると、めっちゃ早口になっているみたいです(笑)。あの山里さんがまくしたてる感じになっていると言われます。みうたんにも「早口すぎる。山ちゃん出ている」と言われています。


高橋:慎ちゃんは元々早口だから、より一層だよね。

森本:そうかも。でもトークスキルがめっちゃ上がったと言われます。山里さんを演じていて、山里さんのトークをめちゃくちゃ聞くようになったから、話の組み立て方とかも自然に学んでいるのかもしれません。

――若林さんと山里さんが一緒にやられていた「たりないふたり」は放送当時からファンはもちろん、芸人からも支持が高かった番組です。そのシーンを演じるというのはプレッシャーに感じていますか?

高橋:そこはまったく気にしていないです。あくまで若林さんとオードリーとしてやっていくことだけを考えています。

森本:僕も現場に行くと、結構声を聞くのですが、記事などは見ないようにしています。もちろん、直にいただいたものにはしっかりと返事をしていますが、テレビやラジオなどの声は絶対聞かないようにしています。撮影が終わってから、全部回収します!(笑)

高橋:それだと、さっきの木村さんの声とかかなり食らったんじゃない?

森本:びっくりしました。マジかって(笑)。

■森本の目の変化に「鳥肌が立った」(高橋)

――まだほとんどお2人でお芝居をしていないとのことでしたが、お互いの演技をオンエアで見てどんな印象を持ちましたか?

高橋:山里さんが誰と組んでもうまくいかなかったところから、しずちゃんを見つけて、いろいろありながらも「ここからは乗り越えていくんだ」と決意したところの目は、1話の時とは全く違いますよね。
6話を観たとき、鳥肌がたったぐらい。毎話目つきが変わっていくところはすごいなって思いました。

森本:オンエアを見るたびに「(高橋のことを)こいつ半端ねー。すごいな。天才だな」って思っています。ある意味で悔しさも覚えますね。でもそういう思いがありながらも、めちゃくちゃオードリーの芝居を見て楽しんでいるんですよね。すごくいい刺激を受けています。

――お2人とも映画・ドラマと作品を重ねていますが、こうして実在している人物を演じることで、学べたなと感じていることは?

高橋:僕はこうしていま輝いている方を再現するというのは初めてでした。しかも連絡先を知っているぐらいの距離間の人で…。いつものように一から作っていくのではない役作りって、最初はどんな感じなのだろうと思っていたのですが、答えにどこまで近づけるべきなのか…とチューニングしていく作業ってすごく楽しいなと思いました。あとは、この作品の特徴かなと思うのですが、生々しい描き方をされているので、自分ならどう考えるだろうと、必然的に自分と向き合うようになりました。
それはすごく大きな経験でした。

森本:僕は山里さんとは中身が全く違うなと感じていたんです。山里さんって超努力家で、努力する天才。僕は努力をしない人なので(笑)。もちろんこれまでの作品も自分とは違う役を演じる瞬間ってありましたが、どちらかというと自分側に寄せていくようなアプローチだったんです。でも今回は山里さんに寄せるような方法をとったことで、これまでまったく自分になかった感情や行動を知ることができました。こうした役作りって、今後お芝居の仕事をするうえで、非常に大きかったです。

――いよいよ後半戦に突入しましたが、このドラマを通してどんなことを感じて欲しいですか?

高橋:バラエティ番組などに出演させていただくと、オードリーさんをはじめ、皆さん天才で、神から与えられた才能なんだろうなと思っていたんです。でもこの作品に入って、若林さんを演じたことで、もちろん才能もありますが、すごく丁寧に一つ一つ努力をされているんだなと感じました。悔しい思いをして、心が折れそうになりながら、乗り越えていく姿は、多くの人の生きる希望になるのかなと。みんなとは言いませんが、誰か一人でも深いところに刺さって、その人のバイブルになってくれたら、とても嬉しいです。

森本:いま山里さんって朝の顔をやっていますし、めちゃくちゃ好感度が高いじゃないですか。
だからこそ、このドラマで「うわ、山ちゃんって昔こんなだったんだ……」と思ってもらえたら成功なのかなと。どれだけ山里さんの下の部分を深く作れるか。その辺りを観て欲しいです。

(取材・文:磯部正和)

※高橋の「高」は「はしごだか」が正式表記。

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