今夏の『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)で先輩・千鳥、後輩・かまいたちと共にMCを務めるなど、今波に乗っているお笑いコンビ・ダイアン。そんな彼らの冠番組『ゲストダイアン』(ABCテレビ)は、彼らの“ゲスト”として培ってきた持ち味を余すところく発揮させようとする画期的な番組だ。



【写真】『ゲストダイアン』第4回はダイアン以外の出演者・ADが全員子ども!

■ ファンの一抹の不安 このまま“千鳥、かまいたち路線”に乗っていいものか…?

 滋賀県の中学校の同級生、ユースケ、津田篤宏からなるコンビ、ダイアン。2000年にデビューし、関西で不動の人気を獲得すると、2018年春に満を持して東京に進出した。東京では最初のうちこそ、なかなかその面白さが浸透せずにファンをヤキモキさせていたが、昨年の『お笑いの日2022』(TBS系)ではランジャタイと津田がコラボした通称「ゴイゴイスーミュージカル」がSNSで大バズリ。先述したように『27時間テレビ』では総合MCを担当した。放送前には「千鳥、かまいたちのおまけでは?」という失礼な声もあったが、蓋を開けてみれば大活躍で、クライマックスでは津田の母親・きみ子が中島みゆきの「時代」を熱唱して有終の美を飾った。

 「ダイアンは売れたのか?」と半信半疑であった多くのファンも、おそらく『27時間テレビ』を目の当たりにした瞬間、「ダイアンは売れたのだ」と確信したはず。
某プロ野球選手の名言ではないがまさに「自信から確信に変わった」瞬間であった。

 東京進出して5年が経った。流浪の民のように、さまざまな番組にゲスト出演し、爪痕を残してきた2人。しかし一方で、ここに来てダイアンの「この先」を想像しにくいという別の悩みが浮上する。千鳥やかまいたちのようにひな壇→MCという路線が王道であり順当だ。

 ただ、ダイアンのことが好きなファンであればあるほどそこで首を傾げるのではないか。
もちろん百戦錬磨の2人である。MCが能力的にできないわけではない。そうではなく、「それは見たかったダイアンの姿なのか」ということ。指し棒を手に持って自信満々にかまえ、ひな壇のゲストの面々に話を振るダイアン。ゲストを招くホスト側になったとき、彼らが活きるのか。

■ 『ゲストダイアン』のコンセプトに「その手があったか!」

 そんな中、先月スタートした彼らの新しい冠番組が『ゲストダイアン』だった。
この番組でのダイアンの立ち位置は「MC」ではなくて「ゲスト」。毎回変わるMCの、毎回変わる番組にゲストとして参加し、番組を盛り上げるのが2人の役割、いわば彼らの「冠ゲスト番組」なのだ。

 この番組が発表になったとき、「その手があったか!」とひざを打ったファンも多いのではないか。ダイアンの冠番組は冠番組でも、毎回ゲストをダイアンにして、番組とMCをコロコロ替えていけばいい、というコロンブスの卵的な発想の転換だ。

 もちろん番組のホストやゲストは「言い方」なだけで、実際は毎回“ゲスト”が替わるダイアンの番組ではないか、と考える向きもあるだろう。しかし、実際の番組を見ると、ダイアンは番組の企画に完全に受け身で、言ってしまえばされるがまま。
番組のホストかゲストか。一見、些細なようにみえるスタンスの違いが、結果的に絶妙な違いを生み出している。“ゲスト・ダイアン”であるからこそ、これまでゲストとしてさまざまな番組で揉まれてきた2人の経験が活きている。

 毎週のMC陣と番組も強烈だ。紆余曲折を経て今や“山の人”となった俳優・東出昌大の番組『あつまれ ひがしでの森』、こちらも紆余曲折を経て“ヨガの人”になった片岡鶴太郎の『鶴ちゃんのヨガ夢中』、筋肉タレントを経ていつの間にか“金魚の人”になっていた照英の『照英の熱血!金魚塾』。三者三様のあまりにも濃いMC陣と、これケーブルテレビでしたっけ? というマニアックな番組と、そしてダイアンの奇跡的なケミストリーが、放送前の期待以上に爆笑を誘っている。


 あいにく番組は今のところ全4回で、本日7日放送が最終回だが、すでにSNSには続編を望む声が集まっている。最終回の番組は、ドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)などへの出演で知られる子役のゆのちゃん(永尾柚乃)がMCを務める『ゆのちゃんのてれび』。ダイアン以外の出演者はおろか、番組ADまで子どもというあまりにも攻め過ぎな番組で、ハプニングの匂いしかしない。ダイアンが予測不可能な子どもたちとの共演で、いかに“ゲスト・ダイアン”ぶりを発揮するのか、見届けたい。(文・前田祐介)

 『ゲストダイアン』第4回(最終回)はABCテレビにて10月7日16時放送。放送後、TVerとABEMAで見逃し配信あり。