欅坂46から櫻坂46へ。加入から8年、一期生の土生瑞穗はグループを卒業し、「新境地」へ向かう決断をした。
【写真】1st PhotoBookでは初公開の“お腹のホクロ”も 先行カット&撮り下ろし写真
■独特のワードセンスで「PhotoBook」ロケの感想
――インタビュー前の写真撮影では、外が暗くて「クランクイン!さんだけに、暗くなっちゃって」とギャグを…。
土生:あぁ、“はぶし”が出ちゃいました…(笑)。
――土生さんらしい(笑)。さて、11月25日に開催される土生さんのラストステージ「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」を控える中、「1st PhotoBook」を出版します。
土生:お話を頂き、夢のようでした。お世話になった方や応援してくださったBuddies(櫻坂46ファンの愛称)の皆さんに、8年間の恩返しを何か形に残したかったので、実現して感謝の気持ちでいっぱいです。
――「JJ」や「CLASSY.」(共に光文社)でモデルを務めていますし、内容にもこだわったのでは?
土生:たくさん意見を出させていただきました。紙の質感にもこだわって、最初から最後まで「自分もちゃんとたずさわりたい」と思って、責任をしっかり持って制作しました。
――タイトル『Destination』の意味は「目的地」です。
土生:卒業を控えるタイミングの出版で、過去と未来をつなぐ1冊になればと思ったので、このタイトルを選びました。8年間、メンバーと一緒に坂道を上ってきたじゃないですか。卒業後は、自分自身で違った坂を上っていくと思うんです。その坂には終わりがないし、みんなとは違った道に行くけど、次の「目的地」まで自分らしさを大切に、頑張っていきたいと思っています。
――私服や愛用するバッグの中身も、公開しています。
土生:この本でしか見せられないページをたくさん作りたかったので、今まで明かしてこなかったこと、自分の気持ちをすべて詰め込みました。私の「攻略本」です(笑)。
――(笑)。デニムスタイルでの大胆カットに備えて、ボディメイクに励んだそうですね。
土生:とはいえ、特別に「これをしました!」というのはないんです。8年間、アイドルやモデルとして表舞台に出るために、日々、体づくりをしてきたので。この本では素の私を見せるため、普段と変わらない準備で撮影本番を迎えました。
――お話にあった、普段の「体づくり」も気になります。
土生:ライブパフォーマンスが激しいグループですし、私より若いメンバーの足を引っ張らず、一期生としての背中を見せられるよう、トレーニングのためにジムに通って。休日は古着屋さんを巡ったり、なるべく体を動かすようにもしています。加えて「1st PhotoBook」の撮影期間は早朝の撮影が多かったので、早寝早起きも心がけました。
――健康的ですね。撮影では、初日「楽天ブックス限定カバー」の撮影中に「ちょっと涙目」だったと。
土生:現場にいるすべての皆さんが「この本のために動いてくださっているんだ」と思ったら、感動してしまったんです。制作の一瞬一瞬に感謝しなければいけないし、夢を叶えてくださった方々のお力がすてきだという思いからの涙でした。
――ロケ地は、東京と山梨。何か、意味があったのでしょうか?
土生:自分にゆかりある地で撮りたかったんです。
――山梨は「欅共和国」や「W-KEYAKI FES.」も開催した地ですし。四尾連湖(しびれこ)での撮影は、いかがでした?
土生:湖では、顔まで水に浸かりました(笑)。「寒いから気をつけてね」と励ましてくださるスタッフさんが温かくて、湖の寒さも感じなかったです。感想としては…。しびれる、四尾連湖でした(笑)。
■後輩の成長が大きな決断「卒業」の後押しに
――メンバーとしては最初で最後の「PhotoBook」。撮影中、卒業がよぎった瞬間は?
土生:過去への感謝、未来へのワクワク感しかなかったです。これからも長く愛される1冊になってほしかったし、この先いつでも「こんなときもあったなぁ」と振り返れる1冊にしたい一心でした。
――清々しいです。さて、核心の卒業ですが、欅坂46加入から8年のこのタイミングで決断した理由は?
土生:後輩たちが自信を持つまでは、グループの一員として見守りたかったんです。
――最新シングル「承認欲求」では選抜メンバーとして、土生さんにとっては最初で最後の三期生(谷口愛季・中嶋優月・村井優・山下瞳月)も参加した表題曲MV撮影を経験しました。
土生:新しい形でした。三期生がフロントメンバー(谷口・山下)に入り、グループ自体も新体制になったので、すてきなシングルの活動期間に卒業させていただけるのは、いいタイミングだと思います。
――卒業生の菅井友香さんは、欅坂46から櫻坂46への改名時に卒業を考えながらも、そこから「2年」踏みとどまったと聞きました。土生さんも菅井さんのように、過去に卒業を考えたことはなかったのでしょうか?
土生:私は、まったくなかったです。メンバーとして大事なのは、櫻坂46を未来につなげていくことだと思っていたので。自分にできることでグループに貢献したかったし、過去に卒業を考えたタイミングは一度もありません。
――大きな決断だったと思います。実際、メンバーにはいつ伝えたのでしょう?
土生:Buddiesの皆さんに発表する直前、同期にも後輩たちと同じタイミングで伝えました。自分でしっかり考えるべきと思ったので相談もせず、自分の意思を信じました。
――相談せずとは、意外です。
土生:1人1人、人生があるじゃないですか。何事も最終的に決めるのは自分ですし、後悔したくないので、普段から「自分を信じてみよう」という意識を大事にしています。
――ほかのメンバーは、卒業を予想していなかったのかと思います。
土生:たぶん、バレていなかったはずです(笑)。卒業が近いから何かするでもなく、グループでは普段通り「悔いなく過ごそう」と意識していたし、今も変わらず、残りの時間を過ごしたいと思っています。
――土生さんの意思を聞いて、メンバーも驚いたのではないかと。
土生:ビックリしていました。反応を見て、卒業公演までの期間はあるので、私自身も悔いなく卒業を迎えられるように、グループで過ごしていきたいと感じました。メンバーとのコミュニケーションとか、残せるものはしっかり残したいと思ったので、自分の言葉でお知らせできてよかったです。
■残る4人の一期生は「悔いなく、自分を大切にしてほしい」
――欅坂46「サイレントマジョリティー」でのデビュー時は20人だった一期生も、土生さんが卒業すると4人(上村莉菜・小池美波・小林由依・齋藤冬優花)になります。
土生:11月25日の卒業公演で、新たなスタートの架け橋を見守ってくれることに感謝です。
――インタビュー前の写真撮影では、ふと「あと1ヵ月かぁ。寂しい…」とつぶやいていました。
土生:1つ1つ、グループでの活動が終わりを迎えていて、最後のシングルのレコーディングでは「今日で最後だね」とスタッフさんが声を掛けてくださったんです。お世話になった現場で8年間の感謝を伝える瞬間も日々訪れていて、悔いなく終えられるようにかみ締めています。最近では、生写真の撮影も最後でした。新しい衣装も袖は通さず見ているだけで、未来を見ているようで感慨深かったです。
――卒業発表のブログでは、この8年間で自分を「信じられるように」なり「受け入れられるようになった」と。
土生:何かきっかけはなく、8年間を通してです。すべての経験が糧になっているし、トータルで自分を変えてくれました。失敗も含めたすべての経験が今の自分を作ってくれたので、グループにはどれほど感謝しても足りないほどです。
――卒業後は「新境地を表現者として自ら切り開いていきたい」と述べていました。
土生:いずれ卒業する、ほかのメンバーの選択肢も増やすため、「こういう道もある」と示せる活動をしていきたいです。この先の姿でグループへ恩返ししたいですし、ご縁を大事にしながら、上り坂を上っていきたいです。
――期待しています。ところで、レギュラー番組『そこ曲がったら、櫻坂?』(テレビ東京/毎週日曜24時35分)では最近、土生さんがこれまで以上に元気な印象も。卒業で吹っ切れたのかなと…。
土生:いつも元気です(笑)。放送だとカットされることも多く、スタンスは昔から変わっていません。でも、たしかに最近、使われているシーンが多いかなとは思って…(笑)。最後の最後まで残せるものは残したいし、加入からまもない三期生に「ありのままでいい」と伝えたい思いはあります。自分の出番だけではなく、ほかのメンバーの出番でも楽しむのは大事ですし、すごく楽しい現場なので。ひょっとしたら、卒業を決めてから、悔いなく楽しみたい気持ちが出ているのかなと思います。
――もう1つ、レギュラー番組にちなむ話を。「1st PhotoBook」では、番組発で土生さんと“よく似たキャラクター”のハーブさんの名言も収録。卒業まで残りわずかで、お見かけする機会はありそうですか?
土生:あ~(笑)。会いたいですか?
――できれば(笑)。
土生:どうかなぁ…。でも、ハーブさんから教わったこともたくさんありますし、いつの日か「そこさく」(レギュラー番組の愛称)のゲストで呼んでいただければ(笑)。
(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:上野留加)
櫻坂46土生瑞穂1st PhotoBook『Destination』は光文社より11月7日発売。定価2530円(税込)。