中島セナと奥平大兼というフレッシュなキャストが初共演を果たすディズニープラス『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』。実写とアニメで描く壮大な2つの世界を舞台にした本作は、【現実世界】=横須賀に暮らす空想好きな女子高生・ナギと、【異世界】=ウーパナンタから突然現実世界にやってきた半人前のドラゴン乗り・タイムが出会い、共に世界を救うために命懸けの冒険の旅に出るオリジナルファンタジー・アドベンチャー大作だ。
【写真】17歳にして唯一無二の存在感&透明感! 中島セナ
◆異世界に生きる少年と空想好きな普通の女子高生―自身との共通点は?
――奥平さんは、【異世界】のウーパナンタに生きる16歳のタイム役。そして、【現実世界】に生きる高校生のナギを中島さんが演じました。まず初めに、それぞれのキャラクターを演じるにあたって、どんなことを意識したのか教えてください。
奥平:僕が演じたタイムはそもそも、ウーパナンタという世界で15年間、生きてきた人物で、ウーパナンタの常識を持っています。なので、監督にウーパナンタの世界についてたくさん質問をして、話し合ってから演じました。【現実世界】にきてからは、初めて見るものばかりだと思ったので、それらを見た時にどういうリアクションをするのかを想像したり、ウーパナンタ語を勉強したり、事前準備が多かったですし、考えることが多かったです。
――タイムは少年らしさが強調されたキャラクターのようにも感じましたが、そうしたところも意識されたのですか?
奥平:そうですね。アニメの世界から出てきた人物なので、(アニメから)出てきたばかりのときは話し方や仕草はあえて大げさに演じるようにしていたので、不自然に感じるところもあると思います。そうした演技も監督と相談をして作っていきました。突然、不思議なタイミングで腕を組んだり、普通はしないことをあえてして、物語が進んでいくうちに【現実世界】に慣れていくという変化を見せたいと思っていました。
中島:私が演じるナギは、空想好きの普通の女子高生です。
――それぞれの役柄との共通点はありましたか?
奥平:タイムはすごく正直で、素直で、人を疑うことなく信じて、みんなのことを平等に見ている人ですが、現代社会では、なかなかそうやって生きるのは難しいなと(苦笑)。どうしても全てをフラットには見られないところがあるので、僕はあまり似ていないように思います。
中島:私も考え方が近しいところもあるとは思いますが、そっくりかと言われたらそうでもないですね。
――どんなところが近しいんですか?
中島:学校があんまり好きじゃないとか(笑)、想像するのが好きだったり、現実逃避してしまう時があるというのは似ているかなと思います。
――実写とアニメという2つの手法で物語を描くというのは、すごく珍しい表現方法だと思いますが、そうした作品だからこその苦労や難しさはありましたか?
奥平:タイムは【異世界】から【現実世界】に来ているので、アニメで描かれてきた部分の不自然さを自然に見せなくてはいけないというのが難しいところでした。
――アニメの吹き替えは、いかがでしたか?
奥平:すごく難しかったです。ただ、実写パートを撮影した後にアニメの吹き替えをしたので、タイムという人物が自分の中で出来上がった状態で吹き替えできたんです。なので、役に対しての難しさというよりは、声優としてどうやればいいのかという難しさがありました。
中島:私はアニメパートには参加していなかったので、どうなるのか分からないまま撮影をしていたのですが、CGでガフィン(タイムの相棒で共に現実世界にやってくるドラゴン)と演技するというのが難しかったです。いないものを見ながら話すというのも、何回もテストをして撮影するというのも新鮮で、不思議な体験でした。
◆お互いの印象は「すごく落ち着いている」「演技に対して熱のある方」
――お二人は今回が初共演です。お芝居をしてみて、どんなことを感じましたか?
奥平:すごく落ち着いているなって(笑)。とにかく、すごく“役を見せる”人で、そんなところに魅力があると感じました。画(え)を見たときに、自然と目がいってしまう人っているじゃないですか。セナさんはそういうタイプの人。それが魅力の一つでもあると思いますし、それが出せるのは本当にすごいと思います。ナギ役は、ラストに向かうにつれてどんどん大変なことが起こって、演じるのも難しかったと思うけれど、しっかりと演じられていたのですごいなと思いました。
中島:タイムはかなりの量のウーパナンタ語を話していたので、きっとすごく練習したんだろうなと感じました。(ウーパナンタ語は)適当に話しているわけではなく、発音も全て決まっていて、語学の先生もついていたんですよ。それを本番で間違えずに感情を乗せて話すのは、本当にすごいことだなと思いましたし、演技をすることに対して熱のある方ですごく頼りになると思いました。そういう方が現場にいるとみんなが感化されるのですごく良い現場だったと思います。
――撮影現場の雰囲気を教えてください。
奥平:やっぱりエマくん(ソン役のエマニエル由人)! (奥平と中島の)2人でいるというよりは、エマくんも含めた3人でいる時間が長かったんですよ。(エマニエルは)最初は緊張していたと言っていましたが、いつも明るくて、スタッフさんとも演者さんともみんな仲良いし、年上の方にも好かれていて…。ひとつひとつのシーンに時間をかけて撮影する現場だったので、待ち時間も多かったのですが、そんな時間の中で、僕たち年下組と年上組を繋げてくれたのがエマくんだったなと思います。
エマくんは、真剣佑さん(アクタ役の新田真剣佑)と初めて会ったときも、すぐに肩を組んでいたくらい、誰とでもすぐに仲良くなれるんですよ。そのおかげで、僕たちもすぐに皆さんと仲良くなれたのかなと思います。もし、撮影のメイキングが公開される機会があったら、ぜひ見てほしいです、エマくんの現場での姿。ソンは頼りないところのあるキャラクターですが、エマくんはすごく頼りになる人ですから。
中島:私もエマくんですね。そこにいるだけでその場が明るくなる人で、3人の中で1番年上のエマくんが明るくいてくれることで、私たちも過ごしやすい空気になっていたんだと思います。すごく魅力的な方だなと思いました。
――柴田/スペース役の森田剛さんとの共演はいかがでしたか?
奥平:大先輩なので失礼な言い方かもしれないですが…すごくかわいらしい一面がある方だなと。今回、クールで強面な役柄を演じていらっしゃいますが、現場ではニコニコされていて、話しやすかったです。
◆中島セナ&奥平大兼が挑戦してみたい“冒険”は?
――ここからは、お二人自身のことについても教えてください。まずは、2023年も残り少なくなってきましたので、ぜひ今年を振り返っていただければと思います。奥平さんは、今年は大きな話題となったドラマにも出演されていました。
奥平:ありがたいことにたくさんの出演作が公開された1年でした。僕としては、今年はお芝居の成長というよりは、考え方が変わった1年だと思っています。僕はこれまで年上の方々と共演することが多かったので、学園もののドラマに出演して、同年代の人たちと一緒にお芝居をしたことでたくさん刺激も受けましたし、改めて自分の立場を客観的に見る機会にもなったと思います。今後、携わる作品についても楽しみややりがいを実感できるようになったと思いました。
――それを受けて、2024年の目標は?
奥平:今できるお芝居というものがあるんだなと最近、すごく思うので、今の感覚を大事に演じたいと思います。もちろん、過去に演じた作品も自分なりに頑張ってはいたのですが、今とはまた違うと思うので、20歳の僕の感覚を大事にしていきたいですし、若さを出していきたいと思います。
――今年は、20歳という節目の年でもありましたが、それは意識していましたか?
奥平:あまり意識はしていなかったですね。友達とお酒を飲みに行けるとか、そうした変化はありましたが、役者的にはまだ20歳になった実感はないんですよ。数字が一つ増えたなというくらいです(笑)。
――中島さんは、2023年はどんな1年でしたか?
中島:お仕事をしつつ、絵を描きつつ、勉強をしつつ…という1年でした。毎年そんな感じですが(笑)。自分の好きなことや学んでいくことをお仕事と並行してできたと思うので、すごく成長した1年だなとは思いました。
――デビューされてから5年になりますね。
中島:あっという間でした。5年間も仕事をしてきたと思えないです。
――この5年間の中で、中島さんにとっての大きな転機は?
中島:そもそも、このお仕事を始めたこと自体が自分の中で大きな変化だったと思います。もちろんその後もたくさんの転機はあって、自分の中で追いついていないと感じることもありましたし、すごく流れが早く感じています。
――2024年の目標は?
中島:今年、絵を学んできたので、来年はそれを何かの形にできたらと思います。お仕事に対しては、頂いたお仕事にきちんと向き合っていけたらと思います。
――では、壮大なスケールで描かれる冒険物語の本作にちなんで、お二人がしてみたい「冒険」は?
奥平:お仕事でいうと、これまであまりやってこなかったことをやりたいです。今年はドラマの撮影もあって制服を着る機会が多かったのですが、そうした学生役もそうですし、これまであまりやってこなかったような役をやったり、これまで感じたことのない感覚を体験したいと思っています。
中島:私は仕事とは違いますが、旅に出たいです。日本を回ってみたい。もちろん、海外にも行きたいのですが、言葉の壁があるので(苦笑)。いろいろと考えると、日本国内で自然豊かなところや美術館を回りたいです。
奥平:自然!? すごく大人だね。
中島:もちろん、テーマパークや遊園地といった遊べる場所も大好きですよ! 友達とワイワイ行ったことがないので、そんな旅もしてみたいです!
(取材・文:嶋田真己 写真:高野広美)
『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』は、12月20日よりディズニープラス「スター」で独占配信。