KAT-TUNファン以外の人には、この名前を聞いても「誰?」と思う人は案外少なくないかもしれない。
また、かつては赤西仁のカラーが強かったためか、KAT-TUN全体に「不良っぽいグループ」「ちょっとチャラくてスカしたホスト的集団」だと思っていた人も少なくないだろう。
ベムだけじゃない! ほのぼのKAT-TUNの新たな魅力
だが、赤西仁が脱退した後、もう一人のメインボーカルだった亀梨和也が「実はけっこう真面目な人(自分でもときどき言っている)」「野球に本気の人」だということが一般に認識されるようになり、楽曲の方向性も変わり、KAT-TUN全体としても「ほのぼの」したイメージに変わってきた。
なかでも、大きなキャラクターチェンジをしたのは、亀梨に加えて、この上田だと思う。かつては髪も長く、笑顔をあまり見せず、スカしていて、スパイシーなことを言うキャラに見えた。
後に訪れたのは、「妖精が見える」を頂点とした、数々の「不思議ちゃん」発言。メイクも濃くなり、迷走に思えた。
だが、そんな上田がいま、最高にナチュラルになっている。 明らかな転機に見えたのは、昨年秋のドラマ「ランナウェイ~愛する君のために」との出会いだろう。
それまでの茶髪の長髪を思い切って丸刈りにし、ちょっとおバカな役柄を非常に自然に演じている姿は好感が持てた。また、ドラマ自体はさほど数字をとれなかったものの、出演者たちの結束力の強さ、意気込み、チームワークの良さは、出演者たちが番宣で登場した際のトークなどから見てとれた。
そして、上田自身、「ランナウェイ~」出演以降は、NHKBSの「ザ少年倶楽部プレミアム」や、アイドル雑誌などで、自分の過去の「迷走」についてたびたび語っている。
たとえばそれは、「妖精が見える」設定が、キャラを確立するために、たまたま言った話がウケたことから始まったものだということ。
頭を丸めたことで吹っ切れたのか、それとも市原隼人など、「アツい仲間」ができたことで変わったのかわからないが、最近の上田は、相変わらずときどき「天然」「不思議ちゃん」発言もするものの、感情のままによく笑い、よく騒ぎ、実にナチュラルだ。「キャラクター探し」の迷走を抜けたいま、とっても自由で、幸せな境地なのだろうか。(文:田幸和歌子)