福山雅治と大泉洋が、数々の難事件を解決する“最強バディ”を演じて人気を博したTBS日曜劇場『ラストマン‐全盲の捜査官‐』が『映画ラストマン ‐FIRST LOVE‐』として24日より公開。さらに28日には完全新作スペシャルドラマ『ラストマン‐全盲の捜査官‐FAKE/TRUTH』が放送される。

物語の枠を超え“最強バディ”ぶりを発揮する2人を直撃。撮影エピソードにはじまり、大泉が「やっぱりスター」と感服する、福山の言動のベースにあるファンへの想いも聞いた。

【写真】福山雅治×大泉洋 どんな事件も解決できそうな撮りおろしショット(8枚)

■撮影であざだらけ? 映画の皆実広見はアクションもすごい

――福山さんが演じる“ラストマン”こと、全盲のFBI特別捜査官・皆実広見の魅力はどんなところだと、お2人は感じていますか?

福山雅治(以下「福山」):皆実は、“いるような、いないような”ファンタジーと現実の両方を兼ね備えているところが、存在として魅力的なのかなと思います。そしてやはりヒーローですよね。劇中でも描かれてましたけど、子どもにも人気があるという。なにか、ウルトラマン的だったり仮面ライダー的だったり。それでいて腹黒いところや計算高いところもあって、でもそれは正義につながる腹黒さだったりする。そうしたところが魅力的であり、痛快だと感じます。

大泉洋(以下「大泉」):皆実さんという、超人的な人を見事に存在させてくれているのは、福山さんにしかできないキャラクターだなと思います。今回の映画での新たな皆実さんとしては、アクションですね。僕は皆実さんのアクションを全部は見ていなかったから、改めて完成した本編を見て、めちゃくちゃアクションしていたんだなと驚きました。

福山:やってたんですよ。


大泉:撮影が終わったあと食事をご一緒したときに、福山さんが(声真似で)「これ、見てくださぁい」とか言ってくるので見てみたら、(体が)あざだらけで。でもそりゃそうなるなというアクションでした。今回は皆実広見のアクションが新しい魅力だなと思います。

福山:映画の後半のアクションシーン、台本を読んだ時にめまいがしましたよ(笑)。どうやって撮影するんだろうという内容が台本に書いてありましたから。現場でも所作指導の方に「これって、できるんですか?」と聞いたら、「皆実さんならできるんじゃないですか」って。

大泉:あははは! むちゃくちゃかっこよかったです。

■大泉は、護道心太朗と大泉洋を行ったり来たりできる

――では続いて、大泉さんが演じる犯人逮捕のためには手段を選ばない、警視庁捜査一課の護道心太朗の魅力を。

大泉:護道心太朗は、特にテレビシリーズでは自分の実の父親が殺人犯だと思って生きてきたという、あまり僕がやらない、すごく重たい十字架を背負ってきた役でした。そうした役でありながら、ギリギリの中で遊ぶという。今回の映画になりますと、自分の父は正しい人だったんだということと、実の兄も得て、どこか気持ち的に楽になったところがあります。テレビシリーズよりも少し晴れやかな護道さんとして演じておりました。


福山:僕としては、護道心太朗に関しては、まず「かっこいい大泉さん」っていうね。

大泉:ははは。

福山:影のある大泉さん、そこがすごく魅力的で、ガンアクションもキレがあって、凶暴性もあって、かつ、そんななかでもユーモアもあるという。こうした複雑な人間性を大泉さんがやる。大泉洋という俳優がやるからこそできる、護道心太朗だと感じます。何しろ大泉さんは、演じながらも護道心太朗と大泉洋を行ったり来たりするんですから。なかなかできないですよ、素晴らしいです。

大泉:あははは!

福山:ドラマや映画の役というフレームをはみ出しそうになりながらも、ちゃんと物語のキャラクターとストーリーを進めていくことができるというのは、すごいことです。おふざけをしているだけじゃないし、おふざけというか、むしろそうしたユーモアですらも、作品全体の奥行きやキャラクターの幅につなげられちゃいますから。ドラマの『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)でも僕のモノマネをしてくださいましたし。その前に宮沢りえさんと共演されていた舞台(シス・カンパニー公演『昭和から騒ぎ』)でもね。

大泉:はい、そこでも入れさせていただきました。


福山:観に行かせていただいて。そしたら、「僕かな?」みたいなシーンがあって。

大泉:福山さんに「やって」と頼まれたんですよ。

福山:はははは! 「洋ちゃん、明日観に行くから、入れてもらってもいい?」ってね。

大泉:『ちょっとだけエスパー』の場合は、勝手に入れさせてもらって事後報告になりましたけど。

福山:こういうことができるのは、世界でも大泉さんだけです(笑)。

■地元北海道で撮影できた大泉に福山が嫉妬? 「次回はぜひ長崎で」

――映画は北海道が舞台ですが、なぜか心太朗の北海道への愛が漏れているシーンがたびたび登場します。

大泉:台本に書いてあるんですよ。

福山:勝手にやってるわけじゃないからね。

大泉:書いてあるんです。セリフです。僕も「なんでこんなに護道さんは北海道を好きなんだ?」と思いましたけど(笑)。
まあしかし、今回の映画は改めて雪が似合う作品だなと思いました。“FIRST LOVE”という淡い初恋の物語と、北海道の雪の景色がとってもきれいにマッチングしていて、雪の中でのアクションも素敵で、ワタクシの故郷が見事に盛り上げていたなとうれしくなりました。

――空き時間に、福山さんに北海道のお店をおススメされたりは。

大泉:しましたよ。お寿司屋さんとかね。それよりなんかね、福山さんがうらやましがってましたね。函館でロケをしていたときも、北海道ですから、どうしても地元のみなさん僕とは距離が近いわけです。そういうのを見ると、福山さんが「どうして、今回、函館なの」ってうらやましがるわけです。

福山:それは当然そうですよ。

大泉:今回は冬の物語でしたから、北海道なのかなと思いますけど、長崎の異国情緒ある街並みも似合いそうですよね。

福山:本当ですよ。いつの日か長崎でも是非。


――もし次回の『ラストマン』で長崎を舞台にするなら、どういった場所で撮影したいですか、

福山:おススメの場所はいっぱいあります。グラバー邸であるとか、大浦天主堂とか。造船所や軍艦島とか。夜景もきれいだし、海も山も田園風景、そして島々もありますから。おすすめだらけです。

大泉:昔、大河ドラマの『龍馬伝』(NHK)関連で長崎に行ったときは、とにかくすごかったですよ。王様が帰ってきたという感じで。福山さんが帰ってきて道を通るからって、信号が全部青になるんですからね。

――バラエティ番組などでもお話されている逸話ですね。

大泉:本当なんですから。あの歓迎ぶりは、北海道の僕にはない感じでしたね。僕の場合は、親戚の兄ちゃんが帰ってきたって感じで話しかけてきますから。
誰が仕事仲間なのか、ファンなのかわかりません。それもうれしいですけどね。

■歌手デビューから35年。バッタリ会った人の向こう側にもファンの姿を

――ファンとの接し方といえば、大泉さんは福山さんの日頃の言動に感服されているそうですね。街中で声をかけてきた人にも、福山さんは丁寧に接するとか。

福山:ファンダムに支えていただいて35年やってきています。つまり、35年間ずっと応援してくれている人がいるわけです。でもそうした人と、道端でバッタリ会うということは、まずないんです。だけど、例えば今日僕が東京駅でバッタリ会った人が、僕のことを35年間応援してくれている人とどこかで繋がっているかもしれない。その人が「今日ね、東京駅であなたが応援している福山って人を見かけて『福山さんですか?』って声をかけたら、『どぉうも、福山ですっ』ってわざわざ自分のモノマネして応えてくれたよ」ってなるかもしれない。

大泉:あははは!

福山:それを聞いたファンの方は、「でしょ! だから私は35年間ずっと応援してるんだよ」と思ってもらえますよね。そこまでをイメージして生活しています。可能な限りそうでありたいと。バッタリ会ったその人の向こう側に、僕をずっと応援してくれている、直接会ったことのないファンの方もいる。「そういう思いで日々、生きているんだよ」ってことを洋ちゃんに言ったら、「生きづらくないですか? 疲れませんか」って言われるんですが(笑)。こうした取材でも同じです。ここでの対応がファンに伝わるかもしれません。

大泉:いやー、すごいです。これがやっぱりスターなんですよね。

(取材・文:望月ふみ 写真:高野広美)

 『映画ラストマン ‐FIRST LOVE‐』は公開中。スペシャルドラマ『ラストマン-全盲の捜査官- FAKE/TRUTH』は、TBS系にて12月28日21時放送。

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