ベルリン国際映画祭で2冠に輝いたスペイン映画『幸せの、忘れもの。』が、5月1日より全国公開されることが決定。

あわせて、予告編とポスター、場面カットが解禁された。

【写真】アンヘラと家族の時間を切り取った『幸せの、忘れもの。』場面写真

 本作は、聴こえない世界に生きる女性と大切な家族の物語。第55回ベルリン国際映画祭にて観客賞とアート・シネマ賞、第28回スペイン・マラガ映画祭では最優秀作品賞「金のビスナガ」と観客賞を獲得した。

 原型となったのは、18分の同名短編映画『Sorda』。各国の映画祭でノミネートおよび受賞をあわせて110を超える評価を獲得し、本作へとつながった。

 聴こえない世界に生きるアンヘラと、優しく寄り添う夫エクトル。2人は手話というかけがえのない言葉で心を通わせる。アンヘラは陶芸工房で働き、優しい土の匂いと仲間たちに見守られながら、静かで平穏な日々を過ごしていた。

 しかし、ある“幸せな出来事”を境に、何かが少しずつ揺らぎ始める。やがて再び“疎外の世界”に引き戻されるアンヘラ。聴こえない世界とその外側で、時折見え隠れする“本当の幸せ”を、アンヘラはつかまえることができるのだろうか…。


 監督を務めるのはエバ・リベルタ。劇作家、社会学者の顔も持ち、そのキャリアは本作にも多大な影響を及ぼしている。主演のミリアム・ガルロは、ろう者の俳優であり、監督の実の妹だ。監督が「きっと私たちは、一生をかけてこの映画を準備してきた」と語るように、本作には監督と妹自身の長年の実体験が色濃く反映され、研ぎ澄まされたリアリティが宿っている。

 ろう者と聴者とのわずかなすれ違い、それぞれが感じる異なる疎外感――これまでの映画作品には決してなかった、繊細で絶妙な演出が冴えわたる。ろう者と聴者を象徴的な主人公としながらも、母として、子として、夫婦として、そして生きるすべての人々が感じるふとした切なさ、些細な疎外感、そして必死にもがいた先にある小さな幸せを見事に映し出す。

 今回解禁された予告編では、聴こえない世界に生きるアンヘラが、優しい夫と念願の子どもに恵まれ、気を許せる仲間たちに囲まれながらも、どこか拭いきれない疎外感を抱えている姿が映し出される。愛おしいはずの日々のなかで、彼女の幸せが少しずつ揺らぎ始める様子が、繊細な筆致で描かれている。

 またポスターは、手話で語りかけるアンヘラに向けられた夫エクトルと娘の、優しく愛に満ちた眼差しが印象的なビジュアルとなっている。場面カットでは、アンヘラが大切な家族と過ごす穏やかな時間が切り取られている一方で、言葉にできない悲しみに苛まれる瞬間も収められており、その落差が胸を締め付ける。

 映画『幸せの、忘れもの。』は、5月1日より全国公開。

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