6日、日本青年館大ホールにて、宝塚歌劇団の専科公演である「バウ・コメディ おかしな二人」の公開通し稽古が行われ、主演を務める轟悠(とどろきゆう)、花組の華形ひかる(はながたひかる)らが息の合ったテンポのいい芝居を展開した。

<フォト>宝塚歌劇団「おかしな二人」公開通し稽古の様子

 「おかしな二人」はブロードウェイを代表する劇作家ニール・サイモンの傑作喜劇。
1965年、演出家マイク・ニコルズと組んだブロードウェイ上演が評判を呼び、68年にはウォルター・マッソー、ジャック・レモンのコンビで映画版が公開され、世界的に大ヒットした。宝塚版では脚色・演出を石田昌也、翻訳を酒井洋子が務める。

 バツイチでずぼらな性格のオスカー(轟)のもとに、「妻に捨てられた!」と几帳面で潔癖症のフェリックス(華形)が転がり込んできたことで巻き起こる騒動を描く。宝塚歌劇では2011年に宝塚バウホールにて専科の轟と元専科の未沙のえる、星組のメンバーによって上演され好評を博した。轟と未沙のベテランコンビの巧さが光った前回から、花組の華形との新タッグとなったオスカーとフェリックス。歌もダンスもない異色の宝塚作品で、丁々発止のやり取りが観客を笑顔にする。

 オスカーとフェリックスを取り巻く、ポーカー仲間4人や同じマンションに住むセクシーなピジョン姉妹もみな濃いキャラクター。それを花組のメンバーが演じており、登場人物が8人と少ない芝居も、ひとりひとりが生き生きとしていてあっという間に時間が過ぎてしまう。フェリックスのあまりの潔癖ぶりにとうとう衝突してしまうオスカーだが、友達思いの面も伝わってきて温かな気持ちになる。また、最後のオチも効いた楽しい作品だ。

 ストレートプレイの後には短いショーも付いている。コメディから一転、轟のスマートなダンスと歌を堪能できる作りだ。
轟という1本大きな柱の通った、安心して観られるコメディである。

 ほか出演者に、悠真倫(ゆうまりん)、紫峰七海(しほうななみ)、初姫さあや(はつひめさあや)、大河凛(たいがりん)、仙名彩世(せんなあやせ)、柚香光(ゆずかれい)(すべて花組)。

 宝塚・専科「バウ・コメディ おかしな二人」は日本青年館大ホールにて12月7日(金)~10日(月)まで上演。
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