<フォト>「女と男の熱帯」への熱い想いを語ってくれた、藤原紀香
「企画書からほとばしるような野沢さんの想いを感じ、じっくり読ませていただきました。マスコミの虚像と現実が行き交う情報社会の中で、苑子がプロフェッショナルとして何を自分の正義と思って生きていくのか。とても社会派で骨太な物語なのに大人の色気がある。渡部さん演じる進藤が現れることで、社会派サスペンス+ラブストーリーという、いまどき日本では見られない大人の女と男のドラマが生まれるんです。野沢さんが遺されたこの世界を映像として残さなくては。。。というスタッフの思いがバンバン伝わってきて。この役はどんなにスケジュールがきつくてもやりたい役だって」
上がってくる台本にも夢中だ。「読んでいるだけでドキドキしちゃって。この先、どうなっていくんだろうって。
藤原が演じるのは40代のキャリアウーマン。ジャーナリストとして、女性としての苑子にとても共感を覚えたという。「苑子はジャーナリストとしての信念を持って、自分が正義だと思うことを報道する。私も何が嘘か本当かわからないマスメディアの中に生きていて、でも自分でこの仕事を選んで、プロとして正統派で突き詰めようとしている。なので、その中で葛藤し渦に巻き込まれる苑子の気持ちは分かりますね。そして、私もアフガンやカンボジア、バングラデシュ、ケニアなど、色々なところに問題意識を持って取材をして、メッセージを届けています。職業は違いますが、とても共感できるものがあります」
さらに、苑子に共感を覚えた強い理由があった。それは苑子が過去の仕事で負った傷に関係する。 「苑子はとてもバリバリのキャリアウーマンで強い女性。でも完璧じゃないところが好きですね。周りには完璧で強い女性だと思われているかもしれないけれど、自分の中にはトラウマだって、脆さだって弱さだってある。
仕事に誇りや自信を持っていた時代から、報道を突き詰めることにより人の生死にかかわる事件を経て、何を信じて仕事を続けていいのか分からなくなっている現在の苑子の前に現れるのが、渡部扮する進藤だ。彼は社会の陰謀により、妻子を殺されたことで強い復讐心を抱き、殺人を計画している。「はじめ、苑子は進藤を使って、自分の出口のなさ具合から脱却を計ろうとするんです。昔の勘が働いて、スクープを狙って近づくんですね」でもその出会いは苑子の運命を変える。一枚の写真から苑子の心がざわめきだした―。
話題を呼んだ大胆なポスタービジュアル。実はあのポスター撮影が渡部との初めての仕事だった。「とてもドラマのテイストを表しているポスターだと思いました。渡部さんとなら、これまでの日本にないような大人のドラマ、ラブサスペンスを作っていけると思って入ったので、撮影もしっくりいきました」
だが役の上では復讐を狙う男と、それを報道記者として偵察する間柄。微妙な関係だ。「役柄上、はじめから『ど~も~!』とかって喋ったりできませんでした(笑)。
どうしても気になる、濃厚に違いないラブシーンは?「あのシーンは、お互いの抗いがたい情熱というか、自分の身分や職業など、全部、拭い捨てて男と女になる瞬間。衝撃的な時間。初めは、‘え?! こんなことに!!!’なんて思ってましたが、あのシーンは人間らしくて好きですよ。渡部さん演じる進藤の呼吸、体温、瞳の光を感じて、自然に没頭できました」
苑子と大きく絡む人物には、進藤のほかにも、永山絢斗演じる後輩の野村と、YOU演じる私生活での友人ルミがいる。「絢斗君演じる野村は今の若い世代の象徴で、先輩の苑子とはどうしても仕事の仕方や考え方に違いが出る。そこもリアルで面白いですね。この物語には、パソコンや語学などを駆使する野村というキャラクターも必要だし、苑子と行動を共にすることによって、彼が変わっていくのも興味があります。007スカイフォールの中に出てくる『Q』みたいな(笑)」
YOUとの撮影はすでに始まっている。「親友ルミとのシーンは、唯一、苑子の素の部分がわかる箇所です。このドラマには、ほっとできる部分がほとんどないんですけど(笑)、ルミとのシーンには、大人の女同士のラフさが出ています。
現在、撮影真っただ中の藤原。頭の中は作品一色だ。「苑子の思いを、自分のなかで共鳴させて、五感をフルに使って苑子として生きています。野沢さんの想いを相沢さんが見事に書き上げてくれた。本当にいい脚本で、中毒性がある作品。2013年の目標ですか?二月末までまずはとにかく、これに誠心誠意込めて向かいます。」(取材・文・写真:望月ふみ、スタイリスト・今井聖子[カンナ]、ヘアメイク・園部タミ子)
連続ドラマW「女と男の熱帯」はWOWOWにて1月20日より、全6話、毎週日曜夜10時放送(第1話は無料で放送)