旬な女優陣を迎え、人気作家による恋愛アンソロジー(短編小説)を映像化した3エピソードからなるUULAオリジナルドラマ『I LOVE YOU』。演出は『軽蔑』『100回泣くこと』の廣木隆一が担当している。
戸田恵梨香真木よう子と共に、主演を務めた多部未華子に独占インタビュー。多部が主演するのは、第2話にあたる石田衣良原作の「魔法のボタン」だ。

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 「魔法のボタン」はいつもジャージで過ごしている男勝りな萌枝がヒロイン。失恋で傷ついた、幼稚園時代から知る幼なじみの隆介(池松壮亮)を慰めるうち、隆介の提案によって、“リハビリ”と称した毎週のデートを重ねるようになり、次第にふたりの距離が縮まっていく。

 オファー時を「それまで特殊な役柄が続いていたので、ただ単純に1対1で会話をする普通の女の子役を、おもしろいと感じました。こうした“普通”の空気が流れる映画は観るのも好きだし、久しぶりに来た普通の子だったので嬉しかったです」と振り返る。

 そして「可愛いお話しですよね。萌枝も元気で明るい女の子だし」と印象を語る。確かに萌枝はとても明るい女の子だ。だが、同時に過去の恋愛がきっかけで恋することに臆病になっている。そうした萌枝の心理については「そうですね。そういう気持は分からなくはないです。
好きな人によく思われたいという気持も分かります」といいつつ、「ただ特別、共感できるとか、自分と似たところがあるかどうかといったことは考えたことがない」と断言。

 そもそも「この役に限らず、普段から自分との共通点を探したり、共感しながら台本を読んだことがないんです。役に自分との接点を見つけようとはしません」と語り、「役は役で捉えます」と言い切る。現在24歳ではあるが、女優としてのキャリアは10年近く、自分なりの役との接し方を心得ているのだろう。

 本作を観ていると、アドリブに思える場面が多く登場する。その点をぶつけてみると「確かにアドリブは多かったですね。もちろん基本は決まっていますが、携帯動画の部分やご飯を食べている場面の前後は現場で生まれたアドリブです」との答え。セリフの前後を自由にアドリブで繋げさせたというのは、この作品においての廣木監督の手法だったのだろう。この“自然さ”こそが本作において、とても重要だからだ。勝手知ったる仲の幼なじみが、“リハビリ”デートによって関係に変化が生じていくところに、切なさとトキメキが生まれる。

 非常に可愛らしいラストシーンも、自然な会話が続く。これまたアドリブなのかと思いきや、「ここは全部セリフです」とのこと。
アドリブとセリフの判別不能は、萌枝と隆介の自然なやりとりが成立した証拠だ。 ご飯を食べる場面との言葉が出たが、本作は食のシーンが非常に多いのも特徴。ある意味、食事は他人の前では緊張する行為だったりするが、これも大学時代を除き、幼稚園からずっと知っている幼なじみの、萌枝と隆介の物語だからかもしれない。

 さて、ここから、多部の素顔にも少し迫っていこう。萌枝はジャージばかり着ている女の子だが、多部の普段のファッションはどんなものなのか。「デニムが多いです。現場に行くと着替えてしまうので、ラフな格好が多いです」とあくまでも実用的。

 本作には女子力というキーワードも登場するが、では多部の今考える女子力とは何だと思うか尋ねると。「先日、歌舞伎を観に行ったんです。その時、女形の方の動きがゆっくりしっとりしていてとてもキレイだったんです。女子力とは違うかもしれませんが、女性らしさという意味で、これからはゆっくりした動きも意識したいなと感じました。あまり自分にはない部分なので、純粋に憧れました」と観たばかりの歌舞伎の感激冷めやらぬといった反応が。


 さらに子どもの頃を振り返ってもらうと、「ずっと水あめを食べている子でした。大好きで(笑)。おばあちゃんの家が和歌山なんですけど、大好きな吉本新喜劇を見ながら、梅干しと水あめを食べていました」と可愛らしい答えが返ってきた。

 最後に理想の恋愛について直撃してみた。「なんでしょう…。理想の恋愛。うーん、現在だとあまり思い浮かばないですね。将来だったら……。子どもが欲しいくらいかな。それは恋愛と違うか(笑)。でも子どもが欲しかったら、その前に恋愛が必要ですよね(笑)」と、今は恋愛より仕事といった感じの多部だった。(取材・文・写真:望月ふみ)

 多部が出演する、UULAのオリジナルドラマ『I LOVE YOU』第2話「魔法のボタン」は好評配信中。


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