フランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』三部作やウディ・アレン監督の『アニー・ホール』など、数々の名作の撮影監督として知られるゴードン・ウィリスが死去した。享年82歳。
The New York TimesやDeadlineなど、複数のメディアが報じた。

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 The New York Timesによると、ウィリスは現地時間5月18日、マサチューセッツ州ノース・ファルマウスの自宅で息を引き取ったという。転移性のガンを患っていたと息子のゴードン・ウィルス・Jr.は話しているそうだ。

 ウィルスが1970年代に撮影監督を務めた、コッポラ監督の『ゴッドファーザー』(72)、『ゴッドファーザーPART II』(75)、そしてアレン監督の『アニー・ホール』(78)は、それぞれアカデミー賞作品賞に輝いた。多数の名作に携わったが、ウィリス自身が撮影賞候補としてアカデミー賞にノミネートされたのは、コッポラ監督の『ゴッドファーザーPART III』(91)とアレン監督の『カメレオンマン』(84)の2作品のみ。いずれも受賞に至らなかったが、2008年に功績を称えられアカデミー名誉賞を受賞している。


 照明を最小限に抑え、影を最大限に活用した撮影方法で手腕を発揮し、同業の撮影監督でウエスタンの名作『明日に向って撃て!』(70)やサム・メンデス監督の『アメリカン・ビューティー』(00)などでアカデミー撮影賞に輝いたコンラッド・L・ホールより、「暗黒の王子」の異名を授かったという。

 ウィリスは1931年、米ニューヨーク州クイーンズ生まれ。ショービジネスにいた両親のもとに育ち、写真に興味を持ったという。一時はファッション・フォトグラファーを目指したそうだが、映画撮影所で雑用係のバイトなどをした後、朝鮮戦争時は空軍に入隊し、撮影係を務めた。

 除隊後は撮影助手としてテレビやCM製作に携わり、アラム・アヴァキアン監督の1970年作品『End of the Road(原題)』で初めて長編映画の撮影監督を務めた。1980年には最初にして最後の監督作品『エミリーの窓』を手掛けている。
ハリソン・フォードとブラッド・ピットが共演した、アラン・J・バクラ監督の『デビル』(97)撮影後に引退した。