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5月発売のシングル、そして、昨年発売された自叙伝に共通する“Re Start”というキーワード。「自分から提案しました」と話す麻美は、秘められた思いを語る。
「昨年の自叙伝を手がける時に『何がいいだろう』と考えて。過去の自分も全てひっくるめて新たなスタートを切れる言葉を探していたんです。候補としては『Re born』も浮かんだけど、生まれ変わるのではなく、いったん立ち止まってからの"再出発"を表現しようと思いました」。
心機一転。月並みな言葉ではあるが、麻美自身の現状を例えるにはもっともふさわしい表現かもしれない。取材時には「おかげさまで今はすっかり元気です」と答えてくれたが、2013年2月の境界悪性腫瘍発覚当時からの様子についても語ってもらった。
「それまでの仕事ができない状況に陥り、やはり自分自身で望むことではなかったので葛藤もありました。まわりが普通に生活している中で『なんで私は何もできずに病院のベッドにいるんだろう』と考えたり、時には、仲間だったはずの恵比寿マスカッツのメンバーに対してうらやむ瞬間もあったんです。でも、心配する声や励ましの声など、たくさんの方から温かい言葉をかけて頂いたのもあり、それはきっと現在の支えにもなっていますね」。
「身体はもちろん、今の自分にはもう不可能なのかなと思ったからです。不安に思う方々の声も届いていたので、期待を持たせてはいけないと考えたので“卒業します”とはっきり伝えました。ファンのみなさんが残念に思う気持ちも分かるし、その声に応えられない自分自身が抱く悔しさも届いて欲しいと思いましたね」。
自らの気持ちをメロディに乗せた新曲『Re Start~明日へ~』からは、麻美の“今”を感じられるが、最後に新曲への思いを語ってもらった。
「何か一歩踏み出したいけどためらっていたり、自信を失い悩んでしまったりする人たちに聴いてもらいたいですね。私自身も自分が嫌いだったり、日頃から葛藤を抱えているんですよ。でも、そんな自分の背中も押してあげるような気持ちで歌っているので、手に取って下さったみなさんにも、わずかでも勇気や“明日から頑張ろう”という気持ちが届いて欲しいなと思います」。
ロンドンのピカデリーサーカスで撮影されたPVでは、ゲリラ撮影でストリートライブを敢行。“Re Start”を掲げて新境地へと歩み続ける麻美の今後からも、目は離せそうにない。