遅咲きの元コメディアン2人が、ハリウッドを沸かせている。この夏、最も注目の娯楽大作でヒーローを演じるのは、つい最近までアクション映画の主役とはほど遠かったクリス・プラット(36)とポール・ラッド(46)だ。


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 クリスは、6月なかばに北米公開されて以来、ありとあらゆる記録を打ち破っている『ジュラシック・ワールド』に主演。現実的でありつつも、独自のカリスマを兼ね備えた彼に、若き日のハリソン・フォードを見る人は多い。実際、『インディ・ジョーンズ』リブート版の主演候補に上がっているという報道もある(本人は、『そんな電話はまだ一度もかかってきていない』と、ただの噂であることを主張している)

 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と『ジュラシック・ワールド』に立て続けに出たことで、すっかりアクションスターの肩書きを得たクリス。だが、これまで彼は、主にテレビのコメディ番組『Parks and Recreation』のレギュラーのひとりとして知られていた。

 大作映画のヒーローを演じるのは夢だったのかと聞くと「もちろん、その夢は持っていたよ。でも、年を取るにつれて、どんどん遠ざかっていくように感じていた。
自分がまさかこういう役をもらえるとは思わなかったな」と、謙虚に語っている。現在撮影中の次回作は『荒野の七人』のリメイク版で、またもやかっこよく暴れ回る姿を見せてくれそうだ。

 ポール主演作『アントマン』の北米公開は今月17日だが、試写を見たジャーナリストや批評家たちの間で、評判がすこぶる良い。これまでは主にウィル・フェレルやセス・ローゲン、スティーブ・カレルのコメディ映画に出演してきたため、マーベルのスーパーヒーロー映画の主役に起用された時は、「まさか、あの人が?本当に?」とみんなが驚いたと、本人も振り返って笑う。この思いもかけないチャンスを無駄にはしないと、オファーがかかった時から真剣にワークアウトとダイエットを開始。映画の中でも、見事な肉体美を披露している。


 キャリアの初期にコメディに出て成功したせいで、ずっとコメディのオファーばかりかかるようになったことを自認する彼は、「これをきっかけに、ほかのタイプの映画でもキャリアを築いていければ」と抱負を語る。映画の評判の良さから判断するに、かなり近い将来、『アントマン』続編ができるのは、ほぼ間違いない。来年公開の『Captain America:Civil War(原題)』にも、アントマン役で出演が噂されている。40代なかばにして、彼のキャリアは今、大きなターニングポイントを迎えているのだ。(文:猿渡由紀)