現在フジテレビ系で放映中の昼ドラ『明日もきっと、おいしいご飯~銀のスプーン~』(毎週月~金13時25分放送)で主演を務めている高杉真宙。劇中で演じているような王子キャラを違和感なく体現したり、第36回 ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞を受賞した映画『ぼんとリンちゃん』ではオタク少年を好演したりするなど、どんな役柄にもしっくりハマる、高杉の演技力は、業界関係者の間でもすこぶる評判がいいようだ。


【関連】『明日もきっと、おいしいご飯~銀のスプーン~』場面写真

 地元・福岡県で、女子に間違えられてスカウトされたという逸話が、芸能界入りするきっかけだという高杉真宙。2012年、倉本聰が脚本を書き下ろしたWOWOWのドラマWスペシャル『學』で名優・仲代達矢の孫役を好演し、演技力が注目された。お茶の間で広く認知されるようになったのは、なんといってもP&G「ファブリーズ」のCMだろう。アツいお父さん・松岡修造×ほんわかしているお母さん・平岩紙の長男役として、爽やかな印象を残している。また、7月17日より始まる新ドラマ『表参道高校合唱部!』(TBS系・金曜22時放送)のメインキャスト8名のひとりに抜擢。11月には二役に扮する初主演舞台『TRUMP』の公演も控えている。

 昼ドラの主演に抜擢したドラマプロデューサー・松本右によると、高杉には「思わず目で追ってしまう魅力がある」と言う。「このドラマは、小沢真理さんの漫画『銀のスプーン』が原作です。小沢さんが描く優しい空気感を大事にしたかったのです。高杉くんならマンガから抜け出してきたような、律そのものになれると思いました。彼はまさに王子様ですから(笑)。律は真面目で自分より他人を優先にする青年というキャラクターです。
そのため必然的に受け芝居が多いのですが、高杉くんは受けの芝居もうまい。言い表すのが難しいのですが、切なさや苦しさがテレビの前で見ている人の内臓にまで響くような芝居ができる」と称賛する。

 「これから経験を積めば間違いなく、日本を代表する俳優になるのではないでしょうか。感情が溢れ出てくるような目の表情だけで人を虜にできる俳優。でもカットがかかると、真面目で礼儀正しい素敵男子になる。男女問わず、現場スタッフが彼に恋しています(笑)」と俳優として惚れ込んでいるようだ。 このドラマで、「これまでになかったお兄ちゃんらしさを発揮している演技が新鮮」だと話すのは、映像カルチャー誌『ピクトアップ』の編集者・音田博美。「高杉くんの魅力は、なんといっても多面性を感じさせることができるお芝居だと思います。ミステリアスでもあったり、男らしい一面もあったりと、あらゆる表情をつくり出せる。高杉さんの表現ひとつで、観ている人に様々な想像をさせ、キャラクターに深みを与えるようなお芝居をする。昼ドラでは、複雑な母親への想いを、よい意味で率直に表現していますよね。テレビドラマ『ゴーストライター』(15)で見せた印象的な息子役ともまた違う。
世のお母さま方は、“こんな息子がいたら最高”と思っているのではないでしょうか(笑)」。

 ドラマ『表参道高校合唱部!』でオーディションを行なった、高成麻畝子プロデューサーも高杉の演技力を買っているひとりだ。「オーディションでお会いした時は、すごく優しい子という印象でした。彼は母性本能をくすぐられるタイプのイケメン。繊細で内向的、少し影があって、ほっとけなくさせるような印象でした。そんな雰囲気を活かせると思い、今回は難しい役どころである不登校の宮崎祐役を演じてもらうことになりました。物語が進むにつれ、すごく目立つ存在になると思います」。

 最近、男性としての色気も時折垣間見られるようになってきた高杉。今後は、様々な経験を積むことで、人間としての深みを増していくであろう。人として成長したときに魅せる芝居が楽しみな俳優である。(取材・文/小竹亜紀)
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