先月、乃木坂46の人気メンバー・橋本奈々未がグループからの卒業を発表、同時に芸能界からの引退を発表しファンを驚かせた。また“ももち”こと嗣永桃子も、自身が所属するカントリー・ガールズのライブにて、来年6月30日をもってハロー!プロジェクトおよびグループを卒業、事実上の芸能界引退ということになった。
同じくハロプロからはモーニング娘。’16の鈴木香音も今年5月にグループ卒業とともに芸能界引退をした。いずれもアイドルとして旬のうちに引退を発表しているが、この傾向にはどんな背景があるのだろうか。

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 乃木坂46・橋本は、弟の学費など「お金が必要だった」という理由でオーディションを受けて合格。グループの中心メンバーとして活動していたが、弟の学費のめどがついたため引退の決断に至ったをことをグループの冠番組で言及。その理由が多くのメディアで取り上げられ、話題となった。

 またアイドルとして活動しながら大学で教育実習を経験、教員免許を取得した嗣永は引退後、以前から関心があったという幼児教育の勉強をして、いずれその分野の職業に進む予定だ。さらに、モー娘。鈴木も、ぽっちゃり体型を武器にバラエティ番組など活躍の場を広げていたが最中に、福祉の道に進むと宣言し、潔く引退した。

 相次ぐ人気メンバーの“卒業即引退”の背景には、AKB48誕生以降、久しく続く「アイドル戦国時代」にグループを卒業した“元アイドル”が、芸能界で「渋滞中」という現状がある。

 現在、元アイドルで映画・ドラマで活躍していると言えば、AKB48出身のツートップ・前田敦子大島優子ほか、グループ在籍時のキャラクターとは一転、意外な花を咲かせた川栄李奈
また、ハロプロ在籍ながら、グループではなくソロ活動していた真野恵里菜ももクロから卒業をした早見あかりらが筆頭だ。さらに、AKB卒業を控えている島崎遥香も女優への道を進む。 バラエティでは現役アイドルのHKT48・指原莉乃を筆頭に、嗣永、アイドリング!!!出身の菊地亜美が活躍中。不倫騒動で休業をした矢口真里も徐々に元のポジションを取り戻している。ただバラエティ枠を狙うのは元アイドルだけでない。ダレノガレ明美藤田ニコルなどモデル出身タレントがバラエティで活躍の幅を広げており、元々女性お笑い芸人プラスアルファの狭い枠の争奪戦は厳しい。

 一方、元アイドルの新たな進路になっているのが、女子アナ・キャスター枠だ。元モーニング娘。の紺野あさ美はグループ卒業後、学業に専念して、テレビ東京にアナウンサーとして就職し、現在は“元アイドル”を活かした。今年夏、SKE48を卒業した柴田阿弥も、「アイドルとしての活動はやりきった」として、アナウンサー事務所「セント・フォース」に移籍、フリーアナウンサーとしての活動を開始。さらには、アイドリング!!!出身の大川藍橋本楓は、モデル・舞台で活動しながら、お天気キャスターの座についている。

 こうして芸能界には元アイドル出身が多く活動しているため、アイドルでいることよりも、卒業後に芸能界で居場所をみつけるのは非常に困難な状況だ。
アイドルたちは、この状況を冷静に判断し、芸能界にこだわらず、スッパリとアイドルを辞めて新しい道に進む傾向が増えてきていると考えられる。今回、特に多くの現役アイドルからリスペクトされる嗣永の潔い選択は、今後のアイドルグループのメンバーの卒業後の選択に大きな影響を与えそうだ。
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