【写真】あなたは何作観た? 「平成の大ヒット映画」興行収入トップ20
■ 「ジブリ」「ハリポタ」が席巻
平成映画を語る上で欠かせないのが、スタジオジブリの存在だ。1985年の設立以降、『天空の城ラピュタ』(1986)、『となりのトトロ』(1988)、『火垂るの墓』(1988)など名作を生み出したが、平成に入ってもその勢いは止まらず。
その中でも最高のヒットとなったのが、少女が神々の世界に迷い込んでしまう物語、『千と千尋の神隠し』だ。宮崎監督が手がけ2001年に公開された本作は、1年以上のロングラン公開を記録し、興収308億円を記録。ベルリン国際映画祭の金熊賞、米アカデミー賞の長編アニメ映画賞など、名だたる賞を受賞。平成のみならず日本の歴代興行収入1位に君臨し、その記録は今のところ破られる気配がない。
ほかにも、ジブリ映画では木村拓哉が声優を務めたことが話題となった『ハウルの動く城』(2004年公開、興行収入196億円)、『もののけ姫』(1997年公開、興行収入193億円)の2作品が平成映画のベスト10内にランクイン。それ以下も『崖の上のポニョ』(2008年公開、興行収入155億円)、『風立ちぬ』(2013年公開、興行収入120.2億円)が100億円以上を叩き出し、ジブリの存在感は圧倒的だ。
一方、洋画で存在感を示しているのが、『ハリー・ポッター』シリーズ。イギリスの作家 J・K・ローリングによる原作小説も世界的ベストセラーで、シリーズのファンを指す“ポッタリアン”という呼称が生まれた。満を持して公開された映画第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年公開、興行収入203億円)は日本でも記録的大ヒット。
■ 『タイタニック』『アバター』…J・キャメロンによるエポックメイキングな2作
次に注目したいのが、ジェームズ・キャメロン監督の2作。まずは『千と千尋~』に抜かれるまで、日本の興行収入で1位の座を守り続けた『タイタニック』(1997年公開、262億円)。同作は1912年に起きた英国客船タイタニック号沈没事件を元に、貧しい青年ジャックと上流階級の娘ローズの悲恋を描いたラブロマンスで、米アカデミー賞11部門を受賞。日本では、若い女性を中心に大ヒットし、“レオ様”ことレオナルド・ディカプリオは、アイドル的人気を獲得した。
本作ではタイタニック号の一部描写にCGが使用され、船上の人物もCGで再現されたことに、言われるまで気づかなかった観客も多いはず。スティーブン・スピルバーグ監督が『ジュラシック・パーク』(1993年公開、128.5億円)で、絶滅した恐竜をまるで生きているかのようにCGで見事に再現し、観客の度肝を抜いたが、数年後、再び『タイタニック』のCG描写が観客を驚かせることになった。
『タイタニック』から約12年後、キャメロンはデジタル3D映画のエポックメイキング的作品『アバター』(2009年公開、156億円)も世に送り出した。この作品の大ヒット以降、日本でデジタル3Dに注目が集まり、一気に普及。その翌年、月刊誌「日経トレンディ」が選ぶ、「2010ヒット商品ベスト30」で「3D映画」が2位に選出された。■ テレビ局発の映画が続々 象徴的な『踊る大捜査線』シリーズ
アニメ、実写洋画がランキングを席巻する中、実写邦画で孤軍奮闘の状態なのがフジテレビの同名ドラマの映画化『踊る大捜査線』シリーズ。
その5年前に公開された劇場版第1作『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998年公開、101億円)も、平成全体で29位にランクイン。『踊る』シリーズはスピンオフを含めてこれまでに計6作の映画が作られ、テレビ局発、テレビドラマ発の映画が多数作られた平成を象徴するシリーズとなった。
■ “平成最後の大ヒット” 『ボヘミアン・ラプソディ』はどこまで伸びる?
そして平成最後に大ヒットといえるのが、「ウィー・ウィル・ロック・ユー」「伝説のチャンピオン」などの名曲で知られるロックバンド・クイーンの伝記映画、昨年公開の『ボヘミアン・ラプソディ』だ。リアルタイムで彼らの音楽に慣れ親しんだ世代から10代の若者まで、幅広い世代に熱狂的ファンを生み出している。昨年11月9日に公開され、4月12日現在興行収入は128.5億円。配信が開始した今なお劇場公開中で、今後ランキングでどこまで食い込めるかが注目だ。
以上、平成ヒット映画を振り返ってきた。令和はどんな時代になり、そしてどんなヒット作が生まれるのだろうか。(文:安保有希子)