女優の石原さとみが、7月9日にスタートする火曜ドラマ『Heaven?~ご苦楽レストラン~』(TBS系/毎週火曜22時)で1年ぶりに連続ドラマに主演する。『アンナチュラル』『高嶺の花』とオリジナル作品が続いた中、『5→9~私に恋したお坊さん~』以来、約4年ぶりのコミック原作連ドラとなるが、「出来上がりがこんなに分からない作品は初めて」と語る。
そんな石原に本作への思いを聞いた。

【写真】ファッションやメイクにもこだわり、仮名子役を作り上げる石原さとみ

 本作は、1999~2003年に「週刊スピリッツ」(小学館)で連載された佐々木倫子による漫画『Heaven?』が原作。「ロワン・ディシー<この世の果て>」という名のフレンチレストランを舞台に、風変わりなオーナー・黒須仮名子と個性的な従業員たちとの間で繰り広げられるコメディーだ。

 石原が演じるのは、主人公のレストランオーナーで、店を繁盛させる気など毛頭なく「自分が心ゆくままにお酒と食事を楽しみたい」という仮名子役。“精神的にも体力的にも生物としての強さを兼ね備えている”とも称される役柄を演じているせいか、「最近、“切り替え力”が高くなったように思います。仮名子は何が起きても自分にとってプラスにするような力を持っている。そういう力って必要だと思うんです。もともと切り替え力が低いほうではなかったのですが、落ち込みすぎなくなりました。『ま、いっか』みたいな。友達にも『なんか最近すごくすっきりしてない?』って言われるくらい」と語る。

 石原というと、『アンナチュラル』『高嶺の花』でも、“食べる”シーンが印象的であった。今回もレストランが舞台ということもあり、食事シーンが多く出てくるが、「ね、なんででしょう」と笑う。
「仮名子がなぜこのお店をオープンしたかというと、フレンチが大好きで、家の近くですぐに好き放題食べたい! というところから始まっている。食べ物を食べているときだけは幸せそうな子、どんなに怒っていてもおいしいものを食べている瞬間は幸せになる子という点はしっかりしていたいと思っています」と明かす。

 原作の仮名子はガサツな面もある人物として描かれていたが、「今回はとにかく“おいしそうに食べる”というのを第一に、テーブルマナーもちゃんと守っていきます。ちょっとの優しさとユーモア、断言する力強さや生命力を大事にして、勢いは失わずに仮名子という人物を演じていきたいと思っています」。 共演には福士蒼汰志尊淳勝村政信段田安則岸部一徳らが顔をそろえる。「女性が一人という現場は初めて」というが、「ラブストーリーの要素が1ミリも入ってこないので、いい意味で女性らしくいなくて済むというか、人間同士としての付き合いというか。かわいくいなくて済むので楽だったりします(笑)」。さらに「勝村さんの志尊さんいじりや、岸部さんのお芝居につられて皆が笑ったり。笑いがこらえられないという経験をこんなにするとは思わなかったですし、気づけばずっと笑ってずっとしゃべっていますね」と、早くも抜群のチームワークが出来上がっているようだ。

 石原にとってレストランとは「幸せを提供する場」だという。「人の人生を豊かにする場所や時間ってプライスレスというかすごく大事なものだと思うんです。自分のお金や時間、人や心に余裕ができたときに、それをより豊かにするための場所というか、必要不可欠な場所だと思います」と思いを語る。
「エンターテインメントもそう。家に帰ってテレビをつけると、なんか笑えたり、なんかホッとするような。人の命を救えるかは分からないけど、心が豊かになったり、気持ちがちょっとだけ持ち上がったり…。人生や時間を豊かにするための仕事というのは私の中ではかけがえのないものなので、作中のセリフにも出てきますが、必要のない仕事というのはないんだなぁと思います」。

 夏場の撮影はハードで、体調面も心配されるが「楽屋に炊飯器を持ち込んで、玄米や黒米などを炊いて食べています。食に気を配ることで体調面でも精神面でもすごく変わりました。撮影しているのに健康になれる。幸せです(笑)」と問題ない様子。「とにかく明るくて平和で、嫌な人が一人も出てこない。ドラマを見ている間は嫌なことを忘れられる、そんな作品を、大人たちが真剣にやっている。そういうドラマを先輩たちと作り上げていくことができるのは本当に楽しいですね」と充実した表情を見せた。(取材・文:編集部 写真:ナカムラヨシノーブ)

 火曜ドラマ『Heaven?~ご苦楽レストラン』は、TBS系にて7月9日より毎週火曜22時放送(初回10分拡大)。
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