「奇奇怪怪」のTaiTan(Dos Monos)と玉置周啓(MONO NO AWARE)がお送りする番組。

今週のゲストは武田砂鉄さん

Taitan:前回は

玉置:うん

Taitan:通常放送ということで、喋りましたけれども。またしても今日はゲスト回です。

玉置:早くも

Taitan:なんか多いね、最近ね。ゲストに頼ることになってしまったのかなみたいな。

玉置:いや、もうありがたいことですよ

Taitan:ありがたいことでございますけれども。今日はね、武田砂鉄さんが来てくれるということで。『テレビ磁石』というね、新しい本を出しまして。

玉置:うん。

Taitan:これねまたちょっとね、前もって送ってもらったんですけど。

玉置:はい。

Taitan:本の目次を見るだけですごいんだよ。

玉置:どういうことですか。

Taitan:とうとう砂鉄さん、滝沢ガレソとかまでいってるからね。もう今までは和田アキ子とかね、そういう太文字の方だった印象もありますけれども。

玉置:なるほど、はいはい

Taitan:結構最新のところまできたっていう、そんな砂鉄さんがゲストに来てくれますけれども。僕らがここでベラベラ喋っててもしょうがないんで、またちょっとゴーヤの話も含めていろいろ聞いていこうかなと。そん脳盗でございますね。

♪前TM

砂鉄さん妻は脳盗・奇奇怪怪リスナーだった!?

Taitan:ラッパーのTaitanです。

玉置:MONO NO AWAREの玉置周啓です。

Taitan:ということで今日は番組2回目のゲストですね。ライターの武田砂鉄さんにお越しいただいております。

砂鉄:はい、よろしくお願いします。

Taitan:砂鉄さん、よろしくお願いします。武田砂鉄さんは、TBSラジオでは毎週金曜日22時から放送の「武田砂鉄のプレ金ナイト」

砂鉄:よし!

Taitan:よし!でおなじみの砂鉄さんでございますけれども。そしてTBSラジオでは今引っ張りだこ。代打やりすぎなんじゃないかと。

砂鉄:あー、確かにいろいろやりましたね。

まあいろんな人から電話が来るんで。それで電話に出て「何曜日出てくれ」「はい、わかりました」って。

Taitan:そんな軽いノリで来るんですか

砂鉄:軽いノリで来ますよ

Taitan:あれって本当に代打なんですか

砂鉄:本当に代打ですよ。いろんな体調が悪いとか、夏休みだとか・・・

Taitan:なるほど。「こねくと」「スタンバイ」「アト6」「選挙特番」「セッション」など、代打が立て続いているという砂鉄さんでございますけれども。

砂鉄:でも僕が日頃やってるライターの仕事っていうのも、なんか締め切りから考えてみたら「誰かに断られてきたんだろうな」っていうのが、何となくスケジュール感でわかるってことありますからね。

Taitan:前回そういう話もしましたね

砂鉄:しましたか。だからそれと同じようなものっていうか。多分電話してくる側はおそらく困ってるんだろうなと。だったらそれに応えてやってみるっていうのはいいんじゃないかなという。

Taitan:うん。

砂鉄:しかも長年続いてるラジオ番組って、なんか型みたいのがあって。

何となくそこの型みたいのを自分で発見しながら、そこに無理やりはまっていくみたいな。それはハマったり、ハマらなかったりっていうのが割と面白いかなと思ってます。

Taitan:え、ハマらないなって思うことあるんですか。

砂鉄:そうですね。「なじもうとしてきました」みたいな面構えが出すぎると、それがまた露骨だったりするじゃないですか。だから「よく聞いてますよ、憧れのこの番組で!」みたいな、ちょっと何か空間みたいのがあいたりすると「これは違う」っていう風にばれちゃったりもするんでね。そのあたりが毎回やってみないとわかんないってのが結構面白いところですね。

Taitan:なるほど、代打稼業をやってきた人にしか言えない。

砂鉄:でも、それは皆さんもミュージシャンをやられてて、フェスのここのブッキングって前に誰かいたんじゃないかなっていう感じってのありますか?

Taitan:コロナのときはよくありましたね。山梨県でやってる、フェスでございますみたいな感じで。なんなら、1回中止になったフェスで。「本当にこの度はすいません、必ず来年お呼びしますので」みたいなメールをいただいて。

そしたら、その翌年のフェスにブッキングされなくて。残念だなと思っていたところに、そのフェスの来日アーティストみたいな人が急きょ来られなくなっちゃって。「Dos Monosさん代わりに出てくれませんか」みたいなこととかはありましたね。

砂鉄:なんか多分エクセルにまとめられて

Taitan:そうなんですそうなんです。

砂鉄:ここが駄目だったら、下のやつにいこうという

Taitan:呼ばなかったくせに、急遽のタイミングが助っ人で。そんなことばっかりでございますけれども。すいません砂鉄さんが、およそ半年ぶりに脳盗に来てくれたわけですけども。

砂鉄:あの後ですね、お2人のラジオ・ポッドキャストを僕はもう前から聞いてたんですけど。僕の妻がですね、お2人のラジオ・ポッドキャストにかなりハマっておりまして。

Taitan:お、嬉しい!

砂鉄:最近の妻の口癖は「何なんだよマジで!」っていう。

玉置:俺じゃん「何なんだよマジで!」

砂鉄:口癖になってますよね「なんだよマジで!」っていう。それを別に僕ら2人は喧嘩しないんですけど。

どうでもいいところで、例えば何か入浴剤が切れたときとかそういうときに「何なんだよマジで!」っていうふうに使ってます。

Taitan:いや、嬉しいんですよ。めちゃくちゃ嬉しくて。周啓くんは俺のじゃんって言ったけれども、僕もよく使うんですよね。

砂鉄:え、そうなんですか

Taitan:僕って本当に「何なんだよマジで」っていっつも思って生きてるので、なんかもうちょっとこういう感情広まって欲しいなって思ってた矢先に。まさかの砂鉄さんのパートナーさんが。え、嬉しい。

玉置:あんまり入浴剤に広がって嬉しいことないけどね

砂鉄:でも、そういうやっぱ日常的なところに利用できるのが良いですよね。しまいには麻布十番のモンタボー買ってきましたからね。

Taitan:おお!もう今日まさに、扉の奥にいるディレクターもモンタボーを買ったらしくて。ちょっとこれ私、インフルエンサーとして育ってきたんじゃないかって。

砂鉄:いやでも奇奇怪怪だと思いますけど、聞いてて本当にすごいなと思ったのは。

モンタボーのパンが美味しい、食べたらどうなるかって言ったときに、お2人のどちらかが「石原さとみが何かモノを食ったときの、笑顔みたいな。多幸感あふれる顔みたいになるぞ」っていうふうにおっしゃってたんですよね。

Taitan:言ったかもしれないです

砂鉄:それすごいことだなと思って。だって石原さとみがその顔するのって牛丼チェーンのCMじゃない。

Taitan:そうそうそう

砂鉄:それをあのパンに合わせるっていうことの凄みと、その石原さとみが何か物を食べたときのフワっていう感じっていうのは、おそらく皆さん牛丼屋に行ってなかったとしてもどこか頭に入ってるっていう。この絶妙さはすごいなと思って。それでモンタボー食べましたよ。

Taitan:ええ、ミルクパン

砂鉄:それをちゃんと意識して、2人で石原さとみ面して食べましたけどね。

玉置:モンターボも本望だよな

新刊『テレビ磁石』の話。砂鉄さんが臆せず何でも書ける理由とは・・・

Taitan:本当ですか、いやまさかの聞いててくれてるなんて。いやでも砂鉄さんから石原さとみの話が出ましたけれども、そういう芸能人にまつわる話をね。テレビの話をね、テレビの観察日記である『テレビ磁石』という本を砂鉄さんが出したんですよ。

砂鉄:そうですね、割と最近出ましたね。ありがとうございます。

Taitan:いやー、嫌なことばっかり書いてありましたけれども・・・

砂鉄:なぜ嫌なことばっかり書いてあるかと言ったら、そりゃそういうことばっかり起きてるからなんですよ。嫌なことばっかりを真正面から見てるっていうだけの話であって、そんなに別に何かこねくり回したっていうことではないつもりではあるんですけどね。

Taitan:いやでも何を隠そう、僕は大学生の頃から砂鉄さんの「芸能人寛容論」とか「コンプレックス文化論」とかあの時代ですよね、cakesの時代から読んでたので。なんかちょっと続編感があって

砂鉄:確かに、あの頃と同じ仕事をしてるっていう感じなんですけど。でもやっぱりテレビっていうものが持つ力っていうのが、割と業界的にね語られるときに、「もうテレビなんて」っていう感じの言われ方が多いんですけど。でもそうは言ってもめちゃくちゃみんなテレビを見ていて、割とこの世の中の流れみたいのもまだまだ作っているし、そこから派生しているいろんなメディアっていうのも、実は辿ってみるとやっぱりテレビから出てたり、テレビから出てきた人がそういったところに出ていたりっていうこともあるので。テレビ的なものっていうのは、まだまだ分析しがいがあるんじゃないかなということはずっと思ってんですけどね。

Taitan:いやー、面白いですよね。なんかもう、よくそんな時間があるなっていうのが一つ。あと、cakesとかの時代から比べても砂鉄さんは今やカルチャーヒーローじゃないですか。

砂鉄:いや、そんなことないですよ

Taitan:TBSラジオのもう次期のポジションに行ってるじゃないですか確実に

砂鉄:いやいや、そんなの休みの日を埋めてるだけですけどね。

Taitan:それはそれで失礼っていう・・・。砂鉄さんも、要はランクが上がっちゃうと言いづらいことも本来だったら出てくるはずだろうに。なんかどこ吹く風というか。

砂鉄:そうですね、別にその人が目の前に現れたとしても「僕はこういう風に思ってますんで」って言えることしか書いてないつもりではあるんで。

Taitan:なるほど、これ取り上げる人ってどういう基準なんですか。

砂鉄:いや、僕よく皆さんにこういう本出すと「テレビよく見てますね」っていうふうに言われるんですけど。皆さん多分テレビ見るときに「見たい番組」を見るでしょう。

Taitan:うん。

砂鉄:でも僕は「見たくない番組」を見るようにしてるんですよね。

Taitan:「THE TIME」なんか毎日見てるって書いてありますもんね

砂鉄:まあその流れでいくとすごく「THE TIME」が見たくない番組のようになっちゃうんですけど。

Taitan:いや、でもそうじゃないですか

砂鉄:僕は朝のワイドショー「THE TIME」とか「めざましテレビ」とかザッピングするんですけど、2時間ぐらいの間にアナウンサーが同じニュースを3回ぐらいやるんですよね。
その3回目に1回目であるかのような顔をして放送するのってどういう気持ちなんだろうなっていうのを毎回「THE TIME」と「めざましテレビ」で見てはいますけどね。

Taitan:やっぱりテレビよく見てますよね。

砂鉄:それ面白くないですか。だって大谷のホームランをみんな3回目なのに1回ヅラしろって言われたら、僕らなかなかできないですよね。それできるのがやっぱりああいう仕事なんだなって。

Taitan:しかも今の3回目なのに1回ズラとかっていうのは割と指摘しやすいポイントだと思うんですけど。この本の中で「フジテレビのアナウンサーのどアップ論」みたいな。

砂鉄:ああ、ニュースの夜の番組のね

Taitan:そういうのまでチェックしていて、いちいち角度が何か傷つくみたいなところを突いてくるのがやっぱ上手ですよね。

砂鉄:フジテレビの夜のニュース番組のプロデューサーのインタビュー記事読んだら「ポジティブなニュースを伝えたいです」と。「日本を少しでも明るくするようなニュースにしたいです」っていう。でもそれって何かジャーナリズムみたいなものを結構丸ごと放り捨ててないかっていう風に思うんですけど。
TBSも一時期「ポジティブジャーナリズム」っていう風に、ラジオじゃなくてテレビが言ってたことがあって。「ポジティブジャーナリズム」って、その言葉を二つ合わせたときに、何でこれが合わさるって、合わせてしまっていいだろうって思ったのかなって。そういうなんか「前向きに」みたいなものって今やたらと流行ってますけど、それの範囲が拡張してる感じにはね、ちょっと違和感を覚えてますけどね。

Taitan:なるほど。砂鉄さんって色々絡む人も増えてるじゃないですか。ラジオでゲストがたくさん来るし、砂鉄さんに帯の依頼とかも、多分僕の観測する限り、月に25本くらいやってる計算なんですけど。

砂鉄:何をおっしゃる

Taitan:何をしても「砂鉄売れ」ばっかりみたいな。そうなってくると、本当にいろんな人と関係値ができちゃうじゃないすか。もし関係値がある人に「疑わしき言動」が見られた場合って、砂鉄さんは書くんですか。

砂鉄:いや、こういうとこでやっぱりかっこよく「書きます」とかって言うんでしょうけど。でもやっぱどこかでそこが至らないところってのも増えてくるのかもしれないんで。それが増えてきたら今回のような本というのはね、やっぱり書いちゃいけないんじゃないかなと思いますけどね。

Taitan:おー、すごいな。要は文春の前の編集長だったら「親しき仲にもスクープあり」みたいなことを強く言ってたりもしましたけど。砂鉄さんはもう書けなくなったら、書けなくなったっていうフェーズが来てもおかしくないってことですか?

砂鉄:そうだと思いますけどね。まあ別に今のところ例えば出版業界にいますけど、この中で林真理子さんのことを書いたりとか、これまでだったら伊集院静さんのこととかも書いたりしてるし。それって業界内的には「そこは触らない方がいいよ」っていうところも割とベターっと触ってみたりっていうことをしてて、今のところ特に無事に過ごせてはいるんで。意外と思ったこと、書いたことがある一定の正当性というのか、頷けるような内容であれば、その相手が誰だろうかっていうのは関係ないんじゃないですかね。

Taitan:だから有吉さんとかについてちゃんと書いてて「すごいとこいくな」みたいな。

砂鉄:あー、どうでしょう。有吉さんが去年紅白をやられたときに、紅白って型がめちゃくちゃあるじゃないすか。有吉さんってどちらかというとその型には入らないぞっていうのが、割と初期設定というか、動きみたいなところがあるから。それがどう合わさんのかなっていう風に思ってたみたいなことを確か書いたと思うんすけどね。

Taitan:いやそうなんですよ、有吉さんの項目については「果たしてどうなるか」みたいなまとめ方をしたんですけど。油断しちゃいけないのが砂鉄さんで。その後の項目で、有吉さんの例示が出てきて。「紅白のときの有吉さんは、緊張しているのではなく、緊張している自分を保とうとしていた」みたいな。

砂鉄:なんかちょっと、ぽいこと書いてますね

Taitan:油断しちゃいけないんすよ。だから結構この本もくまなく読むと、意外と本音が出てるっていう

砂鉄:確かにそうかもしれない。多分紅白を見てて、「慣れないようにしよう」ってされてるのかなって、そういう風に感じたってことですよね。

Taitan:それ書けるのがすごいっすよね。

砂鉄:そういうことの集積がこの本になっておりますね。

Taitan:確かにそんな気もしますね。いやでも本当に砂鉄さんこんだけ芸能界をウォッチしてたら、芸能界と言われるものの見取り図が取れてくるわけじゃないですか。例えばあのちゃんの項目とかで、今天然キャラは不在でどうみたいな、そういう系譜とかをまとめたりしてるじゃないですか。そしたら次にこの人は波に乗りそうだなみたいな、そういうことも予測できるようになってくるんですか。

砂鉄:いやでも、そこは僕やっぱ井上公造じゃないんで、それはやらないようにしてるっていうか。別にその業界の動向には全く興味ないっていうところはあるんで。僕はこの本の中でも名前を何度も出しましたけど、ナンシー関さんがものすごく好きで。ナンシーさんの本をずっと読み続けてきた。この芸能人について書くとか、テレビについて書くっていう型自体はもうあの方が発明したようなものなんで。尊敬というか、その型をもう一度やらせてもらってるっていうところはあるんですけど。ナンシーさんは僕らのような人間とは違って「徹底的にテレビの前にいた人」っていうか、テレビに何が映ってるかっていうのを描写した人なんで。「これから誰が来る、誰が来ない」みたいな話ってのは割と中の話じゃないですか。そういう方には自分も全く興味はないし、書こうとも思わないですよね。だってその業界内で誰が流行るかって多分業界の人が一番知ってるわけだから。業界を覗いて書いたとしても、その業界の人からすればこいつはそうだけど、云々かんぬんという風になっちゃいますからね。

Taitan:なるほど。そういう人って寄ってこないんですか。例えば、砂鉄さんがこういう風に芸能人のこと書くじゃないですか。だとしたら、当然書いて欲しくないと思う人もいるわけですよ。そうなった時に、例えば「敵意は自分の最も近くに置いておけ」みたいな論理で、砂鉄さんを囲い込もうとするプロダクションとか、別にタレント本人でもいいですけど、そういう人って出てこないんですか。砂鉄さんに言われないようにするために距離を詰めてこようとする人というか。

砂鉄:うーん、何かそういう業界の人はほとんど会ったことないすかね。そもそも芸能界の人にね。別にこのラジオだってTBSに金曜夜来て、終わったらすぐ帰るだけなんで。別に誰と打ち合わせするってことでもないですからね。

Taitan:なるほど、やっぱりラジオっていうのがでかいんだろうな。

砂鉄:それは大きいと思いますよ。

Taitan:芸能ではないっていう感じがやっぱり。

砂鉄:それは僕はこないだ宮藤官九郎さんがゲストに来てくれたときも言ったんですけど、とにかくTBSラジオの直結のエレベーターを作ってほしいと。もうあれ全部テレビも一緒じゃないすか。なんか中にテレビ局の人もいると、ちょっとラジオ肩身狭いみたいなうんところがあるから。一つはやっぱり1階と9階だけを往復する。そうすれば本当に純ラジオの仕事だけで。なんかあのテレビ局が混ざってる感じがですね、ちょっと「いけすかないな」って。

Taitan:いけすかないっていうか、こっちが緊張しちゃいますからね。時々おそらくテレビの収録で使うであろう大量の弁当を荷台に乗せてエレベーターに乗ってくる人がいますよね。

砂鉄:エレベーターの中に「私語は慎め」って書いてあんのに、あいつら私語するんですよ。

玉置:「あいつら」って言っちゃった

周啓くんのゴーヤ観察日記と安倍元総理の便乗動画

Taitan:じゃあもうTBSの赤坂から降りて、ゴーヤを見ながら。スタジオ来て即帰ると。

砂鉄:お、出た!ゴーヤ今年は伸びましたね。

Taitan:いやもう砂鉄さんに前回言われてから、ちょっと気になっちゃいますね。

砂鉄:気になっちゃいますよね。今回はまんべんなく伸びた感じがして、特にどこが強いどこが弱いっていうわけじゃなくて。

玉置:いい伸びでしたよね、もう今はすっかり屋根の上まで伸びきって。スポーツ局のとこに二つなってましたよ、実が。

砂鉄:あー、あいつらなったかスポーツ局は。

玉置:その局の人がもぎって食べるのかなとか、余計なことを考えてしまって

砂鉄:多分やるんじゃないですか、そういうSDGsキャンペーンとか

Taitan:いや、言い方が何かちょっと。ポーズにもほどがあるんですよ。TBSよくやってるけど、SDGs何とかみたいなの。「ゴーヤもぎって食べてます」っていうのをアピールに使ってんのか。でも周啓くんはね、ゴーヤを見守ってるからね。

玉置:そうっすね。今日もそれ1本で・・・

砂鉄:ここに臨んできたという

玉置:すいません

Taitan:ようやく自分のターンが来たと。

砂鉄:まあでもこの間はね、場合によっては栄養剤入れようっていう話をしてましたよね。

Taitan:でも周啓くんはどうなの、この本読んでみて。

玉置:立ち位置の確保が毎度見事だなみたいな。これ、すごいっすよね。なんか前にお話したときも思ったんすけど「中立にできるだけあろうとすることによる緊張感」をお話したときにすごく感じたんすけど。寸分の狂いもないというか、ある意味で「人間味も感じない」という感じもありましたよね。

Taitan:なるほどね、ある対象に対して全て適切な距離を保っているというか。

玉置:でも人間味を感じないとは言いつつ、もちろんその文章の中で守ろうとしているものというか、大切にしていることもちゃんと伝わってきてて。それは自分と重なるところも多いので。重なるっていうのは同意見だっていうんじゃないすけど、どっちかって言ったらこういうニュアンスで生きていきたいとか、こういうニュアンスで物事を
考えたいみたいなことってあるじゃないすか。普通に政治家の汚職が良くないみたいなことから、女性の置かれてる立場に対する感覚とかも、何か適切な距離をとりながら、一番適切な方法で守ろうとしているというような感じがして。そこがこの本の本懐というか、テレビを見るという行為を通してそこを守ろうとしているような感じが素晴らしいなと思いました。

砂鉄:ごちそうさまでした。

玉置:すいませんね、こんな稚拙な感想で申し訳ないすけど。でもなんか1個なんかちょっと気になったのは。唯一「これ適切じゃないのかも」って思ったページがあって・・・

Taitan:おお、付箋が貼られている。

玉置:読みましたよ、ちゃんと。

Taitan:付箋と言えば石丸伸二ですけども

玉置:あ、これっすね。星野源の「うちで踊ろう」の動画に安倍さんが便乗したっていう

砂鉄:便乗動画ね、跳ねましたね。コロナに入りたての頃ね。

玉置:「便乗動画」っていうタイトルもまたおもろいんですけど。要は、「みんなが大変な時期に励ます目的で出された星野源の動画である」っていう前提があって。そこにいろんなミュージシャンが参加したり、ミュージシャンじゃなくても参加することで、その優しさの輪を広げるみたいなニュアンスが強い動画だったにも関わらず、そこに安倍さんも参加して、お茶飲んだり犬を抱えてるような動画を出して。
なんかそこまでは確かにと思いつつ、ある段落の末尾に「安倍さんの休日、とてもつまらなそう」って追記してあって。

砂鉄:はいはいはい

玉置:ここだけ、憎しみというかですね。結構踏み込んだ偏見かもなって思って。僕は別に安倍さんを擁護してみたいな感じじゃないんですけど、何となくここに対しても敏感なんすよ。なんか「アベガー」みたいないわゆる世の中で言われてるのにもなりたくなければ、かといって擁護しすぎるあのノリもきついなと思ってる身としては、やっぱ砂鉄さんみたいなスタンスはいつも参考になるっていうか。どういう感じで向き合うんだろうっていうのを気にしてるところだったんで、これはどういうバックグラウンドあったのかなと思って。

砂鉄:確かに、それは鋭い指摘ですよね。この安倍さんの便乗動画のときに、安倍さんがリモコンで2回変えてるんですよ。そのチャンネルをね、ザッピングしてるんですよ。普通こういう映像載せるんだとしたら、リモコンを片手に何かを堪能してるっていう映像を見せると僕は思うんですけど、チャンネルが定まってないんですよ。それにどういう意味があったんだろうかっていうすごく考えて。何かそうすると、自分の本来打ち出し方としたら、犬を抱いて、テレビ見て、みたいなことを明確にすればいいんですけど。犬を抱いて、ザッピングしてっていうのは・・・

Taitan:そこまで真剣に読み解こうとは思わなかったけど。

玉置:これを読んで初めて知ったんだよね、ザッピングしてたんですね。

砂鉄:あと、この時にいろんなミュージシャンの人が動画に合わせて歌ってみたり踊ってみたり。つまり星野さんの動画の方に対応するような所作があったわけですけど、安倍さんは本当に何もなかったですよね。

玉置:確かにそうですね

砂鉄:別に手拍子でもカスタネットでも何でもいいですけど、何か対応する、呼応することってできたと思うんですけど。それをしないっていうのは、それこそ「つまらない」っていうことに、言葉として変換しちゃったのかなあ・・・。なんかそれぐらいなんでやらないんだろうかっていう。

Taitan:なるほど、確かにあのとき結構驚いたのを覚えてますね。そうですよね本当に、BGMみたいに使うっていう。確かにあれって星野さんの意図としては「セッションしようよ」ですもんね。

砂鉄:その「セッションしようよ」の題材与えました、ご自由にどうぞ、何やってもいいですよっていうことだったわけですよね。

Taitan:それが動きがあったとすれば、犬を撫でて、ザッピングを2度したという。

砂鉄:ザッピングするとこって、そんな人に撮られないっていうかさ。公開しないですよね。

Taitan:なんか何となくのイメージの中での休日のソファーでの過ごし方みたいな、おそらくあれテレビも映ってないですよ何も

玉置:おい!知らないけど

Taitan:まあ色んな解釈が広がるね、それでいいね周啓くん。この長い本を読んでの質問がそれでいいのね

砂鉄:いやでも確かにすごく鋭い指摘だと思いましたよ。「つまらなさそう」っていうのはすごい私事の、私の気持ちですからね。

玉置:すごい砂鉄さんって中立的な立場のかなりのギリギリのところでやっていて、選挙特番とかでも現状の政党をかなり突き詰めていくというか、とにかく欺瞞と呼ばれるものを全て突き詰めていくみたいなキャラクターもある意味に担わされているような状況で。なんかギリギリな身の振り方をしている中で、これはもしかして漏れ出たのかなと思って。

砂鉄:でもあの頃はやっぱ漏れ漏れだったと思いますよ。それこそフリーランスの働き方にしてもね、全く配慮がなかったし。いきなり学校の休校を決めて、この人はこういういわゆる一般的な生活っていうものが見えてないんじゃないかなっていうような怒りはちょうど感じてた頃だったんで。もうあえて漏れ漏れで良かったんじゃないかなという部分もありますし。別の項目でも書きましたけど、やっぱあの布マスクを配って、誰も使わないマスクを、相当な金使って配るみたいな選択ってのもどうだったんだろうかっていうのも、やっぱそれは未だに漏れ漏れで、やや怒りはありますよ。

Taitan:なるほど。というわけで芸能人の話から、安倍さんの話に至ったところで。本当は今日、石丸さんとの話とかも聞こうと思ったんですけど。

砂鉄:いくらでも聞いてくださいよ

Taitan:ゴーヤの話しをしてたら時間がいっぱいになったということで。次週に持ち越しです。来週も砂鉄さんが来てくれるということで、政治の話とかもしたいなと思います。

(TBSラジオ『脳盗』より抜粋)

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