お笑い芸人の劇団ひとりが演出を務め、俳優の間宮祥太朗渡辺大知が高校生漫才コンビに扮するドラマ『べしゃり暮らし』。劇中では台本があるものの、生々しい“アドリブ漫才”を披露している間宮と渡辺が「性分が似ている」と口をそろえた互いの印象や、演出を務める劇団ひとりへの信頼感を語った。


【写真】学ラン姿がカッコいい! 間宮祥太朗&渡辺大知インタビューカット

 青春マンガの巨匠・森田まさのりが描いた『べしゃり暮らし』をドラマ化した本作。間宮は、学校一笑いに貪欲な“学園の爆笑王”上妻圭右(あがつま・けいすけ)、渡辺は、高校生ながら元プロの芸人だったという実績を持つ転校生の辻本潤(つじもと・じゅん)を演じる。

 同じクラスになったことから“きそばAT(オートマティック)”という漫才コンビを組み、お笑いの世界に身を投じていく2人。間宮は漫才師という役柄に「自信と不安が入り混じったような感覚だった」とオファーを受けたときの率直な感想を述べるが、不安を取り除いてくれる一番大きな要因となったのが、演出を劇団ひとりが務めることだという。「お笑いの話を、お笑いを分かっている人が演出してくれるというのが、演じるうえでも、見ている人にも一番信ぴょう性があると思うんです」。
 
 間宮の意見に、渡辺も大きくうなずくと「やっぱり漫才を行うときの、空気感が大事だと思うんです。ひとりさんはそういった空気が染みついている人だと思うので、そんな方が見てアドバイスしていただけるのは、絶対的な安心感がありました」と撮影を振り返る。

 現場での劇団ひとりは「ものすごく臨機応変でした」と間宮は証言する。勢いで突っ走るところはライブ感を大切にし、難易度が高そうなところは何度も話し合いを重ねて撮影に臨む。「その緩急がすごく心地よくて、ひとりさんのバランス感覚のすごさを実感しました」と間宮は舌を巻いていた。 また、劇団ひとりが俳優としての経験があることも、大きかったと渡辺は付け加える。「画の部分だけではなく、セリフの細かいところまで相談できたのはうれしかった。
台本を読んで『こういう言い回しはしないかな』という部分は、ひとりさんから声をかけてくださいました」。

 劇団ひとりの演出に大きく助けられたという間宮と渡辺だが、劇中で見せる漫才シーンは、2人のコンビネーションが最も重要だ。渡辺は「第1話の最初の漫才シーンを撮ったとき、すぐに間宮くんのボケが楽しみになった。“アドリブ漫才”というなか、どんどんボケを繰り出していく姿を見て、純粋にワクワクしたんです。これで『イケる』と確信しました」と撮影の最初から「楽しめている」と実感できたという。
 
 こうした渡辺の感覚を間宮も感じ取っていたようで「大知くんとは、最初にちょっと話したときに、性分というか人間としての性質が合うなと思いました。お互いがお互いを面白がれたんです」と語る。漫才シーンについても、2人で話し合って繰り返し練習するのではなく、その場のライブ感を大切にした。間宮は「前日にボケを考えて、大知くんに伝えて、それに対してリアクションをしてもらうみたいなやり方は面白くないと思ったんです。その場で好きなことを言って、大知くんがツッコむ方が絶対楽しくなるはずだ」と確信した。

 「どちらかがライブ感を楽しめない人だったらできなかったこと」と間宮、渡辺が口をそろえて語る。互いの“性分”が共鳴し合ったからこそ生み出された漫才コンビに、劇団ひとりの演出が絡み合って生まれた“きそばAT”の漫才に注目だ。
(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)

 ドラマ『べしゃり暮らし』はテレビ朝日系にて毎週土曜23時15分放送。
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