【写真】第8話では、宅配業者・高井希美に扮したファーストサマーウイカ
コナリミサトによる同名の人気漫画を原作とし、仕事も恋もすべて捨てた28歳のOL・凪(黒木)が人生のリセットを試みる姿を描く本作。凪、凪の元カレ・慎二(高橋一生)、凪の隣人・ゴン(中村倫也)の恋模様や俳優陣の演技が話題を集めているが、その中でウイカは毎話違うキャラクターで登場し、強烈なインパクトを残している。
オファーを聞いた時を「信じられませんでした。ほんまに? って」と振り返るウイカ。「初めての連ドラレギュラー出演に対する喜びもあったのですが、不安も大きかったです。毎回違うキャラクターを演じるというのは、すでにご活躍されてる方がやられたら視聴者の皆さんも楽しめると思うのですが、私のような無名の人間がやって面白いと思ってもらえるのか」と不安があったそう。だが撮影が始まると「メイクさんやスタイリストさんがこだわりを持っていろいろ変えてくださって、すぐに毎回楽しみに撮影できるようになりました」と語る。
演じるキャラクターは毎回一瞬の登場ではあるが、実はそれぞれちゃんと名前があり、年齢や性格、背景などが存在する。それらは番組公式サイトにて『黒い十人のウイカ』として紹介されているが、実はすべてウイカ発信のものだという。「撮影の空き時間にプロデューサーさんや監督さんとお話している時に、『今回はどんな設定なの?』と聞かれ、『今回のギャルはめっちゃ内股で、益若つばささんに憧れていて~』と私が勝手に考えたものをお話していたら『面白いね!』と採用していただいて(笑)。原作のコナリミサトさん的に大丈夫かなと心配なんですけど」。
これまで演じてきた8人の中で印象的な役柄は「第1話に登場した、ヤオアニの店員・ともみですかね。名前は私が勝手に命名したんですが、この人物は原作でもしっかり登場しているんです。原作と顔が似ているな~とも思いましたし、凪ちゃんが初めて思ってることを口に出すという大事なシーンでの登場人物ですし」と明かす。 主人公・凪については「自分の気持ちが言えず空気を読むということが、理解できないわけではないですけど、私は真反対、真逆な性格」ときっぱり。もし周りにいたら「イライラはしないですけど、凪ちゃんが言おうとしたことまで察して、『凪ちゃんこう思ってるんじゃない?』と口に出しちゃうかもしれません」。
自身は慎二に共感するというウイカ。「慎二は、空気読めなくて自分の意見を言えないけど強さがあって優しさも持ち合わせている人間に対して、たぶん憧れがあると思う。なんでも読めちゃうし言えちゃう、自分の居方はこうだって分かっている人間からすると、凪ちゃんみたいな存在がうらやましいし、こうなりたかったっていう気持ちはすごく分かるんです」。
ウイカ自身は、慎二派かゴン派か聞くと「いや、それは厳しい! 究極の選択ですね」と悩む。「自分が慎二に似ているだけに、自由奔放で人たらしでもそこに悪気はない、そんなゴンのような人間に惹(ひ)かれてしまうフシはありますよね。慎二も表現がちょっと不器用なだけだし…」と珍しく歯切れが悪い。「バブルのママ(武田真治)派という女子も増えてきてますしね…。
そんなウイカだが、ガールズユニット「BILLIE IDLE(R)」の音楽活動と並行して、バラエティ、ドラマと多方面で活躍中だ。なんという肩書きで紹介すべきか尋ねたところ「なんでもいいんです。肩書きにプライドはなくて」と話す。“ファーストサマーウイカというジャンル”との提案には「それは恥ずかしい! 自分で言っちゃいけないやつです!」と一蹴。「舞台、アイドル、バラエティといろんな世界に入口があるのが自分の強味。Mr.シャチホコさんが和田アキ子さんのものまねをされる時にいう『で、きみはなにをされてる方なん?』みたいな感じが、自分の後ろについていたらすごく楽しいし、居心地がいいです(笑)」と語る。
「自分にとって一つ目の大きな転機は上京を決めた時で、それに次ぐ転機が今年。なんの手立てもない中で上京して、10年の芸能生活の中で、名前通り令和最初の夏、ファーストサマーに、フィールドが変わった感じがしています。死ぬときに、ファーストサマーウイカってなんだったんだ? って思ってもらえるよう、これからも多方面で頑張りたいと思います」。(取材・文:編集部 写真:ナカムラヨシノーブ)
金曜ドラマ『凪のお暇』は、TBS系にて毎週金曜22時放送。