NHK連続テレビ小説『エール』(NHK総合/月曜~土曜8時ほか)にて、主人公・裕一(窪田正孝)の幼なじみで、正義感あふれる鉄男を好演している中村蒼。コロナ禍による約2ヵ月半の撮影休止期間を乗り越え、先日クランクアップした本作。
【写真】中村蒼が演じる鉄男 『エール』第108回より
■ “もう縁がないのかな” 諦めかけていた朝ドラ出演
数々の名曲を生み出した実在の作曲家・古関裕而をモデルに、音楽で人々を励まし、心を照らした夫婦の波乱万丈の人生を描く本作。中村が演じる鉄男は、子ども時代に裕一と出会い、のちに作詞家となって、裕一、久志(山崎)と共に“福島三羽ガラス”と呼ばれ人気を博す人物だ。
朝ドラ出演が念願だったという中村。「これまでも何度かオーディションを受けていましたが、年齢を重ねるにつれて“もう縁がないのかな”と思っていました」と諦めかけていたことを明かし、「でも“やっぱり出たい”という気持ちがあって。そんな中で鉄男役をいただけて、本当にうれしかった」と述懐。周囲の反響は大きいようで「役名で声をかけていただくこともあります。僕の両親は普段、あまり仕事に関してなにか言ってくることはないのですが、今回は“楽しみにしている”と言ってくれたり。そういった反応を肌で感じて、改めて“朝ドラに出られてよかったな”と感じました」と穏やかな笑顔を見せる。
クランクインは2019年10月。
■ 窪田正孝&山崎育三郎との共演は「かなりプレッシャー」
“福島三羽ガラス”として裕一、久志と支え合い、共に成長していく鉄男。中村自身も、窪田と山崎からたくさんの刺激を受けたという。
窪田については座長としての才能にほれ込んだという中村。「周りを引き立てつつ、受け止めるお芝居もされていて、朝ドラで主演を張る方って、こういう方なんだなと思いました。普段の窪田さんは、いつもニコニコしていて。スタッフさんともコミュニケーションをたくさんとって、カメラが回った瞬間に裕一になる」とその切り替えの早さを絶賛。
一方、山崎については「育さん(山崎)は、歌の才能も素晴らしい。
そのほかにも、本作からは多くの刺激を受けたという中村。その一つが、鉄男が藤堂先生(森山直太朗)からもらった、忘れられない言葉だという。
「藤堂先生のセリフで、“誰か1人に向けて書かれた曲って、不思議と多くの人の心に刺さるもんだよな”という言葉があって。それは役者としても“本当にそうだな”と思いました。“自分をよく見せよう”などではなく、“誰かに届け”という思いで演じれば、思った以上の人に伝わるんじゃないかと思っています。その言葉は、これからも大事にしたいです」。
新型コロナウイルスの影響で撮影休止を挟んだものの、無事に撮影が再開し、第22週では鉄男の家族のエピソードも描かれる。「撮影が休止となった影響で、全体の放送回自体は減っているのですが、そんな中で鉄男の家族を描いてくれてすごくうれしかったです」と喜びを口にする。
来年、30歳という節目を迎える中村。「30代は、“誰と仕事をするのか”という人との縁を大切にして歩んでいきたい。必死に自転車を漕ぐだけですが、年齢を重ねるごとに自分のテリトリーから抜け出すことが億劫になってしまうかもしれない。でもそこを飛び越えて、いくつになっても挑戦していける人間になりたいです」と力強く語っていた。(取材・文:成田おり枝)
連続テレビ小説『エール』はNHK総合テレビにて毎週月曜~土曜8時放送(※土曜は1週間を振り返り)。