欅坂46からの改名を経て、再スタートを切った櫻坂46。12月9日にリリースされる1stシングル『Nobody’s fault』の力を受けて、26人のメンバーが活躍の幅を広げることも期待される。

改名によりグループにはさまざまな変化が訪れたが、楽曲のパフォーマンスで中心を担う8人のメンバー“櫻エイト”、全楽曲を3人のセンターを中心に組まれたフォーメーションのシステムが導入されたのも特徴。今回、インタビューに応じてくれた1期生の小池美波、2期生の藤吉夏鈴と山崎天(崎は正式には「たつさき」)が欅坂46としてのラストライブを振り返りつつ、“櫻エイト”に選ばれた率直な思いを語った。

【写真】藤吉夏鈴、小池美波センターの3ショット、それぞれのソロカットも

■「THE LAST LIVE」で初披露 「パフォーマンス中の記憶は残っていない」

――改名を経て、櫻坂46となった今。10月12日、13日にかけて行われた欅坂46としてのラストステージ、無観客配信ライブ「THE LAST LIVE」を振り返ってみていかがですか?

小池:ライブ最後の日、欅坂46との別れが寂しいような感覚はなかったです。5年間の経験は自信にも変わっていたし、築いてきたものがなくなるわけではなく、自分の心にはずっと居続けるものだと感じたので。ただ、欅坂46としての楽曲を披露するのは「これで最後かもしれない」という思いはあったから、全力でパフォーマンスしようと決めていました。

個人的に楽曲に対する寂しさを味わっていたのは「二人セゾン」です。この曲は、発売当時に感じられなかった歌詞の深さや儚(はかな)さが、だんだんと年数を重ねるにつれて染みわたってきて。それに、最後のライブは佐藤詩織の卒業も重なっていたので、いろいろな思いもあふれてきて、披露した中でも唯一泣いた曲でした。

藤吉:私は「ガラスを割れ!」の印象が特に強かったです。個人的に、楽曲として好きだということもありましたが、だからこそ、パフォーマンスも最後になるかもしれないと力を入れた曲で。過去のライブと比べても、今までで一番曲の世界観にのめり込んでいました。


山崎:最終日はキャプテンの菅井(友香)さんを中心にみんなで声を掛け合って、リハーサルから良い雰囲気になっていました。良いライブにしていくためには「もっと気を引き締めていかなければ」とたくさんの方にも言われたし、その一言があったから、一丸となってライブを作れた気がするんです。開演前の円陣の掛け声もいつになく気合いが入っていたし、その思いがライブ全体に流れていたと思います。

――最終日の終演直前には、櫻坂46として「Nobody’s fault」を初披露しました。当日のパフォーマンスは、いかがでしたか?

小池:初披露だけではなく自分たちのスタートラインでもあったから、しっかりとしたパフォーマンスで、そこから先を示さなければいけない気持ちがありました。ただ、リハーサルで本番のステージを思い浮かべたとき、14人で披露することに対して、寂しさも味わいました。

全員でグループを作り上げてきたからこそという思いもあるし、みんなで披露したかった気持ちも本音としてはあって。でもその気持ちが邪魔してはいけない、そこから先の自分たちを見せなければいけない、という気持ちが半々に浮かびながらのパフォーマンスだったので、自分の中では迷いがあったという悔しさも残りました。

藤吉:パフォーマンス中の記憶は残っていないんです。ただ、欅坂46として最後に「サイレントマジョリティー」を披露して、メンバー全員でお辞儀をしながら最後のあいさつを終えたあと、早着替えでステージへ上がる直前に、同じ2期生の(森田)ひかるの肩を叩いたのは覚えています。ライブの本番前によくするんです。当日も気合いを入れるためにやっていました。


山崎:メンバー同士で何か言葉を交わした記憶はないんですけど、お互いの空気感で何となく伝わっていたこともあったような気がします。この曲に限らず、ライブでは瞬間ごとにメンバーの思いがパフォーマンスを通して伝わりやすかったりもして。本番を見守ってくださったファンの皆さんが当日、感じ取ってくれたままの気持ちが表れていたのかなと思います。@@separator■楽曲のメッセージに変化「決意」や「覚悟」に

――1stシングル『Nobody’s fault』がリリースされる前日、12月8日には「デビューカウントダウンライブ!!」も開催されます。シングルに収録される藤吉さんがセンターを務める楽曲「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」や、山崎さんがセンターを務める楽曲「Buddies」も公開されました。改めて、グループの節目を象徴する表題曲から感じた第一印象を教えてください。

小池:欅坂46としての5年間は「僕」という主人公と一緒に歩んできましたが、櫻坂46として第1弾となる表題曲では、その「僕」が一つ一つの言葉を通して私たちに強く訴えかけてきたように感じられて。欅坂から櫻坂に続いていて、主人公の「僕」は欅坂46の時代から成長していて、私たちも「ここで変わらなければいけない」と気付かされました。訴えかけるメッセージも「決意」や「覚悟」に変わったように感じました。

藤吉:小池さんが言ってくれたように、主人公である「僕」の変化は私も感じ取っていました。自分なりのイメージでは、欅坂46の時代とは、“やんちゃさ”が変わったような気もして。これまでの楽曲を振り返ると、例えば、欅坂46では「ガラスを割れ!」のような世界観は「俺」に近いやんちゃさを出していた気もするんですけど、櫻坂46として初めての表題曲では少し大人になったのか、その印象がいい意味で薄れたような気もしました。


山崎:歌詞からにじむ部分もありつつ、表題曲で英語のタイトルが使われるのが初めてだったので、分かりやすく変化したところだと思いました。そもそも改名すると聞いてから、新しいことをどんどんやっていきたいという気持ちも強かったので、ささいなことかもしれないけどうれしかったです。

また、曲名だけではなくて、グループのイメージカラーも白になり、今回の撮影で着ているブレザーも白に加えてさりげなく桜色も添えられていて、外側から見える部分の変化もだんだんなじんでいくだろうと思っていて。曲の力も受けながら、ほかにもいろいろな挑戦を重ねていきたいと考えています。@@separator■“櫻エイト”に選ばれた率直な思い

――欅坂46当時は、2019年冬に発売を予定した9thシングルの選抜メンバー発表もありましたが、5年間を振り返ると、最後になった配信シングル「誰がその鐘を鳴らすのか?」まで、ユニット曲などを除けば“全員選抜”の体制を取っていました。一方、櫻坂46になってからは新たに、26人中皆さんを含む8人が“櫻エイト”としてパフォーマンスの中心を担い、ほかのメンバーが各楽曲にそれぞれ参加することで、全員で作り上げる体制になりました。冠番組『そこ曲がったら、櫻坂?』(テレビ東京/毎週日曜24時35分)でも放送されていた発表の瞬間、それぞれ何を思っていましたか?

小池:私は表題曲でセンターを務める(森田)ひかるのすぐ後ろのポジションになりましたが、素直にうれしかったわけではなく、「自分はこのポジションにふさわしくない」と思っていました。欅坂46としての活動を振り返っても、自分なりに満足したことが今までなくて。何ができるわけでもなく、まだまだだなと考えることも多いので、私ではないメンバーが選ばれた方が良かったのではないかと、感じていました。

でも、時間が経つにつれてだんだんと、ポジションを任されたからには全体の真ん中に立つのでしっかりしなければという気持ちが強まってきたし、だからこそ、どのメンバーも支えられるようにしなければと思い始めました。今でもたまに、自分の弱さが見え隠れするときはあるんですけど、最近では「みんなを守りたい」という気持ちも強くなってきたので、任されたポジションにふさわしい人になれるよう、自信を持って立たなければいけないと思っています。

藤吉:櫻エイトの発表当時は、選ばれなかったメンバーを横で見ながら心苦しさも覚えました。
欅坂46でも9thシングルの選抜発表があったけど、CDの発売が幻となり、その瞬間の気持ちを忘れていたような気もして。その後は、みんなでずっとライブのパフォーマンスをしていたので、平和ボケではないけど似たような感覚に陥っていたし、だからこそ、MVの収録などを経て今まで以上にしっかりと曲を受け止めて、大切にパフォーマンスしなければならないと思いました。

山崎:私はあまりフォーメーションを気にしていなくて、興味がないに近い感覚だったような気もします。櫻エイトも確かに大きな変化だけど、それも含めて、改名を境にしてグループがどうなっていくかに関心を寄せていたというか。自分自身ではっきりとこうなりたいとか、どんな色に染まっていきたいみたいな気持ちはないんですけど、欅坂46でできなかったことを、櫻坂46としてどう実現できるかを今は考えています。

もちろん、櫻エイトに選ばれたことはありがたいことで。やっぱり、選んでいただいたからには、しっかりと楽曲を届けられるようにならなくてはいけないから。すみません。実は、自分から「櫻エイトです」と言ったのも初めてなので、まだ慣れていないんですけど…(笑)。でも、それほど新しいシステムでもあるので、ファンの皆さんにも純粋に楽しんでいただけたらなと思います。

 欅坂46の5年間に終止符を打ち、櫻坂46へ改名した現在までの心境を語ってくれた小池美波、藤吉夏鈴、山崎天の3人。インタビュー後編ではさらに、改名を経てリニューアルした冠番組『そこ曲がったら、櫻坂?』で味わった変化や、この先に向けたそれぞれの思いに迫る。
 ※インタビュー後編は12月6日に公開予定です。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:曽我美芽)

 櫻坂46の1stシングル『Nobody’s fault』は12月9日リリース。

編集部おすすめ