1997年8月、36歳の若さで不慮の事故によりこの世を去ったダイアナ元皇太子妃。亡くなってから20年以上が経つ今も、美しくも儚(はかな)いプリンセスとして、ファッションアイコンとして、また慈善活動家として、人々の心を捉え続けている。

Netflixの『ザ・クラウン』のシーズン4で、若き日のダイアナ妃を演じたエマ・コリンが大きな注目を集めたが、これまでも多くの女優がその波乱に満ちた愛と人生を演じてきた。今回は、ロイヤルウェディングの翌年に放送されたテレビ映画から、現在撮影中の最新映画まで、歴代演じてきた女優を振り返り!

【フォト特集】永遠のプリンセス・ダイアナ妃を演じた女優たち

●首をかしげるしぐさが可憐! エマ・コリン

 英王室エリザベス女王の抱える苦悩を描き、高評価を得ているNetflixのドラマシリーズ『ザ・クラウン』。昨年配信されたシーズン4で、叶わぬ恋に思いを募らせるチャールズ皇太子と、そんな彼をやきもきしながら見守る視聴者の前に、彗星のごとく登場したのがエマ・コリン演じるダイアナ・スペンサー。小首をかしげる彼女の愛らしさと言ったらもう! 作中、チャールズの不誠実な言動で、徐々に追い詰められていく彼女の姿に、世間からは同情の嵐。英政府はNetflixに対して、ドラマがフィクションであると注を付けるよう依頼する羽目になった(ただしNetflixにその予定なはしとのこと)。ウエディングドレスや、婚約会見時のワンピースなど、リアルに再現された衣装の数々にも注目だ。

●リアルにプリンセス! キャサリン・オクセンバーグ

 ダイアナ妃とチャールズ皇太子の結婚式が挙げられたのは1981年。世紀のロイヤルウェディングは世界中でテレビ中継され、74ヵ国で7億5000万人もが新たなプリンセスの誕生に息をのんだ。その興奮も冷めやらぬ翌年、早速アメリカで、2人のロマンスを描いたテレビ映画が放送された。『The Royal Romance of Charles and Diana(原題)』(1992)でダイアナ妃を演じたのは、キャサリン・オクセンバーグ。彼女は、旧ユーゴスラビア王国の王族で王女の称号を有した母を持ち、英王室とも遠い親戚。ごく低位ながら英王室の王位継承権も持つ高貴な出自だ。


 また、この作品の放送直前には、『Charles & Diana: A Royal Love Story(原題)』(1992)というテレビ映画も放送され、そちらではキャロライン・ブリスがダイアナ妃を演じている。

●伝記本が原作 セレナ・スコット・トーマス

 1992年末に、夫妻の別居が正式に発表された後に放送された『Diana: Her True Story(原題)』(1993)。本作でダイアナ妃を演じたのは、『イングリッシュ・ペイシェント』のクリスティン・スコット・トーマスを姉に持つセレナ・スコット・トーマス。ダイアナ妃の協力を得て、アンドリュー・モートンが書いた同名の伝記本を基にした作品だけあって、他の作品のダイアナ妃よりも挑発的な視線が印象的。ちなみにセレナは後に、ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚を描いたテレビ映画『William and Kate(原題)』(2011)で、妃の母キャロル・ミドルトンも演じている。●秘められたロマンス ジュリー・コックス

 チャールズ皇太子との離婚がついに成立した1996年、正式発表に先駆けて放送されたテレビ映画『Princess in Love(原題)』でダイアナ妃を演じたのが、ジュリー・コックス。この作品は、ダイアナ妃の秘めたロマンスの相手、ヒューイット大尉の証言を基にしたアンナ・パステルナーク著の伝記本を原作にしたものとあって、内容はとてもスキャンダラス!

●亡くなる前の2年間を演じたナオミ・ワッツ

 日本でも公開された映画『ダイアナ』(2013)で、亡くなる前の2年間を演じたのは、ハリウッド版『ザ・リング』などで知られるナオミ・ワッツ。本作は、ケイト・スネルの伝記本『Diana: Her Last Love(原題)』を原作にした作品で、離婚後に交際したパキスタン系イギリス人外科医外科医ハスナット・カーンとのロマンスや、亡くなった際に一緒だったドディ・アルファイドとの関係が登場。ここでは、しがらみの中で愛する人との未来を模索するダイアナの姿が描かれる。

●物憂げな表情が瓜二つと評判! クリステン・スチュワート

 先月末、待望のファーストルックが公開され、世界をあっと言わせたのは、2021年秋公開予定の『Spencer(原題)』(パブロ・ラライン監督)で、ダイアナ妃を演じるクリステン・スチュワート。赤の上着に黒のボウタイブラウス、ベール付きの黒い帽子を身に付け、物憂げな表情を浮かべるクリステンの姿は、ダイアナ妃にそっくりすぎると大きな話題に。本作では、ダイアナ妃がチャールズ皇太子との離婚を決意した、王室メンバーと過ごすクリスマス休暇の3日間が描かれるという。
つい先日には、ドイツで撮影中の姿をキャッチ。その際に着用していた衣装、赤とグリーのチェックのブレザーは、ダイアナ妃が実際に着ていたものとそっくり。作中一体どんなシーンとなるのか、期待が高まる。 このほかにも、ウィリアム王子とキャサリン妃が結婚した2011年に放送された『William & Catherine: A Royal Romance(原題)』ではレスリー・ハーコートが、ヘンリー王子とメーガン妃のご成婚に合わせて放送された『Harry & Meghan: A Royal Romance(原題)』(2018)と『Harry & Meghan: Becoming Royal(原題)』(2019)ではボニー・ソーパーが、それぞれ王子の母としてのダイアナ妃を演じている。

 また、注目のドラマ『ザ・クラウン』では、2022年放送予定のシーズン5から、『TENET テネット』のエリザベス・デビッキがダイアナ妃を演じることが発表されている。エリザベスはオーストラリア人ながら、仏パリ生まれで英ロンドンを拠点に活躍中。ヨーロッパ的な雰囲気を湛(たた)えたエレガントな美しさが魅力で、すらりとした長身がダイアナ妃を思わせることからも、大きな期待が寄せられている。ドラマは今後90年代に突入。ダイアナ妃とチャールズ皇太子の結婚生活がいよいよ破綻し、離婚へと進むステージに。どのような形で登場するのか、注目したいところ。

●今後もダイアナ妃を演じる女優から目が離せない!

 世界中から愛されたプリンセス、愛を求める女性、息子たちの成長を見守る母親、エイズや地雷などさまざまな人道問題に取り組んだ慈善活動家、素晴らしいスタイルで時に大胆なドレスを着こなすファッションアイコン…そして悲劇の人。多様な顔を持つダイアナ妃は、どの時代を切り取るか、どの角度から見るかで、印象も大きく変わりそう。
永遠のプリンセスは、これからも人々の注目を集め、彼女を演じる女優たちからも目が離せない。(文・寺井多恵)

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