直木賞作家の辻村深月による小説『ハケンアニメ!』(マガジンハウス文庫)が、女優の吉岡里帆を主演に迎えて映画化され、2022年5月に公開されることが決定。吉岡と、共演の中村倫也や柄本佑ら豪華キャストが登場する特報とティザービジュアルが解禁された。



【動画】吉岡里帆、中村倫也、柄本佑ら豪華キャスト集結 映画『ハケンアニメ!』特報

 アニメ業界で奮闘する者たちを描いたお仕事ドラマで、本屋大賞にもノミネートされた人気小説『ハケンアニメ!』(マガジンハウス刊)を映画化する本作は、“好き”なものに対してまっすぐに向き合い、懸命に生きる人々にエールを贈る熱血エンタテインメント。

 テレビアニメの年間制作本数が300本以上、マーケットは2兆円を超えるとも言われる日本のアニメ業界。しかしその制作現場では、最も成功したアニメの称号=「覇権(ハケン)」を取るため、日夜激しい闘いが繰り広げられている。

 そんな世界に飛び込んだ主人公の斎藤瞳は監督デビュー作で、憧れのスター監督・王子千晴と覇権を争うことに。過去にメガヒット作品を生み出し、天才として名を馳せた王子は、プロデューサー・有科香屋子とタッグを組み8年ぶりに監督復帰を果たしたのだった。瞳は、クセ者プロデューサー・行城理や個性的な仲間たちと共に、汗と涙と鼻水にまみれ、アニメの頂点【ハケン(覇権)アニメ】の称号を手にすべく、奮闘を重ねていく。


 新人監督・斎藤瞳役を務めるのは吉岡。壁にぶち当たる日々の中で、それでも懸命に前に進む瞳をひたむきに演じる。以前のようにヒット作を出せず崖っぷちにいる監督・王子千晴役に中村。仕事はできるが超クセのある性格で、瞳を振り回す敏腕プロデューサー・行城理役を柄本。王子の才能に人生を懸ける名プロデューサー・有科香屋子役に尾野真千子。豪華俳優陣が2組の【アニメ監督×プロデューサー】にふんし、覇権をかけて火花を散らす。


 監督は、新海誠監督作『君の名は。』(2016)にCGクリエイターとして参加し、中村倫也主演映画『水曜日が消えた』(2020)で長編映画デビューを果たした吉野耕平。また、東映アニメーションが監修を行い、変化の激しいアニメ業界の“今”のリアリティを徹底追求する。

 劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』『運命戦線リデルライト』の制作には、『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションが参加。YouTubeで両作の予告編がアップされるとネット上で“謎のアニメ”と話題を呼んだ。
徹底的にこだわり尽くした劇中アニメも要注目だ。

 特報では、劇中アニメの映像や、吉岡演じる瞳が「アニメは魔法を超える力を与えることができる!」と訴えかけるシーンからスタート。続いて、瞳、王子、行城、香屋子がアニメ制作に奮闘する姿が映され、終盤では瞳が王子に「私、負けません。全部勝って、覇権を取ります!」と勝利宣言。不敵な笑みを浮かべる王子、驚いた顔の行城と香屋子。アニメ業界で働く者たちの熱い思いと、覇権を巡る争いが垣間見える特報となっている。


 ティザービジュアルは、【瞳×行城】チームが『サウンドバック 奏の石』、【王子×香屋子】チームが『運命戦線 リデルライト』と、それぞれが制作しているアニメのメインキャラクターを背負い、正面を見据える姿を配置したもの。そばには「覇権を掴め。」「己を超えろ。」というキャッチコピーが添えられている。

 主演の吉岡は「日本の宝とも言えるアニメーション作品ですが、その裏では想像の何倍も何十倍も地道な作業が繰り返されています。アニメーター達の底知れない才能が日夜コンテとなり原画となり動画へと昇華されていく…素晴らしいアニメを見た時、抑え切れない感動を覚えるのと同じようにそんなアニメ作品を作る人々の想いに触れた時きっと今までにない感動が届くと撮影をしながら毎日思っていました」と語っている。

 映画『ハケンアニメ!』は2022年5月全国公開。

<『ハケンアニメ!』出演者・監督・原作者コメント全文>

■吉岡里帆(斉藤瞳役)
公務員出身の新人アニメ監督、斉藤瞳を演じさせて頂きました。
1本のアニメが生まれるまでの軌跡と、アニメーター達の死闘を描く今作。日本の宝とも言えるアニメーション作品ですが、その裏では想像の何倍も何十倍も地道な作業が繰り返されています。

アニメーター達の底知れない才能が日夜コンテとなり原画となり動画へと昇華されていく…素晴らしいアニメを見た時、抑え切れない感動を覚えるのと同じようにそんなアニメ作品を作る人々の想いに触れた時きっと今までにない感動が届くと撮影をしながら毎日思っていました。どうぞ『ハケンアニメ!』をよろしくお願い致します!

■中村倫也(王子千晴役)
王子千晴役、中村倫也です。台本を読みながら何度も「ある、ある。」と、この職業独特の“クリエイター熱”に頷いてしまいました。覇道に足を踏み込みながらも、悩み多き、王子という人間を演じることができて幸せです。
きっと多くの人が、魂を削りながら仕事への情熱を注ぐ彼らを見て、日々を生きるエネルギーを受け取っていただけると思います。監督・吉野耕平の世界を乞うご期待!!

■柄本佑(行城理役)
行城はクセが強めなのですが同時に人間臭くもあるヤツだと思い現場に臨みました。吉野監督は線が細く声が小さく、挙動不審なところがありますがその見た目からは想像できないほど頑固で芯の通った男らしさがありました。アニメ業界を生きる骨太な人間ドラマが時に軽妙に、時に深刻に描かれます! 是非楽しみにしていて下さい!

■尾野真千子(有科香屋子役)
希望、夢、憧れ、進むべき道、そんなキラキラした物語の中にいました。久しぶりに恋なんかしたりして。妖精のような吉野監督とのやりとり楽しかったです! どんな風に繋がっていくのか楽しみです!

■吉野耕平(監督)
本作は、もともと自分が映画化したかった原作企画を、逆に監督オファーを頂くという幸運に恵まれた作品でした。ちょうど自分自身が長編第一作目を撮った直後の、新人監督としての記憶も生々しいこの時期に、同じ新人監督の物語を描けたことの幸運と、さらに、素晴らしいキャスト・スタッフと共にその作品に挑めたことの幸運を、今は噛み締めています。

様々な映像ジャンルを横断した、この作品ならではの共演をぜひお楽しみいただければと思います。願わくばこの作品が、スクリーンの向こうの誰かの幸運な出会いにつながりますように。幼い頃からずっと憧れてきたアニメの世界と、この作品を通じて関わることができたのは、本当に一生の幸運でした。

■辻村深月(原作)
『ハケンアニメ!』は私の小説の中では最も映像化が難しいタイトルだと思っていました。理由は、作中に登場する二本のアニメ。「その期の覇権をとる」と言われるようなクオリティーのアニメを現実に映像内に再現してもらうのはまず無理だろうと諦めていました。

だけど──今回、素晴らしいスタッフとキャストの皆さんの力を借りて実現しました。私の描いた王子が、香屋子が、瞳が、行城がここにいる。彼らの作るアニメがここにある。劇場で彼らの軌跡を目撃できるのが、今から楽しみでなりません。