1980年代、アイドルとして一世を風靡した菊池桃子。そんな菊池が、ハロー!プロジェクトのアイドルグループメンバーが総出演するドラマ『真夜中にハロー!』(テレビ東京系/毎週木曜24時30分)で主演を務める。
【写真】菊池桃子が熱狂的なハロプロファンに!
■ハロプロを通して再確認 人を笑顔にさせる“アイドル”という存在
物語の舞台は、ゲストハウス「サンプラザ朝沼」。菊池はそのハウスを運営する熱狂的なハロプロファンで、ややマイペースなところはあるが、さまざまな問題を抱えてやって来た宿泊客を優しく見守る女性・マリコを演じる。
「企画書を読ませていただいて、なによりも惹(ひ)かれたのがとても明るいドラマだなということ。いまの時代いろいろ悩みを抱えている人は多いと思うのですが、そんな方々がお客さんとして来るゲストハウスで、ハロプロの曲をきっかけに、生きるヒントを得て帰っていく…。そのやり取りやゲストハウスの空間が、とても温かく描かれているのがすてきだなと思ったんです」。
菊池は「彼女たちが笑顔で歌やダンスをパフォーマンスする姿を見ていると、元気が伝わってきて私自身も明るく楽しい気分になるんです」とパワーをもらっていることを明かすと「彼女たちの笑顔がとてもまぶしくて、自分が過去にアイドルからスタートしていることはさておいて、『アイドルってこういう存在なんだ! キラキラ輝いていて、人を笑顔にさせる存在なんだな』と改めて感じました」と語る。
1984年に「青春のいじわる」で歌手デビューを果たすと清純派アイドルとしてヒット曲を数多く輩出し一時代を築いた菊池。「私自身は幼いころからアイドルを目指す夢は持っていなかったので、スカウトをされてたまたま芸能界に入って活動をしていたという部分で、アイドルとしての心構えというか、スタートの熱量が少し足りていなかったんじゃないかと思うんです」とデビュー当時を振り返る。
「おかげさまで35年以上仕事をさせていただくなかで、私は徐々に責任感やプロ意識というものが芽生えていったタイプ。でもハロプロのメンバーは、アイドルになるべく生まれてきたというような光の放ち方で、彼女たちのプロ意識や、まぶしさ、力強さを強烈に感じています」と自身のアイドル時代と比べたが、「彼女たちのパフォーマンスを見ていると、私もグループの一員になりたいな…なんて思いも湧いてきました。まあ年齢的にも体力的にも難しいのは分かっていますけれどね(笑)。
そんな菊池にアイドル時代の苦労したことを聞くと芸能活動と学業との両立を挙げる。「いまのアイドルの子たちも同じかもしれませんが、私にとってはとても大変でした。両親が『うちの子が芸能界に入るなんて信じられない』という家庭だったので、芸能活動をするうえで、しっかり勉強と両立するというのが約束だったんです。アイドル活動と並行して高校と女子短期大学に通ったのですがかなり苦労したことを思い出しますね」。
■ハロプロの生みの親・つんく♂との“不思議”なめぐり合わせ
ハロプロと言えば、かつて総合プロデュースを務め、現在も楽曲提供で携わっているのがつんく♂だが、実は彼が菊池のファンだったことは意外と知られた話。菊池が2014年にリリースした歌手デビュー30周年記念アルバム『青春ラブレター ~30th Celebration Best~』のなかの1曲「青春ラブレター」をつんく♂が作曲を手がけている。
「若いころにつんく♂さんが、私のファンクラブに入ってくださっていたとお聞きして対談をさせていただました。その時あまり目を合わせてくださらないので、『本当にファンでいてくださったのかな(笑)』と少し感じたのですが、30周年コンサートの時に、ファンだからこそのすてきな楽曲をつくってくださって、すごくうれしかったんです」とエピソードも話してくれた。
菊池のファンだったつんく♂、その彼が手掛けたアイドルグループのオタク役を菊池が演じるとはなんとも不思議な縁だが、「プロデューサーさんは、私がアイドル出身だからオファーしてくださったと思うんですが、つんく♂さんとの関係性まではご存知なかったみたいで。偶然だったのか…と思いつつ、神様がサプライズをくれたのかなと思っています」とほほ笑んだ。
■子どもの成人で母親の役目に一区切り 「これからは人間同士」
2020年に放送された連続テレビ小説『エール』(NHK)で、窪田正孝演じる主人公の母を好演したことも記憶に新しいが、近年精力的に女優業に取り組んでいる菊池。
「これまでは子どもたち中心の生活を送ってきました。お母さんとして忙しい日々を過ごしていたのですが、長男が25歳、下の娘も20歳になり、私のなかでは一つやり遂げたという気持ちで肩の荷が下りたんです」と心境の変化を明かすと「母と子という関係からこれからは人間同士としてと家族と話しているんです」と語った。
その上で菊池は「これから子どもたちは自分自身の好きなことを栄養にして進んでいくと思うので、私自身ももう少し自分の人生を大切にしようと思いはじめました。このドラマをお受けしたのも、そんな気持ちが大きかったからなんです」とニッコリ。特に本作の持つ明るく、人に元気を与えるという作風には意義を感じているようで「世の中に伝えたいテーマみたいなものを、スタッフの皆さんと一緒に共有しながら作品を作っていくことは、今後も積極的にやっていければと思っています」と意欲を見せる。
また、「もしかしたらまた歌うという選択肢もあるかもしれませんね」とファンにとってはうれしい発言をすると「私は5歳からピアノを始めたのですが、とにかくピアノを弾くことが大好きで、ずっと側に音楽がありました。私にとって音楽は切っても切り離せないものなので、まだ将来的なことはなにも分かりませんが、なにかの形で続けていけたらいいですね」と未来に思いを馳せていた。(取材・文:磯部正和 写真:ヨシダヤスシ)