アイドル自身がコンサートの演出を行うなんて......と驚く方もいるかもしれないが、ジャニーズ事務所においては珍しいことではない。実務にどの程度まで携わっているかはさておき、最近のコンサートや舞台のほとんどは"アイドル本人プロデュース"の形が取られている。
「有名どころでいえば、SMAPコンの演出は95年の夏以降、すべて中居正広が総括してきました。それ以前から、衣装や振り付け、選曲などに何かと口を出していたらしく『だったら納得のいくようにやってみたら?』という流れになったようですね。また、弱冠16歳のときにJr.コンの演出を初めて任されたという滝沢秀明も、自身のコンサートは当然のこと、後輩たちのコンサート演出やJr.ユニットのプロデュースをはじめ、プライベートでもイベントを企画するなど精力的に裏方業に取り組んでいるようです。さらに嵐の松本潤もここ数年は演出を担当し、逆さま歩きのMJ WALKや、透明の床が動くジャニーズ・ムービング・ステージなど、斬新なアイディアを次々と提案していますね」(ジャニーズ通)
さらに、「光と影」をテーマにV6夏コンの総合演出を担当した岡田准一も、コンサートのみならず、ドラマで企画を提案。
「アイドル自身にプロデュースを任せるのは、その力を当てにしているというよりは、彼らのモチベーションを上げる効果を期待してるんでしょう。昔のようにただやらされているだけでは、そのやり方に不満を抱く場合もある。タレントの向上心を満たしつつ、ファンや世間に対して努力をアピールできるのだから、一石二鳥ですよね」(同)
だが、素人同然のアイドルに演出を任せることで生じる弊害もある。
「嵐のアジアツアーの松潤のソロでもMJ WALKが取り入れられていたんですが、台湾公演の際に、急下降したまま頭が床にぶつかりそうになって、ひやりとする場面があったんです。松潤がとっさに両手をステージについたためケガはなかったんですが、1秒でも遅かったら確実に頭を強打していたはず」(ツアーに参加した嵐ファン)
この件に関しては、台湾の慣れない会場でのスタッフのミスが原因だったようだが、奇抜すぎるアイディアが、時には危険を招くこともあるという例だろう。
「また、昨年行われた今井翼の舞台『World's Wing 翼 Premium2008』は、本人の希望のもと、セリフもなく、世界中のあらゆる踊りで物語を表現するという形で上演されたのですが、ファンには『まったく理解できなかった』『難しかった』と不評。堂本剛が244 ENDLI-x名義で行っているソロワークプロジェクトも、アーティスト色が強すぎて、従来のキンキファンには理解しづらい部分も多いですね」(制作会社関係者)
それでも「好きなアイドルのやることならば」とすべてを受け入れる熱心なファンが多いことから、アーティスト気取りのジャニーズタレントが増加中。「理解できない人は参加しなくていい」と切り捨てるのは簡単だが、万人のファンに夢を与えるのがアイドルの本業であり、自己満足な演出が独り歩きするのであれば、それは本末転倒ではないか。Hey! Say! JUMPの若き2人には、今後も本人たちの目標でもある「ファンが笑顔になれるステージ」を作り続けてほしいものだ。
(「サイゾー」2月号より)
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