「東網専訊」(7月26日付)によると、同23日、ベトナムを訪れた中国人観光客が入国手続きのためパスポートを提出したところ、税関職員に「Fuck You」と落書きされたという

 この出来事の背景には、領海をめぐる両国の緊張の高まりだけでなく、それをあおるようなパスポートのデザイン問題がある。中国政府が2012年から発行している新パスポートの査証欄には、南シナ海の領有権を主張する中国側が一方的に策定した「九段線」が描かれているのだ。

ベトナム政府は中国政府のこうした動きに対し、入国スタンプを押す際、該当ページは使用せず、別紙を用意するなどの対抗策を講じている。

 この一件に対して、中国のネット上では、

「こういうところに、国民性が表れるんだよな。ベトナム人は、常識や教養が欠如してるんだよ」
「早くベトナムに攻め込もうよ。どうせ、ベトナムも中国のものになるんだから」
「外交問題をこんな一般の中国人観光客に八つ当たりして、ベトナム人はバカじゃないのか」

などといった、怒りのコメントが数多く寄せられている。

 また先日は、在中ベトナム領事館が、中国人に対する観光ビザの発給を一時的に中止したことも報じられた。

 中国との緊張関係を急速に高めているベトナムでは、中国人に対し、観光ビザの審査を極端に厳しくしていると話すのは、中国の大手旅行社代理店で働く日本人男性だ。


「ベトナム政府は突然、中国人観光客に対してだけ、職業の詳細や旅行のスケジュール表の提出を求めるなど、突然、審査が厳しくなりました。さらには、ベトナム現地でガイドをする人の詳細まで資料として提出しなければならなくなりました。われわれのような中国の旅行会社からすると、その手続きの煩わしさから、ベトナム旅行業務はやりたくない」

 さらに、ベトナムを訪問した中国人旅行者への迫害行為も頻発している。

「中国人に人気の旅行先となっていたベトナム中部のダナンで、うちの会社が催行したツアーの一団に、地元の子どもたちが石を投げてきたことがありました。ハノイには『中国人お断り』を宣言するレストランや、中国人の乗車を拒否するタクシーもあります。2012年の反日活動よりも過激ですよ」(同)

 反日運動の際はこれでもかと大暴れした中国人だが、“ヤラれる側”になった今、果たしてどう反撃するのか注目だ。

(文=青山大樹)