『UQ三姉妹』が一家離散した。
病欠の深田恭子と妊娠発表の多部未華子の休暇を経て、スクランブル体制でのCMとなっていたがついに「解散」。
そこで新シリーズとしてこの9月から放映されているのが、『UQUEEN』。中世ヨーロッパを舞台に豪華絢爛な世界観で、洒脱な世界観の「大人向け」のシリーズであり、カジュアルなイメージを押し出していた『UQ三姉妹』からはガラリと雰囲気が変わった
出演は満島ひかりと松田龍平。満島にとっては初の通信キャリアへの起用となっている。
一方の松田は、弟の翔太が出演中のau『三太郎』シリーズのメインキャストを長らくつとめており、兄弟でのauグループへの抜擢となる(契約料だけでいくらになるのか……)。
さて、ここで話題となっているのが、もちろん満島と松田のキャスティングである。天真爛漫な女王「=UQUEEN」の満島と、それを支えるどことなくミステリアスな執事・松田。
そう、まさしく2017年に放送されていたドラマ『カルテット』のメインキャスト(のうちの2人である。その他に松たか子、高橋一生が出演)。
さて本作において、あらためて言及しておきたいことは2点ある。
ひとつは前にも述べたが、その過剰なほど豪華なセット。Netflixのドラマ『ザ・クラウン』を彷彿させるそれは基本的にオーダーメイドの造形が施されており、破格の予算がかかっていることが想像される。ほかの商材に比べて短いスパンで新作が放送される通信キャリアのCMにおいて、一度の撮影で撮り溜めしているであろうことは想像にかたくない。
また、CM監督も万全の布陣だ。
『UQ三姉妹』は『SUNTORY PEPSI NEX 桃太郎シリーズ』『大塚製薬 POCARI SWEAT』などを担当してきた大物演出家・井口弘一が手掛けていた。
グラフィカルでどのカットもポスターになりうる美しい画づくりが得意な井口が唯一苦手とするのが、会話劇。つまりドラマ形式のCMであった。
そんな中、『UQUEEN』へとバトンタッチして監督をつとめるのが、佐藤渉だ。
『ブックオフ』(寺田心の「ブックオフなのに本ねえじゃん」)や『ジャンボ宝くじ』(妻夫木聡、吉岡里帆ら)、『さけるグミ』(小澤征悦)など絶妙な会話劇と、少しだけ悪意のある演出に定評のある当代一の売れっ子演出家が起用された。ともすると、冗長になってしまう抑制されたトーンになってしまう満島と松田の会話劇を成り立たせているのは、アッパレである。
妙味あるキャスティングとなった『UQUEEN』において今後どのような展開となっていくのだろうか。坂元裕二作品の常連である松たか子や永山瑛太などの出演が期待される中、同じく『カルテット』に出演していた吉岡里帆はすでに競合他社(『Ymobile』)に出演中のため難しいことが残念か。
余談だが、UQモバイルのサービスが始まった2015年の、初代イメージキャラクターはフットボールアワー後藤輝基だった。すっかり隔世の感である。