UQモバイル 公式サイトより

 『UQ三姉妹』が一家離散した。

 病欠の深田恭子と妊娠発表の多部未華子の休暇を経て、スクランブル体制でのCMとなっていたがついに「解散」。

放映終了。丸5年にわたり放送されていたシリーズに幕を閉じた。

 そこで新シリーズとしてこの9月から放映されているのが、『UQUEEN』。中世ヨーロッパを舞台に豪華絢爛な世界観で、洒脱な世界観の「大人向け」のシリーズであり、カジュアルなイメージを押し出していた『UQ三姉妹』からはガラリと雰囲気が変わった

 出演は満島ひかり松田龍平。満島にとっては初の通キャリアへの起用となっている。

 一方の松田は、弟の太が出演中のau『三太郎』シリーズのメインキャストを長らくつとめており、兄弟でのauグループへの抜擢となる(契約料だけでいくらになるのか……)。

なお、UQモバイルのCM出演を『UQモバイル三姉妹』以前から続け、近年はカメオ出演のような扱いになっていたガチャピンとムックも。『UQUEEN』への改変タイミングでお役御免となった。

 さて、ここで話題となっているのが、もちろん満島と松田のキャスティングである。天真爛漫な女王「=UQUEEN」の満島と、それを支えるどことなくミステリアスな執事・松田。

 そう、まさしく2017年に放送されていたドラマ『カルテット』のメインキャスト(のうちの2人である。その他に松たか子高橋一生が出演)。

人気脚本家・坂元裕二が手掛けた『カルテット』は放送から4年がすでに経過した現在も未だに根強いファンを持ち、今回の満島と松田の起用にも「すずめちゃんと別府さんやー!」(※いずれも同ドラマの役名)、「1/2カルテット!」など往年のファンからの投稿が相次ぎ、キャスティング担当者も2人の関係性の鮮度が落ちていなかったことに胸をなでおろしたことだろう。

 さて本作において、あらためて言及しておきたいことは2点ある。

 ひとつは前にも述べたが、その過剰なほど豪華なセット。Netflixのドラマ『ザ・クラウン』を彷彿させるそれは基本的にオーダーメイドの造形が施されており、破格の予算がかかっていることが想像される。ほかの商材に比べて短いスパンで新作が放送される通信キャリアのCMにおいて、一度の撮影で撮り溜めしているであろうことは想像にかたくない。 
 
 また、CM監督も万全の布陣だ。

『UQ三姉妹』は『SUNTORY PEPSI NEX 太郎シリーズ』『大塚製薬 POCARI SWEAT』などを担当してきた大物演出家・井口弘一が手掛けていた。

 グラフィカルでどのカットもポスターになりうる美しい画づくりが得意な井口が唯一苦手とするのが、会話劇。つまりドラマ形式のCMであった。

 そんな中、『UQUEEN』へとバトンタッチして監督をつとめるのが、佐藤渉だ。

『ブックオフ』(寺田心の「ブックオフなのに本ねえじゃん」)や『ジャンボ宝くじ』(妻夫木聡吉岡里帆ら)、『さけるグミ』(小澤征悦)など絶妙な会話劇と、少しだけ悪意のある演出に定評のある当代一の売れっ子演出家が起用された。ともすると、冗長になってしまう抑制されたトーンになってしまう満島と松田の会話劇を成り立たせているのは、アッパレである。

 妙味あるキャスティングとなった『UQUEEN』において今後どのような展開となっていくのだろうか。坂元裕二作品の常連である松たか子や永山瑛太などの出演が期待される中、同じく『カルテット』に出演していた吉岡里帆はすでに競合他社(『Ymobile』)に出演中のため難しいことが残念か。

 余談だが、UQモバイルのサービスが始まった2015年の、初代イメージキャラクターはフットボールアワー後藤輝基だった。すっかり隔世の感である。