テレビ東京で“ド深夜”の2時35分からの放送……誰がこの快進撃を予想しただろうか。女優の松本若菜が主演を務めるドラマ『復讐の未亡人』が、その内容だけでなく“数字”でも注目を集めている。
同ドラマは、累計部数300万部以上の『金魚妻』(集英社)でも知られる黒澤R氏の同名マンガを実写化したもの。篠原涼子が不倫妻を演じることでも話題を呼んだNetflixドラマ版『金魚妻』にも出演していた主演の松本は、愛する夫を自死に追いやった者たちに復讐するためには手段も選ばない、妖艶な未亡人を演じている。
4月期のフジテレビ系木曜劇場『やんごとなき一族』で「松本劇場」とも呼ばれた怪演が話題となった松本だが、連ドラ初主演となる今回は、地上波ギリギリの過激シーンを熱艶。第1話から、自死した夫の職場オフィスに潜入し、パワハラ上司役の松尾諭を相手に甘い吐息を漏らし、視聴者をクギ付けにした。
「なんと言っても『復讐の未亡人』がすごいのは、見逃し配信の数字。第1話は1週間での見逃し配信の再生回数が118万回を突破。
さらに、『復讐の未亡人』の成功により、今後は深夜帯での過激作が増えていきそうな気配だという。
「コンプライアンスが厳しくなっている昨今、テレビ各局はゴールデン・プライム帯はもちろん、深夜帯ですら肌露出や過激演出を控えてきました。しかし今年2月、過激な濡れ場シーンで反響を呼んだ『金魚妻』がNetflixのグローバルトップ10(テレビ・非英語)で世界7位、英語作品を合わせても世界12位となるなど注目を集めたことからもわかるとおり、“反動”で過激な作品への渇望感が高まっていることが注目されています。
配信だけでなく、Kis-My-Ft2・北山宏光が濃厚な濡れ場に挑戦した2021年の『ただ離婚してないだけ』が見逃し配信の再生数でテレビ東京の番組として歴代2位の記録を叩き出すなど、深夜ドラマでも“攻め”の姿勢を打ち出して成功した例が出てきており、『復讐の未亡人』はまさにこの流れに乗った形。この背景には、深刻なテレビ離れやコロナ禍で広告収入が激減し、目下、“配信収入を増やす”ことがテレビ界全体で喫緊の課題となっているという状況があります。再生回数を上げたり、自社の配信サービスに誘導する呼び水にするには、官能ドラマはまさにうってつけ。『復讐の未亡人』は配信でのサムネイル画像が特に第1話~3話は思わずドキっとするようなセクシーなシーンのものだったことも注目されました。YouTubeなどと同様、“引きのある”サムネイルを作りやすいのも官能ドラマのメリットですね」(制作会社スタッフ)
テレビ東京以外でも、30代の非モテ美術講師が21歳の“嬢”に一目惚れするというストーリーのマンガ『ロマンス暴風域』(扶桑社)を毎日放送が実写化、TBS系列の深夜帯で先日まで放送されていたが、『復讐の未亡人』の快進撃で今後ますますセクシーな深夜ドラマは増えていくことになりそうだ。
『やんごとなき一族』松本若菜、38歳の遅咲きブレイクで“W松本”の時代到来 これまで積み上げてきた経験を武器に、男性だけでなく女性からも支持を集める“遅咲き”の演技派女優たち。