『有吉の夏休み』(フジテレビ系)Twitter(@ariyoshi_yasumi)より

 バラエティ番組は視聴者が楽しむものか、それとも出演者が楽しむものか──?

 ここ最近、テレビ番組でよく目にするのが、芸能人が集まって遊ぶ番組。9月最初の週末も、内村光良有吉弘行がそれぞれ司会を務める“芸能人が遊んでるだけの番組”が放送された。

「有吉が司会の『有吉の夏休み』(フジテレビ系)は今年で10年目。これまでは年1回ペースでしたが、昨年から“冬休み”も放送されている人気シリーズです。番組は、男女を問わず有吉と交流がある芸能人が集まってリゾート地に出かけるもの。9月3日の放送ではフワちゃん、みちょぱ、めるる、ゆうちゃみと売れっ子女性タレントが顔を揃え、業界的には“いま誰が売れているか”を知るバロメーターにもなっています。

 一方、内村光良が司会の『集まれ!内村と◯◯の会』(TBS系)は、2014年に志村けん、内村光良、三村マサカズ岡村隆史田村淳日村勇紀が揃った『6人の村人』というスペシャル番組が8年ぶりに復活したもの。9月2日の放送では、“山”、“川”、“小”、“野”が付いた芸人が集い、海へ山へと出かけました。

『6人の村人』はすごく視聴率がよく、すぐに第2弾を望む声が視聴者からも局内からも上がりましたが、スケジュール調整がつかないまま志村さんが亡くなってしまい、たった1回の伝説番組に。それでも8年越しでの復活となりました」(テレビ情報誌記者)

 芸能人が集い、普段はなかなか見られない素の姿が見られるのは楽しいもの。ただ、ネットには「芸能人が遊んでいるだけで、何が面白いのか」「内輪ノリがしんどい」という批判の声も少なくない。それでもこういった番組が減るどころか増えつつあるのは、いろいろな大人の事情が絡んでいるからだという。

「例えば有吉のような超売れっ子なら、名前を出しただけでも企画は通ります。リゾート地に出かけて仲のいい芸能人と遊ぶだけの番組なら、タレントからNGが出ようもない。

番組をきっかけに顔を繋ぎたい関係者もいるし、タレントへの“接待”のような側面もあります。

 出演者はなんの準備もいらないし、収録時間が伸びることもないのでありがたい。宿や食事、移動をタイアップにしてしまえば制作費もそんなに掛からないし、視聴率もそこそこ取れるとあって、基本的に誰も損しない番組なんです」(キー局関係者)

 遊んでいるだけで仕事になるとはなんとも羨ましい話だが、もちろんそこにはプロの技が詰めこまれているという。

「ああいった“芸能人お出かけ番組”は、一見すると遊んでいるだけ、ご飯を食べているだけに見えますが、当然台本はありますし、おおまかな流れは決まっています。緩い設定でも番組が成立するのは、出演者の各々が自分の役目を把握し、“ここでボケる”、“ここでツッコむ”といったチームプレーが黙っていてもできるから。しゃべりが被らないようにするのは基本ですし、ダラダラとした雰囲気にならずにしっかりと撮れ高が撮れるのは、腕がある芸能人が集まっている証拠です。

 散歩番組なども簡単に見えますが、素人YouTuberなどの動画を見れば、“街ブラ”がいかに難しいかがよくわかるはずです。ぶらぶらと歩いて、通りすがりの人とおしゃべりしたり、お店を覗いて店員とやりとりするだけで番組を成立させるのは実は至難の業。短い会話で面白い話を引き出し、失礼にならない範囲で相手をイジり、なおかつ短いスパンでオチを付けるのは、本当の腕利きの芸人しかできない業です。

 ただ、そういった番組ばかりやっていたら、企画力はどんどんなくなっていくわけで、お出かけ番組や散歩番組が溢れかえる状況は、テレビマンにとって決して喜ぶべきことではないでしょう」(民放バラエティ番組制作関係者)

 売れっ子におんぶにだっこなら楽チンだが、やはり“それもほどほどに”ということのようだ。